AIにできない 栗原聡 要約

本の要点、概要

この本や記事で分かること

・AIの開発の状況

・ChatGPTは何がすごいのか

・日本のAI開発の利点はなにか、どのように向き合うべきなのか

今のAIはどのような状況なのか

 2000年ごろからAIの性能が指数関数的に伸び、第3次AIブームが始まり、現在、ChatGPTを代表とする生成AIの誕生によって急激な成長を迎える段階に突入しています。

 生成AIには高い期待とともにはこれまでのテクノロジーと異なり、人にしかできないとされてきた知的作業をこなすため漠然とした不安も抱かせるものでもありました。

 強すぎる技術は使い方を間違えると負の影響も大きくなりますが、これまでも多くのテクノジーが登場し、それに適応してきたことも事実です。

ChatGPTを代表とする生成AIの誕生によって急激な成長を迎える段階に突入し、期待とともに漠然とした不安を持つ人もいます。

なぜ、AIの発展に不安を感じるのか

 特に新たなテクニカルによって職を奪われるのではいう懸念もこれまでもされてきましたが、新たなテクノロジーへの置き換えが起きる一方で、新たな職業やサービスを生み出してきました。

 テクノロジーによって置き換えられ職業を想像することはできても、新しく生まれる職業を想像する難しいため、必要以上に脅威を感じてしますものです。

 AIへの懸念があっても、人類全体でAIの研究を止めることも現実的ではありません。AIにできることは何で、できることは何かを知ることで、正しい理解を深め、AIという新たなテクノロジーに適応するために私たちが変わっていく必要があります。

テクノジーの発展は職を奪うとともに、新たな職業やサービスを生み出しました。新たな職業を想像すには難しいため、必要以上に不安に感じてしまいます。

不安があってもAIの研究を止めることは現実的でないため、AIへの理解を深め適応していく必要があります。

これまでのAIはなぜ、知的処理ができなかったのか

 私たちの脳は電気信号のバケツリレーによって情報伝達で機能しています。個々の脳神経細胞は単純な電気信号の伝達ですが、集合体となることで知的な処理を可能にしています。

 第1~2時のAIブームでは人間がAIに必要なデータを入力することで知的な処理を行おうとしましたが、私たちは脳で処理していることすべてを言語化できるわけではないため、知的な処理が可能の程の十分な性能を得ることはできませんでした。

これまでのADでは人間がなデータを入力することで知的な処理を行おうとしましたが、私たちは脳で処理していることすべてを言語化できるわけではないため十分な性能を得ることができませんでした。

なぜ、第3次AIブームで性能が大きく向上したのか

 第3次AIブームは機械学習技術は、AI自身に特徴となる要因を学習させることで生成AIのようなAIを生み出すことが可能になりました。 機械学習に加え、

・十分なデータ量

・AI自体の大きさ

・AIを動かすためのコンピュータの規模

 の要素がそろったことでAIが飛躍的に発展することとなりました。

機械学習によって、AI自身に特徴となる要因を学ばせたことやデータ量やコンピュータの規模や性能の向上があり、性能が大きく向上しました。

汎用AIとは何か

 ChatGPTは汎用AIの領域に突入したという意味でも大きな意味があります。ただし汎用AIといっても、ドラえもんのような存在ではなく様々な機能を持った十徳ナイフのような存在です。どの機能を使うかは人が決める必要があるという点は変わりません。


 ドラえもんのような存在になるには自律性が必要ですが、現状のAIに自律性もたせることはできていません。AIの進化は今後も続くため、自律性を得る可能性が高いものの、現状では人の介在が重要になってきます。

汎用性があること=自律性があることではありません。今後自律性をもつAIが開発される可能性は高いものの、現状では人の介在が不可欠です。

生成AIは経済にどんなインパクトをもたらすのか

 生成AIの利用による「圧倒的な効率化」と「創造的作業」には大きなインパクトがあり、経済にも大きな影響があると考えられます。

 文章の要約やデータの収集などをAIが行い、人はその結果を評価し判断する部分に脳を使うことで、業務効率を大きく改善することが可能です。

 また、ChatGPTによる返答も0から何かを作り出しているわけではありませんが、人の画期的な発見を0からしているわけではなく、別の領域のものを結びつけることでイノベーションを起こしています。

 生成AIをブレストの相手のように使うこと(壁打ち)でも人の創造性を発揮しやすくなる可能性があります。

文章の要約やデータの収集などをAIが行い、人はその結果を評価し判断する部分を行うことで効率化は大きく向上します。

また、生成AIによって別領域の物を結びつけるイノベーションが起こしやすくなる可能性もあります。

AIの発展にどうやって適応していくべきなのか

 AIが発達する中で、AIが苦手とし、人本来の能力である創造力や状況認識能力、共感力、感性、人とのコミュニケーションなどの社会性がますます重要になっていきます。

 AIを活用し、新たなイノベーションを起こし突き進む層とそれらの価値を受け入れるだけの層の間で格差が開くこととなります。

 格差の是正の方策にも色々なものがありますが即効性のあるものとしては、ChatGPTを利用した行政の効率化による節税のベーシックインカム的効果として還元することが挙げられます。大きな利益を獲得できる活発に動ける環境を整備し、富を増やし、税金という形で再分配することも有効です。

