豚熱の感染 豚熱とは何か?過去の流行ではどれくらいの被害があったのか?

この記事で分かること

・豚熱とは:豚やイノシシがかかるウイルス性の家畜伝染病で、人には感染しないものの、豚の死亡率の高い病気になっています。

・過去の被害:2018年〜2021年までの流行では約17万頭以上が殺処分されています。

豚熱の感染

 ​群馬県前橋市の養豚場で豚熱(クラシック・スワイン・フィーバー、CSF)の感染が確認され、約8,700頭の豚が殺処分されることになりました。

 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC047JL0U5A400C2000000/

 4月3日に養豚場から豚が死ぬ例が増えていると通報があり、県の中部家畜保健衛生所が養豚場の豚29頭を検査したところ22頭に感染の疑いがあると判明。国の研究機関がさらに検査し、4日夜に陽性を確認しています。

豚熱とは何か

 豚熱(とんねつ、英語:Classical Swine Fever/CSF)は、豚やイノシシがかかるウイルス性の家畜伝染病です。別名「クラシカル・スワイン・フィーバー」とも呼ばれます。


■ 特徴

  • 原因:豚熱ウイルス(フラビウイルス科)
  • 感染経路
    • 感染豚との接触
    • 汚染された器具、車両、衣類など
    • 感染肉や肉製品の摂取(イノシシが特に注意)

■ 症状(豚やイノシシに現れる)

  • 高熱(40度以上)
  • 食欲不振
  • 元気消失
  • 歩行異常や震え
  • 出血斑や内出血(重症化)
  • 死亡率が高い(特に子豚)

■ 人への影響

  • 人には感染しません
  • 感染した豚の肉を食べても健康被害はありません

■ 対策

  • ワクチン(現在、日本では一部の地域で使用中)
  • 感染が確認された農場では速やかに殺処分と消毒を実施
  • 野生イノシシへの経口ワクチン配布も行われています

豚熱は豚やイノシシがかかるウイルス性の家畜伝染病で、人には感染しないものの、豚の死亡率の高い病気になっています。

過去、豚熱はどんな被害があったのか

 以前から、日本でも世界でも豚熱による被害は以下のように多く見られています。

● 昭和時代の発生(1950年代~1990年代)

  • 日本では1880年代に初めて確認され、長らく発生を繰り返していました。
  • 1992年以降は発生がなくなり、2007年には清浄国として国際機関(OIE)に認定されました。

● 2018年~再発(令和時代)

■ 初の再発(2018年9月、岐阜県)
  • 約26年ぶりに岐阜県で豚熱が再発
  • 野生イノシシが感染源と考えられ、以降、周辺地域へ急速に広がる。
■ 主な影響(2018年以降)
  • 発生地域:岐阜、愛知、長野、三重、埼玉、群馬など
  • 殺処分された豚の数:2018年〜2021年までに約17万頭以上
  • 農場数:多数の養豚場で発生、経済損失が大きくなる
  • 対策:2019年からワクチン接種開始、経口ワクチンをイノシシにも適用

【世界の豚熱の被害】

  • CSFは世界中に存在する病気で、アジア、アフリカ、南米の一部地域で流行があります。
  • 特に衛生管理が難しい地域では感染が続いています。

【経済的影響】

  • 養豚業への打撃:出荷停止、飼料損失、設備消毒費など
  • 地域経済:畜産業が基幹産業の地域では重大な影響
  • 輸出規制:発生地域からの豚肉輸出が制限される

日本でも世界でも豚熱による被害以下のように多く見られ、出荷停止や設備の消毒費など経済的な打撃を起こしてきました。

豚熱ウイルスはどこから来るのか

 豚熱ウイルス(CSFウイルス)は、自然界で主にイノシシや豚の間で保たれているウイルスで、人間には感染しません。


■ 豚熱ウイルスの「起源」と「広がり」

● 起源
  • 明確な「起源地」は特定されていませんが、19世紀にヨーロッパで最初に記録されました。
  • その後、世界中に広がり、特にアジア・ヨーロッパ・中南米で定着。

■ 現代の感染源・拡大ルート
  1. 野生のイノシシ
    • 感染したイノシシがウイルスを持ち歩き、糞尿や体液でウイルスをまき散らす
    • 養豚場のフェンスを越えて侵入したり、間接的に物を汚染したりする
  2. 豚肉製品の持ち込み
    • 海外から違法・未加熱の豚肉製品(ソーセージなど)を持ち込むことが原因になることも
    • 空港や港で摘発例あり(中にはCSF陽性の製品も)
  3. 人や物の移動
    • 養豚場に出入りする人・車両・器具がウイルスを運ぶことがある(靴や衣服に付着)
  4. 汚染された飼料
    • 感染肉を含んだ残飯などを加熱処理せずに与えると感染源になる

■ 豚熱ウイルスのしぶとさ

  • ウイルスは環境中でも比較的長く生存(特に低温・乾燥環境では数週間)
  • 加熱には弱く、70℃で30分加熱すれば死滅します

豚熱ウイルスは、自然界で主にイノシシや豚の間で保たれているウイルスで、野生のイノシシが感染することで、広がっていったり、海外からの豚肉製品の持ち込みなどで広がることもあります。

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