この本や記事で分かること
・分類学とは何か
・なぜ、分類学が重要なのか
・生物はどのように分類されるのか
分類学はなぜ重要なのか
地球上の生物は約145万種といわれていますが、まだ未知の生物も多く存在しています。また、過去存在していたが、絶滅してしまった生物も含めると、その数は膨大になります。
これらの膨大な生物の種類を正しく分類、記載していくことで、それぞれの違いを見出し、それぞれの生物が固有の存在であることを認識することが可能です。
生物が固有の存在であるという認識を持つことで、生物の多様性と個々の生物の生きざまを理解することや人類がどんな存在であり、この先どこに向かうのかを理解することができます。
生物の分類は生物学の中でも古くから存在するものですが、依然として重要な学問です。

生物はどのように分類されるのか
生物種の分類は時代とともに変化してきましたが、現在では、核酸の配列の違いから分類された五界説が一般的になっています。
五界説は以下の5つから成り立っています。
・モネラ界:細菌、古細菌
・原生生物界
・動物界
・植物界
・菌界
モネラ界以外のグループが真核生物です。また古細菌は細菌の一種と思われていた微生物の一群がむしろ真核生物に近いことで新しく発見された生物グループです。
現在では、界よりも上位の概念として、細菌、古細菌、真核生物の3つのドメインが提唱されています。

モネラ界、原生生物界とはどんな動物が当てはまるのか
現在の、種分類は分類学の父であるリンネによってその基盤が作られたものです。
生物は界、門、目、科、属、種という階層に分けて分類することや、生物種の名称を属名+種小名のラテン語で表すことを提唱しています。
モネラ界は原核生物界とも呼ばれます。原核生物はDNAを保護する核膜を持たない単細胞生物のことです。原核生物は地球で一番小さい生物で、あらゆるところに数多く存在しています。
真核生物のうち、植物、動物、菌のいずれにも当てはまらない生物が原生生物と呼ばれます。核膜を持った単細胞生物や単純な構造を持つ多細胞生物が含まれ、昆布やわかめなどの海藻類からプランクトン、粘菌や藻類などが存在しています。

植物界はどのような生物がいるのか
植物は4.5億年ほど前にうまれ、狭義での植物界は陸上植物のみを含みます。
コケ類、シダ類、小葉類、裸子植物、被子植物からなり、23万種が登録されています。植物は紫外線や乾燥、重力に対する抵抗手段獲得の積み重ねで進化を行ってきました。
強固な高分子リグニンによる細胞壁の強化で上方向への成長を可能にしています。またリグニンは疎水性であるため、体内で水を運搬することに適しており、リグニンの活用で陸上への進出が可能になりました。
一部の植物は乾燥への抵抗として、花という器官を発達させ、花粉による水なしでの受精を可能にしてきました。
裸子植物と被子植物は、受精卵から発達した胚を種子によって散布するようになったことや昆虫との共進化によって、陸上植物の8割を占めるほどになっています。

菌の特徴は何か
菌は現在、4万5000種が登録されています。菌は基本的に胞子で増える生物ですが、胞子の収納の仕方で分類されています。
菌類は有機物を酵素で分解し、体の表面から吸収するスタイルを持っていますが、そのライフスタイルには腐生、寄生、共生の3タイプが存在しています。
・腐生:他の生物の遺骸や排泄物を栄養源とする 多くのキノコが該当する
・寄生:別の生物から栄養を収奪する 水虫の原因である白癬菌やうどん粉病菌など
・共生:別の生物に栄養を提供する代わりに、別の栄養をもらっている
菌根類は土壌から吸収したリンや窒素化合物を植物に与えるかわりに、植物の光合成による栄養を得ています。
菌根類と共生している陸上植物は8割を超えることもいわれるほどなくてはならないモノになっています。

動物界の特徴は何か
動物は現在、112万種ほどが登録されており、記載されている生物の75%を占めています。
動物は背骨のない無脊椎動物とある脊椎動物に分類されています。無脊椎動物は30門ほど存在しています。脊椎動物が魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類が含まれます。
最も種類が多いのは節足動物、昆虫で95万種が登録されていますが、実際には3000万種ほどいるとも予測されています。

分類学から何を学ぶことができるのか
生物の持つゲノムの情報の取得が容易になったことで、生物の系統分類が見直されています。カバとクジラのように全く違う生物と思われていた種が近縁種であったり、同種とされていた生物が異なる種であることが分かるようになっています。
生物の進化と分類関係をまとめたものは系統樹と呼ばれ、系統樹は人を含むあらゆる生物は共通の祖先を持ち、長い時間をかけ多様化してきたことを示しています。
系統樹の枝葉に過ぎないヒトにはこの環境と多様性を守っていく必要があります。

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