この記事で分かること
- フィルムの特徴:100%植物由来のポリ乳酸(PLA)樹脂を原料とした光学フィルムであり、高い光透過性・低い屈折率といった特徴を持っています。
- 植物性フィルムとは:原料の一部または全部に植物などの再生可能な有機資源を用いたプラスチックフィルムです。石油資源の使用を減らし、植物が吸収した二酸化炭素でカーボンニュートラルに貢献します。ポリ乳酸(PLA)などが代表的です。
- 半導体製造での用途:高い光透過性を活かし、レーザー光を利用する製品の製造プロセスにおいて、光学的な検査・処理の精度を高めるプロセスフィルムとして利用が想定されています。
東洋紡の植物由来の光学フィルム
東洋紡は、100%植物由来のポリ乳酸樹脂を原料とする光学フィルムの試作品を新たに開発し、半導体の製造工程やディスプレーの検査工程用途などの製造プロセス向けに展開しています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF177GY0X11C25A0000000/
このフィルムは、高い光透過性と低い屈折率というポリ乳酸の持つ光学特性を、独自の二軸延伸技術により最大限に引き出したものです。広範な波長域の光を透過する性質を特長としており、環境配慮と高性能を両立しています。
どのようなフィルムなのか
東洋紡が半導体製造でも使用を見据えて開発した植物由来フィルムは、100%植物由来のポリ乳酸(PLA)樹脂を原料とする光学フィルムの試作品です。
このフィルムの主な特徴は以下の通りです。
フィルムの原料と種類
- 原料: 100%植物由来のポリ乳酸(PLA)樹脂。環境負荷の低いバイオマス素材です。
- 種類: 光学フィルム(二軸延伸ポリ乳酸フィルム)として開発されています。
主な性能・特長
- 光学特性: ポリ乳酸の持つ高い光透過性と低い屈折率を、独自の二軸延伸技術により最大限に引き出しています。
- 透過性: 広範な波長域の光を透過する性質を持っています。
想定される主な用途
開発元である東洋紡は、この高い光学特性を活かし、特に以下の製造プロセス用途への展開を目指しています。
- 半導体の製造工程
- ディスプレーの検査工程
高性能な工業用途で求められる特性と、環境に配慮した植物由来原料の採用を両立させた製品です。

東洋紡は、100%植物由来のポリ乳酸(PLA)樹脂を原料とした光学フィルムを開発しました。独自の技術で高い光透過性・低い屈折率を実現し、半導体やディスプレーの製造・検査工程への利用を目指す、環境配慮型かつ高性能なフィルムです。
植物由来フィルムとは何か
「植物由来フィルム」とは、原料の一部または全部に植物などの再生可能な有機資源(バイオマス)を使用したプラスチックフィルムのことです。主な特徴や、従来の石油由来プラスチックとの違いは以下の通りです。
1. 原料
- 植物由来(バイオマス)原料を使用します。
- 例: トウモロコシやサトウキビのデンプン・糖から作られるポリ乳酸(PLA)、サトウキビ由来のバイオポリエチレン(バイオPE)などがあります。
2. 環境への配慮
- カーボンニュートラルへの貢献が期待されます。原料である植物が生育過程で光合成により二酸化炭素を吸収しているため、製品を焼却しても、大気中の二酸化炭素の総量を実質的に増やさないと考えられています。
- 化石資源に依存しない持続可能な資源の利用につながります。
3. 特性
- 植物由来フィルムは、「バイオマスプラスチック」に分類されます。
- すべてが生分解性を持つわけではありません。
- 例:
- ポリ乳酸(PLA)のように、微生物の働きで水と二酸化炭素に分解される生分解性を兼ね備えるものがあります。
- バイオPEのように、石油由来のポリエチレンとほぼ同じ性質を持ち、生分解性を持たないものもあります。
4. 用途
- 食品包装、農業用マルチフィルム、医療・衛生資材、そして東洋紡が開発を進めているような工業用(光学フィルム、電子機器部材など)にまで、幅広い分野で導入が進められています。

原料の一部または全部に植物などの再生可能な有機資源(バイオマス)を用いたプラスチックフィルムです。石油資源の使用を減らし、植物が吸収した二酸化炭素でカーボンニュートラルに貢献します。ポリ乳酸(PLA)などが代表的です。
半導体の製造工程ではどのように使用されるのか
東洋紡の発表によると、このポリ乳酸フィルムは、レーザー加工そのものの材料としてではなく、主にレーザー光を利用する製造プロセス、特に光学的な検査や処理用途に適したフィルムとして開発されています。具体的な使用方法は以下の通りです。
1. 光学的検査・処理用途
ポリ乳酸(PLA)は、紫外線・可視光線・赤外線といった広範な波長域の光を透過する優れた透明性と、低い屈折率という光学特性を持っています。
- この特性を活かし、半導体の製造工程やディスプレーの検査工程において、光(レーザー光を含む)を利用した高精度の検査や処理を行う際のプロセスフィルムとして利用されます。
2. レーザー加工との関連
PLA自体は、有機材料であるためレーザー光を吸収しやすく、レーザー加工(アブレーション)の対象となり得る素材です。
- このフィルムは、光レーザーを利用する製造プロセスに耐えうるように、工業用途に求められる耐熱性や機械強度、寸法安定性を独自の技術で確保しています。
このフィルムは、レーザー光の透過性を利用して、半導体製造過程における光学的な精度を高めるための「環境配慮型高性能フィルム」として使われることが期待されています。

東洋紡のフィルムは、高い光透過性を活かし、レーザー光を利用する半導体やディスプレーの製造プロセスにおいて、光学的な検査・処理の精度を高めるプロセスフィルムとして利用が想定されています。

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