サピエンス減少 原俊彦 要約

本の概要

日本は少子高齢化が問題になっていますが、世界の人口は増加を続けており、人口増加による環境問題や食糧問題が重要と考える人は多いと思います。

しかし、これらの国でも徐々に人口減少に向かうことはほぼ確実で、今世紀後半には世界の人口が減少に転じると言われています。

世界の人口が長期的に減少に向かうことは初めてであるため、人口減少で何が起こるかを知っておくことはとても重要です。

なぜ、人口増加した地域で徐々に人口が減少していくのか、人口が減少でどんな問題が起こるのか、世界の人口が減少した時にどうすべきなのかを知ることができる本になっています。

この本がおすすめの人

・世界の人口がこの先どうなるのか知りたい人

・世界の人口が減ると何が起きるのか知りたい人

本の要約

要約1

これまで世界の人口は大幅な増加を続けており、資源、エネルギー、食糧、環境問題などの観点から人口増加を如何に止めるかに大きな関心が集まってきました。

しかし、日本をはじめとした先進国では見られている人口減少は世界的に広がっていき、今世紀後半には世界の人口が減少に転じるとみられています。

戦争やパンデミックなどで短期的に人口が減少することはあっても、人口が長期的に減少し続けることは初めての経験であり、その影響でどんな問題がおこるを知っておくことは重要です。

要約2

人口が増加し、その後徐々に減少に推移する傾向は多くの国で見られており、その理由や流れは下記のように一貫しています。

1.社会的生産の増加で社会資本が蓄積されることで乳児死亡率が減少する

2.平均寿命が伸び、結婚や出生のタイミングが遅れ、出生率が低下する

3.少子高齢化が進行する

このように多産多死から少産少死に向かう人口の推移を人口転換理論と呼び、多くの国で見られるものです。

日本では少子化や人口減は社会制度の影響されていますが、基本的にはどんな国でもおきる避けることが難しいことです。

要約3

現在、アフリカで起きている人口増加が終わることで、世界の人口は減少して、そのままであれば人類は大幅な縮小や絶滅に向かってしまいます。

しかし、出生数の強引な増加などでの解決は社会の崩壊を招きかねません。

人口置換が起こるタイムラグを活かして、改善をすすめるしかありません。

直近では、人口増加の続くアフリカへ投資を行ったり、先進国への移民を増加させることでアフリカの経済規模の増加、先進国の経済維持、人口減少速度の低下などを行っていく必要があります。

要約4

短期的な対策を行っている間に、抜本的な対策を行う必要があります。

需要や労働力の縮減に対する再分配での対応、人の手がなくても持続可能な環境システムの構築などが必要です。

ただし、これらの対策を行うためには、世界中が一体となって対応することが求められます。

世界の国が同じ問題を共有していることを認識し、問題に取り組むことが求められています。

世界の人口はこの先どう変化していくのか

 これまで世界の人口は大幅な増加を続けており、資源、エネルギー、食糧、環境問題などの観点から人口増加を如何に止めるかに大きな関心が集まってきました。

 一方で、日本をはじめとした先進国では、出生率の低下による人口減少が始まっています。

 今人口の増加がみられる地域でも、徐々に人口の伸びは縮小し、世界人口も今世紀後半には減少していきます。

 この流れを止めることは難しいため、縮減する社会の問題解決に目を向けていく必要があります。

先進国で見られる少子高齢化は今人口増加がみられている地域にも広がり、今世紀後半には世界の人口が減少に転じると見らえています。

世界の人口は今どのような状況なのか

 現在でも世界の人口は増加傾向だが、その大部分はアフリカ特にサハラ砂漠以南のサブサハラ・アフリカによるものが大きくなっています。

 それ以外の地域では、すでに出生数が減り、人口を維持できる数値を下回っている地域がほとんどになっています。

日本で進行している少子高齢化や出生<死亡者による人口減少がこれからは多くの国で起こるようになります。

 人類はこれまでも、疫病や寒冷化による食糧事情の悪化などによる人口減少を経験してきましたが、長期的な人口減少の経験はないため、どのように人口が減少していくのか、それによる問題は何かを考えることが重要なこととなります。

