帝人の高機能不織布 不織布とは何か?縦型不織布の特徴は何か?

この記事で分かること

  • 不織布とは:繊維同士を熱、圧力、化学的、または機械的な方法で絡み合わせてシート状にした布状素材です。
  • 縦型不織布とは:繊維が布面に対して垂直(縦方向)に立った構造の不織布のことで、高反発・高弾性、優れた通気性などの特性をもっています。
  • 通気性に優れる理由:繊維と繊維の間に上下方向の空間ができやすいため、縦型不織布は通気性に優れています。

帝人の高機能不織布

 帝人フロンティア株式会社は、新たな高機能不織布のマザーブランドとして 「Fibre Cushion」を展開開始することを発表しています。

 https://www2.teijin-frontier.com/news/post/192/

 不織布の用途が幅広いものになるなかで、不織布のマザーブランドを立ち上げることで、ニーズの細分化、多様化に対応するものとしています。

 製品の一つであるFibre Cushion VLは縦型構造の不織布であり、優れた反発性や通気性をもつ不織布となっています。

不織布とは何か

 不織布( nonwoven fabric)は、繊維を織ったり編んだりせず、繊維同士を熱、圧力、化学的、または機械的な方法で絡み合わせてシート状にした布状素材です。

主な特徴

  • 織物や編物とは異なる構造
    → 糸を経緯方向に組み合わせるのではなく、繊維をそのままシート化。
  • 大量生産・低コスト
    → 短時間で広い面積を作れるため、安価に製造可能。
  • 機能性を付与しやすい
    → 吸水性、撥水性、抗菌性、通気性など、用途に応じた加工が容易。
  • 用途が幅広い
    → 医療用マスク、オムツ、フィルター、衣料用芯地、農業用シート、カーペット裏材、車内材など。

製造方法の代表例

  • スパンボンド法:繊維を溶融・押出して直接ウェブ化し、熱で接着。
  • メルトブロー法:極細繊維を吹き出して絡ませる。
  • ニードルパンチ法:繊維を針で物理的に絡める。
  • 熱接着法:熱で一部の繊維を溶かして固める。

不織布とは繊維同士を熱、圧力、化学的、または機械的な方法で絡み合わせてシート状にした布状素材です。

縦型不織布とは何か

 縦型不織布(英: vertical nonwoven fabric)とは、繊維が布面に対して垂直(縦方向)に立った構造の不織布のことです。

 普通の不織布は、繊維が平面方向(水平方向)にランダムに広がっているのに対し、縦型は繊維が「垂直に立つ」ことで、以下のような特性が得られます。


縦型不織布の主な特徴

  • 高反発・高弾性
    → 縦の繊維がバネのように機能し、座布団やマットレス、クッションに適する。
  • 優れた通気性
    → 空気の通り道が確保され、蒸れにくい。
  • 軽量でありながら耐圧分散性
    → 軽いのに人の体重を面で支え、圧力が集中しにくい。
  • 高い耐久性
    → へたりにくく、長期間の使用に耐える。

製造のしくみ

帝人の「AIRVERTICAL」などは、特殊な製法で繊維を縦方向に成型し、
さらに熱や接着剤で固定してシート化します。
これにより、通常の不織布では難しい立体構造を持たせています。


主な用途例

  • クッション材(座席、ベッドマット、枕)
  • 防振材
  • 建材(断熱材、遮音材)
  • アパレル用途(防寒具など)

縦型不織布は繊維が布面に対して垂直(縦方向)に立った構造の不織布のことで、高反発・高弾性、優れた通気性などの特性をもっています。

なぜ通気性に優れるのか

 縦型不織布は 繊維が布面に対して垂直 に並んでいるため、繊維と繊維の間に上下方向の空間(通り道)ができるのが大きな理由です。

  • 通常の(水平)不織布 → 繊維がランダムに絡み合い、空気の通り道が複雑で詰まりやすい。
  • 縦型不織布 → 繊維が垂直に立っているので、空気がスムーズに上から下へ、または下から上へ抜ける。

 この構造はちょうど「ストローの束」のようなイメージで、空気が一方向に抜けやすくなります。

  • 蒸れにくい
  • 熱がこもりにくい
  • 水分も乾きやすい

という利点が生まれます。

繊維と繊維の間に上下方向の空間ができやすいため、縦型不織布は通気性に優れています。

なぜ、高い反発力や耐久性を持つのか

 縦型不織布(たて型不織布)が「高反発」「耐久性」に優れている理由は、そのユニークな「繊維の垂直構造」と「素材・加工技術」の組み合わせにあります。


1. 高反発に優れる理由

繊維が垂直に立った構造
  • 通常の不織布は繊維が水平方向にランダムに広がっていますが、縦型不織布は、繊維が「布面に対して垂直=上から下に立っている」状態。
  • この構造は、押し込まれたときに「繊維がまっすぐ押し返す」ため、バネのような反発力が得られます。

結果:押しても沈み込みすぎず、身体をしっかり支える=高反発

一定の密度で安定した復元力

  • 繊維が均一に立って配置されていることで、荷重が全体に分散しやすく、押した後も素早く元の形に戻ろうとする力(復元力)が強いです。

2. 耐久性に優れる理由

構造が潰れにくい
  • 縦型に立てた繊維は、繰り返し押されたり体重をかけられても「倒れたりねじれたりしにくい」構造です。
  • これにより、長期間使ってもへたりにくく、形状を維持しやすくなります。
熱圧着や接着加工で繊維を固定
  • 熱や接着技術によって、繊維の立体的な配置がしっかりと保持されるため、型崩れしにくい。
  • 耐摩耗性や洗濯耐性も向上。
材料自体が強い(例:ポリエステル繊維)
  • ポリエステルは湿気・カビ・摩耗に強く、繰り返しの荷重にも強いため、素材そのものが高耐久。

🛏️ 結果として得られるメリット

  • 長時間座っても/寝ても底付きしない
  • 使用後すぐに元の形に戻る
  • 長期間使ってもへたらない
  • 軽くて通気性が良いのに、しっかり支える

縦型不織布は「構造力学的に合理的な繊維配置」+「素材の強さ」+「加工技術」の3点によって、高反発性と耐久性を同時に実現しています。

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