この記事で分かること
- 折りたたみ型の利点:携帯性と大画面を両立できることです。折りたためばポケットに収まるコンパクトさ、開けばタブレットのような大画面で動画や作業が快適になります。
- 需要が増加する部品:開閉の要となる「ヒンジ」と、柔軟性のある「折りたたみ式ディスプレイ」です。特に、耐久性の高い超薄型ガラスや、曲がるバッテリー、筐体をつなぐフレキシブルプリント基板などの特殊部品の需要が伸びます。
- 折りたたみスマホの市場:現在は、全スマートフォンの出荷台数のわずか1.4%にとどまっていますが今後は大きな成長が期待されています。
折りたたみ式iPhone市場投入の噂
複数の情報源によると、Appleは2026年に折りたたみ式iPhoneを市場に投入する準備を進めており、2026年9月に「iPhone 18」シリーズの一部として発表・発売されると予測されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM175180X10C25A9000000/
これらの情報はあくまで噂やアナリストの予測であり、Appleが公式に発表したものではありません。しかし、複数の信頼できる情報源が同様の時期を指摘しており、2026年の登場は現実味を帯びてきていると言えるでしょう。
折りたたみ型の利点は何か
折りたたみ型スマートフォンには、主に以下の利点が挙げられます。
1. 携帯性と大画面の両立
これが最大の利点です。
- コンパクトさ: 折りたたむことで、ポケットや小さなバッグにも収まりやすくなります。特に縦折り式(フリップ型)は、従来のスマートフォンの約半分のサイズになり、持ち運びのストレスが大幅に軽減されます。
- 大画面: 広げるとタブレット並みの大きな画面が現れます。動画視聴、ゲーム、電子書籍、ウェブサイトの閲覧など、コンテンツをより迫力のある、快適な環境で楽しむことができます。
2. マルチタスクの効率向上
大画面を活用することで、作業効率が飛躍的に向上します。
- 分割画面: 複数のアプリを同時に起動し、画面を分割して表示できます。例えば、動画を見ながらSNSをチェックしたり、地図アプリを見ながら別のアプリで情報を入力したりといったことが可能になります。
- より広い作業領域: ExcelやWordといったビジネス文書の編集や、複数の資料を並べて比較する作業が、通常のスマートフォンより格段に行いやすくなります。
3. 新しい使い方・撮影スタイル
折りたたみ特有の機能やデザインが、従来のスマートフォンにはない便利な使い方を可能にします。
- ハンズフリー: 画面を途中の角度で固定できるため、スタンドなしで自立させることができます。これにより、動画視聴やビデオ通話、オンライン会議などが手ぶらで行えます。
- ユニークな撮影:
- 自撮り: L字型に立てて置くことで、両手を使った自撮りが簡単にできます。
- 置き撮り: 三脚を使わずに、好きな角度でカメラを固定し、タイマー撮影や集合写真を撮ることができます。
- プレビュー: 折りたたんだ状態で外部ディスプレイをファインダーとして使い、より高画質のメインカメラで自撮りや他人の写真を撮影できます。
4. 個性的なデザインと先進性
折りたたみスマートフォンは、その開閉する仕組み自体がスタイリッシュで未来的です。
- デザイン性: 他の人とは違う、個性的なスマートフォンを持ちたいというユーザーにとって魅力的です。
- テクノロジーの最先端: 最新の技術が凝縮されており、新しいガジェット好きやトレンドに敏感な層に響きます。
これらの利点により、折りたたみスマートフォンは、単に画面が大きいだけでなく、「スマホ」と「タブレット」の両方の役割を1台でこなせる多機能デバイスとして、ユーザーに新たな体験を提供しています。

折りたたみ型の最大の利点は、携帯性と大画面を両立できることです。折りたためばポケットに収まるコンパクトさ、開けばタブレットのような大画面で動画や作業が快適になります。また、画面をL字型に固定してハンズフリーで使えたり、三脚なしで撮影できるなど、新しい使い方が生まれます。
折りたたみ型の採用で需要が増加する部品は何か
折りたたみ型スマートフォンの需要が増加すると、それに伴って需要が拡大する主要な部品は以下の通りです。
1. ヒンジ(蝶番)
折りたたみスマートフォンの心臓部であり、最も重要な部品の一つです。
- 高精度な設計: 何十万回もの開閉に耐える耐久性、開いた時の平坦性、そしてスムーズな開閉動作が求められます。
- 小型・軽量化: 端末全体の薄型化や軽量化に直結するため、ヒンジの小型化技術が不可欠です。
- サプライヤーの多角化: 各メーカーが独自のヒンジを開発・採用しており、精密機械加工技術を持つサプライヤーの競争が激化します。
2. 折りたたみ式ディスプレイ
従来のフラットなディスプレイとは全く異なる、特殊な技術が必要です。
- フレキシブルOLED(有機EL)パネル: 画面を折り曲げられる柔軟な素材で作られたディスプレイパネルの需要が急増します。
- 超薄型ガラス(UTG: Ultra-Thin Glass): 画面を保護するカバーガラスには、極めて薄く、かつ耐久性の高い特殊なガラスが使われます。
- 透明ポリイミド(CPI)フィルム: ガラスの代わりに、またはUTGと組み合わせて画面の保護に使われる透明で柔軟なフィルムです。
3. フレキシブルなバッテリー・FPC(フレキシブルプリント基板)
折りたたみ構造に合わせて、部品も柔軟性が求められます。
- 曲がるバッテリー: 端末のスペースを最大限に活用するため、折り曲げ可能なバッテリーや、2つの筐体に分割して配置するバッテリーの需要が増えます。