世界人口の増加は主に、サブサハラアフリカで起きており、それ以外の国では人口を維持できる数字を下回っています。

長期的な人口減少は人類史にない経験でどのように人口が減り、どんな問題が起きるのかを知ることは非常に重要です。

なぜ、人口が減少していくのか

 人口増加が起こり、その後徐々に減少に推移する傾向は多くの国で見られています。

 この現象は多産多死から少産少死に向かう変化を通じて起きるもので人口転換理論と呼ばれるものです。人口転換は多くの国で同じような過程を経て発生します。

1.社会的生産の増加で社会資本が蓄積されることで乳児死亡率が減少する

2.平均寿命が伸び、結婚や出生のタイミングが遅れ、出生率が低下する

3.少子高齢化が進行する

 社会制度の影響によって少子化が起きているとすることもありますが、人口転換理論は多くの国で見られており、基本的には避けることが難しい現象です。

社会が豊かになり、乳児死亡率が減少することで多産多死が多産少死となり、人口が増加しますが、結婚や出生のタイミングが遅れることで出生率が低下し、少産少死となり、徐々に少子高齢化が進み、人口が減少するようになります。

多産多死の状態から少産少死への移行は人口転換と呼ばれ多くの国でみられます。

人口増加が起きている地域で必要なことは何か

 人口爆発で重要となるのは、人口増加に合わせて社会資本の蓄積が起こることで就業機会が創出されること、人口増加後に出生抑制が起きることです。

 先進国からの投資や女性の地位向上や先進国への移民などでバランスをとることが重要になります。

 日本でも労働力の不足や消費の中心である若年層減少によって経済に大きな悪影響が起きると考えられています。

 移民の受け入れは人口爆発の起こっている国のためというよりも、先進国の社会経済の持続可能性を維持する上でも不可避な選択になっています。

 人口増加の見込まれるサブサハリ地域への経済支援で経済成長を続け、移民の受け入れによる少子高齢化、労働力減少や人口減少のスピードを緩和するしかありません。

経済規模の拡大が人口拡大を上回ることと女性の地位向上などで徐々に出生抑制が起こる事が必要です。

経済規模拡大のためには先進国からの投資が、先進国の人口減少スピード緩和には移民受け入れなどの工夫が必要です。

人口転換はどのように解決すべきなのか

 人口転換は豊かさと自由を追求してきた人類社会の結果であり、早急な解決を求めてしまうと、全体主義的で優生学的な方向に進み、社会が崩壊する可能性もあります。 

 サブサハリでも今後、人口転換が起きる可能性は非常に高く、世界人口は300年後には1億人を切っている可能性があります。

 人口転換によるタイムラグを活かし、少子高齢化、人口減少に伴う社会、経済、文化、政治的課題の改善を進め持続性を確保する必要があります。

出生数を強引に増やすなど人口転換による問題を早急に解決することは望ましくありません。

人口転換のタイムラグを生かし、改善を進めていくしかありません。

人口減少は増加とどこが変わり、どんな問題があるのか

 人口増加と減少では下記のような違いがみられます。

経済規模先行投資競争
人口増加拡大回収しやすい過激になることもあるが、前向き
人口減少縮小回収しにくい生き残りゲームとなり、後ろ向き
 

 人口減少そのものの解決は難しいため、人口減少の速度を適切に緩め、人口減少で発生する問題を解決する姿勢が重要となります。

 人口減少で発生する問題には以下のようなものがあります。

問題解決法
需要、労働力の縮減課税、再分配の最適化、労働と賃金の切り分け(働かざる者食うべからずからの脱却)
環境問題食料生産の自然環境から切り離し、人類の手がなくても持続可能なシステム構築
社会の衝突増加現在以上のグローバルな意思決定の仕組みを構築し、分配の方法などで意見の合意を行う

 人類はアフリカで誕生し、世界中に広がってきました。世界中に広がった人類は様々な社会の変化を起こし、そのたびに人口を増大させてきました。

 今、産業革命以降続いてきた最後の人口転換がアフリカで起きれば、人類全体がポスト人口転換期に入ることになっていくため、世界中が一体となって対応していくことが求められています。

人口減少期では、経済規模の縮小、先行投資が回収のしにくくなる、社会の競争の種類が後ろ向きになるなどの変化が見られます。

人口減少は、需要や労働力の減少、環境問題、社会の衝突の増加などを招いてしまいます。

世界が同じ問題を共有するため、一体となって対応していくことが求められています。

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