老いる日本の住まい NHK出版スペシャル取材班 要約

本の要点

要点1

住宅の購入は多くの人にとっての目標ですが、多くのマイホームが空き家となって放置されています。総住宅数の13.6%が空き家といわれており、その数は今後も増加するとされています。

空き家の増加の背景には

・新築至上主義

・長期的な視点の欠如

・人口減少

などがあり、社会の在り方が変わる中で日本の住まいをどうしていくのかという視点が欠かすことができなくなっています。

要点2

空き家というと地方の過疎地の問題では?と思いがちですが、都市部にも多くの空き家が存在しています。また、団塊の世代に合わせてニュータウンなどの都市部郊外に多くの住宅が建築されているため今後、都市部での空き家が急増する可能性もあります。

そんな中でも、新築マンションの建設は続いており、今後空き家はますます大きな問題になっていきます。

マンションの老朽化も大きな問題となっています。住民の高齢化もあり、老朽化しても建て直しや修繕ができないマンショックも増加しています。

マンションでは住民同士のコミュニケーションの少なさが、老朽化時の対策の合意形成を妨げてしまうケースが少なくありません。

老朽化する前から、今後マンションをどうしていくのかという話し合いやコミュニケーションを深めておくことが重要です。

要点3

これまでは、建てる人も、行政も、買い手も50年後のことを考えてきませんでしたが、今がその50年後となり、様々な対策が必要になっています。

行政にとっても、所有者不明の建設物を行政執行で取り壊すこととなれば、多額の費用がかかることもあり、中古住宅の流通促進に力を入れています。

行政の流れに加え、新築信仰の薄れと合わせて、中古市場が活発化し始めています。

人口減少と社会の縮小を嘆くのではなく、チャンスと捉え、社会の在り方や価値観を変えることが求められています。

この本や記事で分かること

・日本の住宅の問題は何で、どれくらい深刻なのか

・なぜ、空き家が問題になるのか

・住宅の問題とどう向き合うべきなのか

日本の住宅の問題は何か

渋滞の購入は多くの人にとっての目標となっていますが、新築至上主義や長期的な視点の欠如で空き家やマンションの老朽化などが問題となっています。

人口減少に転じる中で、発想の転換と住まいをどうしていくのかという視点を持つことが不可欠です。

空き家問題は地方の問題なのか

空き家=地方というイメージがありますが、都市部での空き家も多く存在しています。

都市部は住宅の数が多いこともあり、今後空き家が急増することも予想されます。

なぜ、空き家が発生するのか

空き家発生の大きな要因は居住者の死亡によるものです。

居住者の死亡後、誰が相続するかはっきりしていなかったり、思い出のある実家をどうして良いかわからないため空き家となってしまいます。

空き家は別の居住地があることや費用の問題で後回しにされ、放置されることが多くなってしまいます。

今後のどのような空き家が増えるのか

団塊の世代向けにニュータウンのように郊外に大量の住宅が建築されましたが、環境の変化もあり、需要が減少しています。

需要の減少によって、世代交代が進んでおらず、今後も空き家が急増することが予想されます。

また、そんな中でも日本は新築信仰が強いこともあり、新築マンションが多く建設されています。

今後、空き家問題はどう解決すべきなのか

新築信仰の薄れや再販ビジネスの増加、国の後押しもあり、中古市場が拡大しています。行政にとっても、建築物を行政執行で取り壊すことになれば、費用がかかるため、空き家になる前の対処を開始しています。

マンションの問題は何か

マンションの住民の高齢化、老朽化も問題になっています。

住民同士でコミュニティをとり、老朽化前からどう住まいをまもっていくかという視点が重要です。

今後、老いていく住宅とどう向き合うべきか

人口減少をチャンスと捉え、社会の在り方や価値観を変え、自分たちの住まいや町と向き合うことが求められています。

本の要約

要約1

住宅の購入は人生において、とても重大なことであり、夢のマイホームを得ることは多くの人にとって目標となっています。

しかし、そのマイホームの多くが空き家となって放置されてしまっています。日本の空き家は1000万戸を超える見込みともいわれています。

また、マンションの老朽化や住居者の高齢化なども多くの場所で問題になっています。

これらの問題の背景にあるのは、これまでの新築至上主義では、数を立てることに集中し、長期的な視点に立った修繕工事などの管理、運営やどのような最期を迎えるのかという視点が欠けていたことにあります。

人口減少に転じる中で、発想を転換し、日本の住まいをどうしていけばよいのかを考えていく必要があります。

要約2

総務省の調査では、1年以上誰も居住しておらず、使用もされていない空き家は848万戸以上におよび、総住宅数の13.6%にも上っており、その数は右肩上りに増えています。

また、空き家問題というと地方の過疎地の問題と思いがちですが、都市部の空き家も多く、都市部の空き家はもとの住宅数が多いこともあり、今後大幅な増加が起こると予想されています。

空き家の発生の大きな要因は、居住者が死亡してしまい、家の相続権がはっきりとしていなかったり、思い出のある実家をどうして良いかわからないというものです。

また、別の居住地に住んでいるため、問題を直視しにくく、後回しにされやすいことや解体に費用や手間がかかること、更地にしても売りに出せないことも多いことなどが、空き家が放置されやすい要因です。

要約3

団塊の世代が就労年齢に達すると、大都市圏に多くの人口が流入します。その際に発生した住宅不足に対応するために、ニュータウンなどが首都圏内に建築されました。

団塊の世代では結婚し、子供が生まれ、郊外の家を買うという流れが般的であったこともあり、国も税制優遇などで後押ししています。

しかし、共働きが一般的になったことでの郊外の家の需要減少や格差拡大などによる家の購入意欲が減少したことで郊外の住宅では世代交代がうまくいかず、空き家が多くなっています。

また、マンションの老朽化が進んでも、住民の高齢化が進んだことで建て替えや修繕が難しくなっている例も多く見られます。

日本では新築信仰が強く、多くの人が新築を求める姿勢も空家を増やす要因です。これほど多くの空き家が発生しても新築マンションは毎年10万戸以上建ち続けています。

要約4

それでも、新築信仰は徐々に薄まっており、中古戸建の再販ビジネスの増加、国も中古住宅の流通促進に力を入れ始めいています。

自治体の中には、管理不全のおそれのあるマンションの管理を手伝う専門家を派遣する事業を行っているところもあります。

建築物を行政執行で取り壊すこととなれば、多額の費用がかかるため、どのように空き家や老朽化と向き合うかは行政にとっても重要な問題になっています。

特に、マンションでは、住民同士のコミュニケーションのなさが、老朽化への対応時の合意形成を妨げてしまうことも少なくありません。老朽化するまえから、自分たちの住まいをどう守っていくのかという視点を持つことが重要です。

実際に、自分たちのマンションの現状を把握することで、理事会や管理組合などが身近になり密なコミュニティを築くことにもつながっていきます。

密なコミュニティを持っているマンションのほうが中古市場での価格が高くなるというデータもあり、世代交代もしやすくなります。

これまでは、建てる人も、行政も、買い手も50年後のことを考えてきませんでしたが、今がその50年後となり、様々な対策が必要になっています。

また、これまでの家を買うことがゴールとするのではなく、ライフスタイルに応じて、居住形態を選ぶことができる循環型への転換も必要です。

一人一人が自分の住まいや町と向き合い、人口減少と社会の縮小を嘆くのではなく、チャンスと捉え社会のありかたや価値観を変えていくべきです。

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