この記事で分かること
- 聯合飛機とは:産業・軍用向けに特化したハイエンドドローンメーカーです。独自の同軸二重反転プロペラ技術による大型無人ヘリコプターや、高速移動と垂直離着陸を両立するティルトローター機に強みを持ちます。
- 同軸二重反転プロペラとは:一つの軸に二層のプロペラを配置し、互いに逆方向へ回転させる機構です。回転時に発生する機体のねじれ(反トルク)を上下で打ち消し合うため、尾翼のローターが不要となり、安定した飛行と強力な積載能力を両立できます
- なぜ上場するのか:ティルトローター機などの高度な機体開発には莫大な資金が必要なほか、年間1万機規模への増産や、中東・東南アジア等への海外展開を加速させるための軍資金を調達し、「低空経済」市場での覇権を狙うのが目的です。
聯合飛機の上場
中国のドローン・有人航空機メーカーである聯合飛機(United Aircraft Group)は早ければ2027年、あるいは2028年までの上場を目指しており、現在はその準備段階にあると報道されています。
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/70500f1e268ee0eb5fcea19649d19c73c472c5d5
現在非常に強力な成長曲線を描いており、次世代モデルの研究開発(R&D)資金の調達、および生産能力の拡大が目的とされています。
聯合飛機はどんな企業か
聯合飛機(United Aircraft Group / 联合飞机集团)は、中国を代表する「産業用・軍用ドローンのハイエンドメーカー」です。
単なる小型ドローンの会社ではなく、ヘリコプター並みの大型機や、次世代の飛行メカニズムを持つ機体を得意とする、技術集団としての側面が強い企業です。
1. 世界屈指の「無人ヘリコプター」技術
多くのドローン企業がプロペラ4つの「マルチコプター」を作る中、同社は「無人ヘリコプター」のパイオニアです。
- 同軸二重反転プロペラ: 上下に2層のプロペラが回る特殊な構造(ロシアの軍用ヘリ「カモフ」のような方式)を得意としています。これにより、強風に強く、狭い場所でも安定して重い荷物を運ぶことができます。
- 主力機 TD550: 消防、電力点検、通信中継などに使われる大型機で、標高の高い山岳地帯や過酷な環境での運用に強みを持っています。
2. 次世代機「Lanying R6000」の開発
2025年末に初飛行に成功した「Lanying R6000」は、世界的に注目されている機体です。
- ティルトローター機: 離着陸時はヘリコプターのように垂直に上がり、飛行中はプロペラを前へ向けて飛行機のように高速移動します(米軍のオスプレイと同じ原理)。
- 圧倒的なスペック: 最大離陸重量6トン、時速550km、航続距離4,000kmを誇り、物流だけでなく「空飛ぶクルマ(有人/無人)」としての活用も期待されています。
3. 「低空経済」のトップランナー
中国政府が推進する「低空経済(Low-altitude economy)」(高度1,000m以下の空域を活用した新しい経済圏)において、最も有力なプレイヤーの一つです。
- 自社一貫体制: エンジンから機体設計、制御システムまでを自社(中国国内)で完結させる垂直統合型のサプライチェーンを持っており、地政学リスクに強いのも特徴です。
- 拠点の広がり: 深センを拠点に、北京、蕪湖(安徽省)、西安(陝西省)などに大規模な研究開発・製造拠点を展開しています。
企業の基本プロフィール
- 創業者: 田剛印(Tian Gangyin)。北京航空航天大学出身のエンジニアで、学生時代から無人機の開発で頭角を現した人物です。
- 設立: 2014年(前身のZHZ社から発展)。
- ステータス: 未上場(シリーズEの資金調達段階)。2027〜2028年のIPOを目指しています。

中国の聯合飛機(United Aircraft Group)は、産業・軍用向けに特化したハイエンドドローンメーカーです。
独自の同軸二重反転プロペラ技術による大型無人ヘリコプターや、高速移動と垂直離着陸を両立するティルトローター機に強みを持ちます。中国政府が推進する「低空経済」の象徴的企業として、物流や災害救助、消防などの分野で世界展開を加速させています。
同軸二重反転プロペラとは何か
同軸二重反転プロペラ(Coaxial Contra-Rotating Propellers)とは、一つの軸に二層のプロペラを配置し、それぞれを逆方向(時計回りと反時計回り)に回転させる仕組みのことです。主な特徴とメリットは以下の通りです。
1. 安定性が高い(反トルクの打ち消し)
通常のヘリコプターは、プロペラが回ると機体が反対方向に回ろうとする力(反トルク)が発生するため、尻尾のプロペラ(テールローター)で抑え込む必要があります。
二重反転式は、上下のプロペラが互いの回転力を打ち消し合うため、テールローターが不要になり、非常に安定して飛行できます。
2. 重いものを運べる(高効率・高推力)
上下二層で空気を掻き出すため、同じローター径でも通常のヘリより大きな揚力(持ち上げる力)が得られます。聯合飛機のドローンが「重い荷物」を運べるのはこのためです。
3. コンパクト
テールローターが不要な分、機体全体のサイズを小さく抑えることができ、狭い場所での離着陸や、風の影響を受けやすい山岳地帯での運用に向いています。
デメリットとしては、回転軸の構造が非常に複雑になり、高い設計・製造技術が求められる点が挙げられます。聯合飛機はこの複雑な技術を自社で確立している点が、他社に対する大きな強みとなっています。

