この記事で分かること
- 日本での販売台数:アメリカ車のシェアはおおよそ8.5%前後で、販売台数は推定で約1万9000台ほどとなっています。
- 苦戦の理由:サイズの大きさや燃費の悪さ、サービス、日本市場への適応の弱さなどが要因とされています。
アメリカ車の苦戦
日本市場で米国車の販売が振るわないことがニュースになっています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC222JO0S5A420C2000000/
トランプ政権からは、安全基準などの非関税障壁を指摘されていますが、アメリカのメーカからは否定も出ているようです。
ヨーロッパ車と比較してどのくらいの販売なのか
アメリカ車とヨーロッパ車の日本での販売台数を比較すると、ヨーロッパ車が圧倒的に多い状況です。
2024年の比較
- 外国メーカー車 全体の販売台数:22万7202台(前年比8.5%減)
- この中でヨーロッパ車(ドイツ、フランス、イタリアなど)が大部分を占めています。
- 例えば、メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンなどドイツ車は特に人気が高いです。
- アメリカ車のシェア:おおよそ8.5%前後
- 実台数に換算すると、約1万9000台ほど(推定)
理由として考えられること:
- 日本の道路事情に合ったコンパクトな車種がヨーロッパ車に多い。
- ドイツ車を中心にブランドイメージと品質の信頼性が高い。
- アメリカ車は一部で個性的なファンがいるものの、サイズや燃費、価格帯での競争力が弱いとされる。

日本市場では「輸入車=ヨーロッパ車」というイメージが定着しており、アメリカ車はニッチな存在になっている状況です。
アメリカ車の苦戦の理由は何か
アメリカ車が日本市場で苦戦している様々ですが、主な理由は以下の通りです。
1. サイズが大きすぎる
- 日本の道路は狭く、駐車場も小さいため、大型車が多いアメリカ車は扱いにくいと感じられがちです。
- 特に都市部では「取り回しやすさ」が重要視されます。
2. 燃費性能の差
- アメリカ車は大排気量エンジンが多く、燃費が悪いというイメージが強いです。
- ハイブリッドや軽自動車が好まれる日本市場とは相性が悪い傾向があります。
3. ディーラー網・サービス体制の不足
- ヨーロッパ車(特にドイツ車)と比べて、アメリカ車の販売・整備ネットワークが限られているため、購入後のサポートに不安を感じる人が多いです。
4. 日本市場への適応が弱い
- ヨーロッパ車は日本仕様を用意するなどローカライズ(現地対応)に積極的ですが、アメリカ車は右ハンドル対応などが遅れがちです。
- 日本独自のニーズに合ったモデルが少ないという声もあります。
5. ブランドイメージ・信頼性
- 日本では「輸入車=ドイツ車の高級感」といった印象が根強く、アメリカ車は一部のファンを除き、ラグジュアリーや高品質という印象が弱いです。
- また、故障が多いという過去のイメージも払拭しきれていません。
6. 貿易政策・関税の誤解
- 実際には日本は輸入車に高関税をかけていませんが、米国政治家の一部には「日本はアメリカ車を閉め出している」という誤解も残っています。

サイズの大きさや燃費の悪さ、サービス、日本市場への適応の弱さなどが要因となり、苦戦しています。
アメリカの代表的な車メーカーはどこか
アメリカの主要な自動車メーカーは以下の通りです。いわゆる「ビッグスリー(Big Three)」を中心に、EV新興勢力も含めてご紹介します。
【アメリカ自動車ビッグスリー(Big Three)】
1. General Motors(ゼネラル・モーターズ/GM)
- 本社:ミシガン州デトロイト
- 主なブランド:
- シボレー(Chevrolet)
- キャデラック(Cadillac)
- GMC(大型車・SUV)
- ビュイック(Buick/中国では高級ブランド扱い)
- 特徴:世界最大級の自動車メーカー。電動化も推進中。
2. Ford Motor Company(フォード)
- 本社:ミシガン州ディアボーン
- 主なブランド:
- フォード(Ford)
- リンカーン(Lincoln/高級車部門)
- 特徴:
- アメリカで圧倒的な人気を誇る**F-150(ピックアップトラック)**が看板モデル。
- EV「マスタング Mach-E」や「F-150 Lightning」なども展開。
3. Stellantis North America(旧FCA:フィアット・クライスラー)
- 本社:オランダだが、北米本社はミシガン州
- 主なアメリカ系ブランド:
- ジープ(Jeep)
- ダッジ(Dodge)
- クライスラー(Chrysler)
- RAM(ピックアップ専門ブランド)
- 特徴:
- ジープやダッジ・チャレンジャーなど、アメリカらしい力強いデザインで人気。
新興企業
4. Tesla(テスラ)
- 本社:テキサス州オースティン(旧カリフォルニア州)
- 特徴:
- アメリカ発の電気自動車メーカーで、世界のEV市場をリード。
- モデル3、Y、S、X などがあり、日本でも販売中。

GM、フォードStellantis North Americaのいわゆるビックスリーが有力企業ですが、近年はEVメーカーであるテスラも注目されています。
日本以外でアメリカ車が強い地域はあるのか
アメリカ本土やカナダなど、メキシコなどの周辺国以外でも以下のような地域でアメリカ車は存在感を示しています。
中東(特にサウジアラビア、UAEなど)
- 道路が広く燃料が安いため、大型SUVやピックアップトラックが好まれる。
- フォード・エクスペディション、シボレー・タホ、キャデラック・エスカレードなどが人気。
- 高級アメリカ車やマッスルカー(マスタング、チャレンジャー)も人気。
中国
- GM(シボレーやビュイック)は、かつて中国で非常に強いプレゼンスを持っていました。
- 特にビュイックは高級ブランドとして高評価され、一時期トヨタやVWを上回る販売台数を記録したことも。
- 近年は中国EVメーカーとの競争が激しく、シェアは減少傾向ですが、まだ存在感はあります。
4. オーストラリア
- アメリカ車と共通の好み(大排気量、後輪駆動、ピックアップ)を持つ市場。
- 特にフォードとGM(ホールデン)は歴史的に強く、オーストラリア市場で独自展開をしていました。
- ホールデンブランドは2020年に終了しましたが、今でもアメリカ車は一定の人気があります。
5. ロシア・中南米(限定的)
- ロシアやブラジル、アルゼンチンなどでは一部のアメリカ車(特にGM系)が生産・販売されていました。
- ただし、経済や政治の変動でシェアは流動的です。

アメリカ車は文化が近い地域や大型車が人気、燃費へのこだわりの少ない地域での人気が高くなっています。
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