この記事で分かること
- ぺダル踏み間違いによる事故発生数:事故件数自体は、自動ブレーキの普及等により長期的には減少傾向にあります。しかし、事故全体に比べ減少スピードが緩やかなため、相対的な割合は増加しています。
- 加速抑制の仕組み:カメラやセンサーが前後の障害物を検知し、衝突の危険がある状態でアクセルが強く踏まれた際、エンジン出力を自動で抑制する仕組みです。ブザーで警告しつつ、速度を時速8km以下に抑えて急発進を防ぎます。
ぺダル踏み間違い時加速抑制装置の基準強化
国土交通省は、2026年1月9日に「ペダル踏み間違い時加速抑制装置(ACPE)」の国際基準の改正に合わせ、国内の保安基準を強化・拡大することを発表しました。
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00770966
これまでは「停車状態」からの急発進抑制が主眼でしたが、今回の基準強化により、「クリープ走行時」からの踏み間違いにも対応することが義務付けられます。
ペダル踏み間違いによる事故はどれくらい増加しているのか
「踏み間違い事故が急増している」というイメージを持たれがちですが、統計データを詳しく見ると、「件数自体は減少傾向にあるものの、他の事故に比べて減り幅が小さく、相対的な危険性が高まっている」というのが実態です。
1. 事故件数の推移:全体は減っているが、踏み間違いは「横ばい〜微減」
交通事故全体は、自動ブレーキ(AEBS)の普及などによりここ10年で大きく減少しています。一方で、ペダル踏み間違い事故の減少スピードは緩やかです。
- 全交通事故: 過去10年で約3〜4割減少。
- 踏み間違い事故: 年間約3,000〜6,000件程度で推移。直近の2024年のデータでは約2,853件(交通事故総合分析センター調べ)となっており、「事故全体に占める割合」は相対的に上がっています。
2. 年齢別の傾向:高齢者と「若者」に多い
「踏み間違い=高齢者」と思われがちですが、実は免許取り立ての若年層も多いのが特徴です。
- 75歳以上の高齢者: 加齢による認知・判断能力の低下、パニック時の硬直が主な原因。死亡・重傷事故につながる割合が非常に高い。
- 24歳以下の若者: 運転操作の不慣れや、焦りによるミスが中心。
- 構成比: 踏み間違い事故の約半数は65歳以上によるものですが、20代以下の若年層も一定の割合(20%前後)を占め続けています。
3. 発生場所と被害の特徴
踏み間違い事故は、一般の道路よりも「駐車場(道路外)」で圧倒的に多く発生しています。
- 場所: 駐車場での発進・バック時が約半数を占めます。
- 被害: 壁への衝突だけでなく、歩行者を巻き込む「対人事故」や、一度衝突した後にパニックでさらにアクセルを踏み込み、被害を拡大させる「多重衝突」が発生しやすいのが特徴です。
なぜ今、基準が強化されるのか
事故件数が劇的に減っていない理由として、「これまでの安全装置(サポカー)では防げないパターン」が残っていることが挙げられます。
- これまでの装置: 前方に「壁」や「車」がないと作動しないものが多かった。
- これからの基準: 障害物がない場所での急加速や、歩行者に対しても作動することが求められるようになります。
国交省は、2028年以降の新型車から、より高性能な加速抑制装置の搭載を義務付けます。これにより、これまで防げなかった「クリープ走行時」や「歩行者相手」の事故を大幅に減らす狙いがあります。

事故件数自体は、自動ブレーキの普及等により長期的には減少傾向にあります。しかし、事故全体に比べ減少スピードが緩やかなため、相対的な割合は増加しています。特に高齢者による死亡・重傷事故の比率が高く、社会問題となっています。
ペダル踏み間違い時加速抑制装置とは何か
ペダル踏み間違い時加速抑制装置(ACPE)とは、駐車場などでブレーキと間違えてアクセルを強く踏み込んでしまった際、以下のような仕組みで車の急加速を自動で抑えるシステムのことです。
1. 仕組み:センサーが異常を検知
車体に付いたカメラや超音波センサー(ソナー)が、進行方向の障害物(壁、車両、最新基準では歩行者も含む)を検知します。
その状態でアクセルが強く踏み込まれると、システムが「踏み間違い」と判断します。
2. 動作:加速を「クリープ現象」並みに抑える
システムが作動すると、以下の2段階でドライバーをサポートします。
- 警報: ブザー音やメーター内の表示(「アクセルを離してください」など)で警告します。
- 出力抑制: エンジンの出力をカットしたり、モーターの制御を行ったりして、車が飛び出さないよう加速を制限します。スピードは時速8km以下(クリープ走行程度のゆっくりとした動き)に抑えられます。
3. 注意点:自動ブレーキとは別物
この装置はあくまで「加速を抑える」ものであり、多くの場合は「自動で完全に停止する(ブレーキをかける)」機能は含みません。
そのため、衝突を避けるためには、警告を受けたドライバー自身がブレーキを踏み直す必要があります。
なぜ「加速抑制」だけで止まらないのか
踏切内で遮断機が下りてきた場合など、システムが誤作動した際に「完全に停止」してしまうと、かえって危険な状況になることがあるためです。最新の基準では、アクセルを踏み続けることで機能を強制解除し、脱出できる仕組みも備わっています。

障害物がある際にアクセルを強く踏み込んでも、センサーが検知してエンジンの出力を自動で抑える装置です。急発進を防ぎ、速度を時速8km以下に制限します。衝突回避には、運転者のブレーキ操作が必要です。
拡大される対象車種は何か
2026年1月9日の国交省の発表により、義務化の対象はこれまでの「乗用車」から、新たに「小型のトラックやバンなどの貨物車」へと拡大されます。
新たに対象となる車種
- 車両総重量 3.5t 以下の貨物自動車(AT車のみ)
- 例:軽トラック、軽バン、ハイエースなどの小型商用車、1.5t〜2tクラスの小型トラック(エルフ、キャンターの一部など)が含まれます。
- ※クラッチ操作が必要なマニュアル車(MT車)は対象外です。
導入スケジュール
すでに義務化が決まっている乗用車に続く形で、以下のスケジュールで適用されます。
| 車種区分 | 新型車(フルモデルチェンジ車など) | 継続生産車(現行モデルの継続販売) |
| 国産乗用車 | 2028年9月〜 | 2030年頃(予定) |
| 小型貨物車(3.5t以下) | 2030年9月〜 | 2032年9月〜 |
なぜ貨物車まで拡大するのか
配送業務などで住宅街や狭い駐車場を走行する機会が多い小型トラックは、踏み間違いによる対人・対物事故のリスクが乗用車同様に高いためです。
また、今回の基準強化により、これまでは対象外だった「歩行者」も検知対象に含まれるようになるため、仕事現場での安全性がより高まることが期待されています。

これまでの乗用車(定員10人未満)に加え、新たに「車両総重量3.5t以下の貨物自動車(AT車)」が義務化の対象となります。軽トラや小型バン、2tクラスまでの小型トラックなどが含まれます。

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