一つの軸に二層のプロペラを配置し、互いに逆方向へ回転させる機構です。回転時に発生する機体のねじれ(反トルク)を上下で打ち消し合うため、尾翼のローターが不要となり、安定した飛行と強力な積載能力を両立できます。機体をコンパクトに保ちつつ重い荷物を運べるのが最大の特徴です。
なぜIPOするのか
聯合飛機(United Aircraft Group)がIPO(新規株式公開)を目指す主な理由は、「急成長のための巨額資金調達」と「グローバル市場での信頼獲得」の2点に集約されます。
1. 次世代機(R6000等)の研究開発と量産
同社は現在、ヘリコプターと飛行機の長所を併せ持つティルトローター機「Lanying R6000」など、極めて難易度の高い機体の量産フェーズに入っています。
- 莫大なR&D費用: 航空機の開発には高度な安全認証や試験飛行が必要で、継続的な資金投入が不可欠です。
- 生産ラインの拡大: 2026年に年間1万機以上のデリバリーを目指すため、工場の自動化やキャパシティ増強に向けた資金を必要としています。
2. 「低空経済」の覇権争いへの備え
現在、中国では政府主導で「低空経済」という巨大市場(物流、観光、救急など)が急速に形成されています。
- シェア拡大: ライバルのEHang(億航智能)などは既に上場しており、これに対抗して市場シェアを一気に奪うための軍資金を確保する狙いがあります。
3. 海外市場での信頼性とブランド力向上
同社は中東や東南アジアへの進出を加速させています。
- 公的ステータス: 上場企業となることで、財務の透明性が証明され、海外政府や大手企業との大型契約(BtoB、BtoG)がスムーズになります。
- 資金調達の多様化: 上場後は、銀行借り入れ以外にも増資など柔軟な資金調達が可能になります。
技術開発のステージが終わり、世界規模で商売を爆発させるための資金が必要になったためIPOを検討しています。

ティルトローター機などの高度な機体開発には莫大な資金が必要なほか、年間1万機規模への増産や、中東・東南アジア等への海外展開を加速させるための軍資金を調達し、「低空経済」市場での覇権を狙うのが目的です。
低空経済とは何か
低空経済(Low-altitude Economy)とは、地上から高度1,000m以下(最大3,000mまで)の空域を活用して行われる、新しい経済活動の総称です。
ドローンや「空飛ぶクルマ(eVTOL)」を活用し、物流、交通、防災、観光などのサービスを地上と同じように空で展開することを目指しています。
低空経済の「4つの柱」
- 物流・配送:山間部や離島への物資輸送、都市部でのフードデリバリーなど。
- 有人輸送(空の移動):「空飛ぶクルマ」によるタクシーサービスや、都市間移動。
- 公共サービス:ドローンによる農薬散布、送電線の点検、災害時の救助活動、交通監視。
- 地上インフラ・管理:ドローンポート(離着陸場)の建設や、多数の機体を安全に飛ばすための航空管制システムの運用。
なぜ今、注目されているのか
特に中国がこの分野で世界をリードしており、以下の理由で「未来の成長エンジン」と位置付けられています。
- 渋滞のない移動: 2次元(道路)から3次元(空)へ移動を拡張し、都市の混雑を解消します。
- 産業の裾野が広い: 機体製造だけでなく、通信(5G/6G)、センサー、バッテリー、保険など、多くの産業に波及効果があります。
- 政策的な後押し: 中国では2024年に国家レベルの戦略産業に指定され、法整備や飛行規制の緩和が急速に進んでいます。

高度1,000m以下の空域を活用した、ドローンや空飛ぶクルマによる新たな経済活動の総称です。物流、有人輸送、防災、農業点検などのサービスと、それを支える離着陸場や管制システム等のインフラ産業を含みます。

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