- フレキシブルプリント基板(FPC): 2つの筐体をつなぐ電子回路には、開閉時に曲がっても断線しない柔軟な基板が必要です。
4. その他の特殊部品
- 放熱材: 2つの筐体に分かれているため、放熱の仕組みも従来のスマホとは異なります。
- センサー類: 開閉状態を検知するための磁気センサーなど、折りたたみ特有のセンサー部品が必要となります。
これらの部品は、従来のスマートフォンには存在しない、またはより高度な技術が求められるため、折りたたみ市場の拡大は、これらの部品サプライヤーにとって大きなビジネスチャンスとなります。
特にヒンジとディスプレイ関連の部品は、製品の性能とコストに直結するため、最も需要が増加すると見られています。

折りたたみ型の普及で需要が増加するのは、開閉の要となる「ヒンジ」と、柔軟性のある「折りたたみ式ディスプレイ」です。特に、耐久性の高い超薄型ガラス(UTG)や、曲がるバッテリー、筐体をつなぐフレキシブルプリント基板(FPC)などの特殊部品の需要が伸びます。
需要が増加する部品の有力メーカーはどこか
折りたたみ型スマートフォンの需要増加に伴い、主要な部品でシェアを伸ばしている有力メーカーは以下の通りです。
1. ヒンジ(蝶番)
- 新日鐵住金(日本製鉄): 高い技術力を持つ日本の鉄鋼メーカー。ヒンジ向けに特殊な金属材料を供給しています。
- JAHWA Electronics(ジャファ・エレクトロニクス): サムスンなどの主要メーカーにヒンジや関連部品を供給している韓国のメーカーです。
- 安泰科微電子(アンテックマイクロエレクトロニクス): 中国のヒンジメーカーで、OPPO、Honor、Xiaomiといった中国メーカーに供給しています。
- 加藤電機: 日本のヒンジメーカー。携帯電話やPDA向けヒンジで実績があります。
2. 折りたたみ式ディスプレイ
この分野は韓国と中国のメーカーが市場をほぼ独占しています。
- Samsung Display(サムスンディスプレイ): 業界のリーダーであり、世界シェアの大部分を占めています。自社のGalaxyシリーズだけでなく、他社の折りたたみスマホにもOLEDパネルを供給しています。
- BOE Technology(京東方科技): 中国の代表的なディスプレイメーカー。Huawei、OPPO、Honorなどの中国メーカーにOLEDパネルを供給し、急成長しています。
- LG Display(LGディスプレイ): サムスンに次ぐ韓国の大手メーカー。特にテレビ向け大型OLEDで強みがありますが、スマートフォン向けでも供給を拡大しています。
- CSOT(華星光電): 中国のTCLグループ傘下のディスプレイメーカーで、BOEと共に中国の供給網を支えています。
3. 超薄型ガラス(UTG)
折りたたみディスプレイの表面を保護する特殊ガラスです。
- Schott AG(ショット): ドイツの特殊ガラスメーカーで、サムスンの「Galaxy Z Fold」シリーズでUTG(商品名:UTG®)が採用されていることで知られています。
- Corning(コーニング): 米国のガラスメーカー。スマートフォン用の「Gorilla Glass」が有名で、折りたたみスマホ向けのUTGも開発しています。
- 日本電気硝子(NEG): 日本の特殊ガラスメーカー。最近では、モトローラやXiaomi、Honorの折りたたみスマホにUTG「Dinorex UTG®」が採用されるなど、市場での存在感を高めています。
これらの企業は、それぞれ独自の技術と生産能力を持ち、折りたたみスマホ市場の拡大を支える重要な役割を担っています。特に、Appleが市場に参入すれば、サプライヤー間の競争はさらに激化すると予想されます。
折りたたみスマホの市場
折りたたみスマートフォンの市場は成長を続けていますが、現時点では特定のメーカーが圧倒的なシェアを保持しています。
市場規模
- 世界市場の出荷台数: 調査会社MM総研によると、2023年の世界の折りたたみスマートフォン出荷台数は約1,600万台で、これは全スマートフォンの出荷台数のわずか1.4%にとどまっています。しかし、今後数年でこの数字は大きく伸びると予測されており、2028年には4,570万台に達するとの予測もあります。
- 日本市場: 日本国内では、2023年度の出荷台数は22.5万台で、全スマホの0.9%です。しかし、2028年度には181万台へと8倍に拡大すると見込まれています。
高いシェアを持つメーカー
- Samsung(サムスン): 世界の折りたたみスマートフォン市場で圧倒的なリーダーです。MM総研の2023年調査では、世界シェアの65.6%、日本市場でも60.4%を占めています。
- 中国メーカー: 最近では、中国のHuawei(ファーウェイ)、OPPO、Honor、Xiaomiといったメーカーが、特に中国国内市場で急速にシェアを伸ばしています。Huaweiは米国市場から排除されているにもかかわらず、技術革新と積極的な製品投入により、Samsungの牙城を崩しつつあるという分析もあります。
市場の今後の展望
市場はまだニッチな段階にありますが、Appleの折りたたみiPhone参入が、市場全体の活性化の鍵を握ると広く見られています。Appleの参入により、折りたたみスマホの認知度がさらに高まり、各メーカーの競争が激化することで、価格の低下や製品の多様化が進むと考えられています。
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