 また、教育現場へのAI活用による効率化し、教員の時間を増やし、生徒に五感を刺激するような環境を作り出す根本的な解決法も模索していく必要があります。

AIの発展の中で人にしかできないことに着目することが重要です。

また、格差をもたらす可能性もあり、再分配の強化も視野に入れるべきです。

社会全体ではAIとどう向き合うべきなのか

 社会の仕組みや法整備を変化させていく必要があります。
 自動運転による事故が起きるとしても、自動運転を導入する前と比較し、事故が減るのではあれば受け入れるような仕組みや、もし事故が起きても、今後の再発に向けた調査や原因究明に取り組むことを約束に免責するなど対策も必要です。

 テクノロジーの発展には犠牲が伴うものですが、失敗を通して技術が発展していく面もあります。
一人がなしえる発明や開発は微々たるものでも、積み重ねでテクノロジーは大きくなっていきます。責任の所在を明らかにすることばらりを優先していると有用なAI開発や社会投入は難しくなってしまいます。

個々の事例や責任の所在に追求ばかりでは、テクノロジーに発展は難しくなります。

失敗を通じて、技術が発展していく面もあり、法整備などを変え、前進していくことが必要です。

日本の課題は何か

 AIとの共存していくためには、AIへの信頼が欠かせません。

 AIへの信頼性とは正確性、精度といえます。道具型のAIの精度の向上が進んでいます。自立型のAIではあらかじめ蓄積した知識だけで行動はなく、場の空気(状況)を的確に認識し行動することが求められます。

 ただし、高度に自立し、汎用性のあるAIに対する反応は国や地域によっても異なります。EUではAIは人が使う道具のままであるべきという考え方が強くなっています。
 一方で日本ではドラえもんのような作品が昔から抵抗なく受け入れるなど、自立型AIを受け入れる土壌を持っているともい、AIとの親和性が高いといえます。

 しかし、AI関連に関する法整備などは進んでいない面があります。AIと共生し、人間だけでは解決できない様々な問題を先にすすめ、AIで世界をリードするためにも、国民的議論の活性化と法体系のアップグレードが必要です。

AIと共存していくうえでAIへの信頼が欠かすことができません。

日本は自律したAIへの抵抗感が少ないものの、法整備などが追い付いていません。

AIで世界をリードするためにも議論の活発化、法体系のアップグレードが必要です。

生成AIの進歩はどこが特殊なのか

 従来のテクノロジーは新たな技術が登場することで進化してきましたが、ChatGPTは新たな技術が要因で性能が大きく向上したわけではありません。

 性能の向上はスケール化(量が指数関数的に増加すること)によってもたらされました。

  量がスケール化することで質が大きく変化する現象は自然界(細胞の集合による生命体の構築やありの集合による個々の知性では発揮できないような行動をもたらす) では、見られましたが、主要な技術の発展では初めての出来事といえます。

ChatGPTは新たな技術が要因ではなく、量が指数関数的に増加したことで、性能が向上した初めての主要技術といえます。

AIと共存する社会はどんな社会なのか

 温暖化などの多くの人にかかわる問題を処理する場合、社会のスケールと個人のスケールで最適解が異なることは多くあります そのような判断をAIの力を借りて行うというのが有用と考えられます。

  AIの判断を受け入れることで結果的に良かったという成功体験を積むことで、複雑な問題に対する判断をAIに委任しすることが当たり前になるかもしれません。

 日本はAIとの親和性が高いものの、スケールという面からみるとデータ量や計算リソースという面で巨額、巨大なインフラが必要であり、簡単には手が出せません。 そのため用途を限定した小粒で有用なAIの開発を行うことが現実的です。

 ただし、小粒AIにも大きな利点があります。

 小粒AIを束ねて、スケール化することで、個々の単純な細胞が集まることで、複雑な生体を作り出せるように、大粒なAIをも超える機能を持つ可能性もあります。

 道具としてのAIの進化は終焉を迎え、自律AIの時代に変化していきます。それでもAIは人になることはできず、人がやったという事実に価値があることには変わりがありません。

 AIと共存する社会では、AIは人がより高い人間力を駆使して人類の存続につながるように見守るような存在になっていきます。

AIの判断を受け入れることで結果的に良かったという成功体験を積むことで、複雑な問題に対する判断をAIに委任しすることが当たり前になるかもしれません。

AIは人がより高い人間力を駆使して人類の存続につながるように見守るような存在になっていく社会がAIと人が共存する社会といえます。

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