SWCCのストップ高 どんな製品を扱っているのか?ストップ高の理由は何か?

この記事で分かること

  • SWCCの扱っている製品:電力ケーブル(超高圧・低圧)や光ファイバケーブルなど、社会インフラの基盤製品を扱います。加えて、自動車・電子機器向けのワイヤハーネス、モーター用巻線、半導体関連の高機能材など先端製品も手掛けています。
  • ストップ高の理由:通期業績予想の大幅な上方修正と増配計画の発表が最大の要因です。特に高機能材やACFなどの売上が好調で、円安も追い風となり、市場の期待を大きく上回る好決算と評価されました。
  • 異方性導電膜とは:熱硬化性接着剤と導電性フィラーからなるフィルムで、ディスプレイや電子機器の微細な電気接続に使われます。

SWCCのストップ高

 電線・ケーブル大手のSWCC(旧:昭和電線ホールディングス)が連日ストップ高となっています。

 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL1326L0T11C25A1000000/

 主な要因は、好決算の発表とそれに伴う通期業績予想の大幅な上方修正が市場でポジティブに評価されているためです。

ストップ高となっている理由は何か

 SWCCは、かつて昭和電線ホールディングスとして知られていた企業で、電線・ケーブル製品の製造・販売を主軸としています。電力用ケーブルや通信用ケーブルのほか、自動車部品や高機能材など、幅広い分野で製品を提供しています。

ストップ高の主な理由

  • 通期業績予想の大幅な上方修正
    • 以前の予想から、通期の営業利益が大きく引き上げられました。
    • 市場のコンセンサス(事前予想)を上回る水準だったため、想定外の好材料として受け止められました。
  • 第2四半期(7-9月期)の好調な決算
    • 特に7-9月期の営業利益が前年同期比で大幅な増益となり、業績のモメンタム(勢い)が確認されました。
  • 事業の好調要因
    • 上方修正の背景には、円安による追い風に加え、特定の製品(例:ACF光半導体関連製品など)の売上が好調であったことなどが挙げられています。
  • 配当金計画の引き上げ
    • 業績の上方修正に伴い、年間配当金計画も引き上げられたことが、投資家心理をさらに改善させました。

 これらの複合的な要因により、SWCCの株価は急激に上昇し、連日のストップ高という状況に至っています。

通期業績予想の大幅な上方修正増配計画の発表が最大の要因です。特に高機能材やACFなどの売上が好調で、円安も追い風となり、市場の期待を大きく上回る好決算と評価されました。

どんな電線・ケーブル製品を扱っているのか

 SWCCは、非常に幅広い種類の電線・ケーブル製品と、それに関連する高機能製品を扱っています。主な製品群は、以下の2つの事業セグメントに分けられます。


1. エネルギー・インフラ事業

 社会の基盤となる電力インフラや建設分野を支える製品が中心です。

  • 電力ケーブル
    • 特別高圧(超高圧)ケーブル:発電所や変電所、長距離送電などに使用されます。
    • 高圧・低圧電力ケーブル (CV, IVなど):ビル、工場、住宅などの屋内・設備配線に使用される一般的なケーブル。
    • アルミCVケーブル:軽量化・コストダウンに貢献するアルミ導体を使用したケーブル。
  • 通信インフラ関連
    • 光ファイバケーブル:高速大容量通信網の基盤。
    • メタル通信ケーブル:従来の通信用ケーブル。
  • 電設資材・機器
    • 電力機器部品:ケーブル同士の接続や電力機器との接続に使うコネクタ(例:SICONEX®)。
    • 免震・制振・防振製品:建物や機器の振動を抑えるための装置や部材(免震装置など)。

2. 通信・コンポーネンツ事業

 自動車、電子機器、情報通信など、先端技術分野に使われる製品が中心です。

  • 機器用電線・ケーブル
    • 産業機器、電子機器の内部配線に使われる電線・ケーブル。
    • ワイヤハーネス:複数の電線を束ね、コネクタなどを取り付けた、主に自動車に使われる部品。
  • 巻線(まきせん)
    • モーター、変圧器などのコイルに使われる電線。
  • 高機能線材・精密デバイス
    • 無酸素銅線材(MiDIP):高品位な線材で、主に自動車部品などに使われます。
    • 銅合金線:高い電気伝導性と強度を持つ線材。
    • 精密デバイス:半導体検査装置に使われるコンタクトプローブなど。

 SWCCは、単なる電線だけでなく、「ACF」(異方性導電膜)といった半導体やディスプレイ製造に使われる高機能材にも強みを持っており、これが今回の業績上方修正の大きな要因の一つと見られています。 

電力ケーブル(超高圧・低圧)や光ファイバケーブルなど、社会インフラの基盤製品を扱います。加えて、自動車・電子機器向けのワイヤハーネス、モーター用巻線、半導体関連の高機能材など先端製品も手掛けています。

異方性導電膜とは何か

 異方性導電膜(ACF)は、SWCCの業績好調の要因の一つにもなっている、電子部品の接続に不可欠な高機能な接着材料です。

ACFの基本的な仕組み

 ACFは、主に以下の3つの要素から構成されるシート状の接着フィルムです。

  1. 熱硬化性接着剤(マトリックス):接続したい部品同士をしっかりと固定する役割を持ちます。
  2. 導電性フィラー(粒子):非常に微細な金属粒子(多くは金メッキされた樹脂粒子)で、電流を流す役割を持ちます。
  3. フィルム:上記を保持するシート状の基材。

最大の特徴:「異方性」

 「異方性」とは、方向によって性質が異なるという意味です。

  • 垂直方向(Z軸方向): 熱圧着された際に、上と下の電極が導電性フィラーを介して接触し、電気が流れます
  • 水平方向(X-Y軸方向): 導電性フィラー同士は物理的に接触しないため、電気が流れません(絶縁状態を保ちます)。

主な用途

 この「垂直方向にのみ導通する」という特性により、ACFは以下のような微細で高密度な接続が求められる分野で広く使われています。

  • 液晶ディスプレイ(LCD)/有機ELディスプレイ(OLED)
    • 駆動用ICチップ(ドライバIC)をガラス基板に接続する(FPC/COF/COG接続)際に使用されます。
  • フレキシブルプリント基板(FPC)
    • スマートフォンやタブレットなどの小型電子機器内部の接続。
  • 各種センサーや半導体パッケージ
    • 小型化・高密度化が求められる部品の接続。

 ACFは、ハンダ付けが難しい、または不可能な非常に細かいピッチ(間隔)での接続を可能にする、現代の電子機器の小型化・高性能化に欠かせない技術です。

熱硬化性接着剤導電性フィラーからなるフィルムです。垂直方向(Z軸)には電流を通しますが、水平方向(X-Y軸)は絶縁状態を保つ異方性を持ち、ディスプレイや電子機器の微細な電気接続に使われます。

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