この本や記事で分かること
・アルキンとは何か
・アルキンのHX,、ハロゲンとの反応や水和反応、ヒドロホウ素化はどのように進行するのか
・アルケンとの違いはどこにあるのか
アルキンとは何か
アルキンは炭素-炭素三重結合を有する炭化水素です。
炭素-炭素結合は一つのsp-sp混成軌道によるσ結合と二つのπ結合から成立しており、直線状の分子構造をしています。
アセチレン(C2H2)は結合角180°の直線状の分子となっています。三重結合部が電子豊富である点はアルケンと共通していますが、結合の強さはアルケンよりも強くなっています。
多重結合部が電子豊富である点から、アルケンとよく似た化学特性を示しますが、異なる点も少なくありません。

アルキンにHXを付加するとどんな反応が起きるのか
アルキンにHXを付加させると、アルケンと同じようにπ結合が開裂し、C-H結合とC-X結合が生成したアルケンが生成します。
この反応は一段で止めることもできますが、過剰量のHXを付加させるとアルケンにもHXを付加させることが可能です。
どちらの反応もMarkovnikov側に従って反応が進行します。
また、アルケンとの反応と同じようにカルボカチオンを経由して、反応が進行します。この際のカルボカチオンが二重結合を有するビニル型のカルボニカチオンとなっています。

アルキンへのハロゲン付加はどのように進行するのか
塩素や臭素などハロゲンもアルケンに付加し、π結合の開裂が起き、付加生成物を与えます。
この反応もアルケンで止めることも、さらに付加」を進めることも可能です。
HXの付加も、ハロゲンの付加もすべてではありませんが、一般的に、生成するアルケンはトランス体が形成されます。

アルキンの水和反応はどのように起きるのか
アルキンは酸だけで処理を行っても、反応が起きませんが、触媒の存在下であれば、水和反応が進行します。
水銀触媒を使用した水和反応はMarkovnikov型の反応で進行し、置換基の多い炭素に水酸基が結合します。
しかし、最終的な生成物はビニルアルコール(二重結合を持つ炭素に水酸基を持つ化合物)ではなく、ケトンとなります。
エノールはケトンに転移してしまいます。この転移の平衡は大きくケトン側に偏っているためケトンが生成することとなります。
それぞれの化合物同士はケトエノール互変異性と呼ばれます。

水和反応はどのような反応機構を持っているのか
反応はまず、アルキンによる求電子的な水銀への攻撃によるカルボカチオンの生成、カルボカチオンへの水の求核攻撃によるアルコール生成が起きます。
次に水銀のプロトンへの置換が起き、エノールが生成、最終的にエノールが互変異成化することで採取生成物であるケトンとなります。

アルキンのヒドロホウ素化反応はどのように進行するのか
ヒドロホウ素化によるアルケンの水和では、ボランの付加が起き、ビニルボランが生成します。ビニルボランを過酸化水素(H2O2)で処理することでエノールを生成することも可能です。
エノールは不安定であるため、最終的には、ケトンが生成します。
ボランに付加は非Markovnikov型の反応で進行するため、置換基の少ない側の炭素にホウ素化合物が結合します。

ヒドロホウ素化による水和反応と水和反応はどのような違いがあるのか
ヒドロホウ素化による水和反応は、非Markovnikov型進行するため、水銀触媒を用いた直接水和反応とは異なる生成物を得ることも可能になります。
末端にアルキンを持つ化合物をそれぞれの方法で処理すると、水銀触媒を用いた水和反応では、ケトンが、ヒドロホウ素化ではアルデヒドが生成します。

コメント