本の概要
人の平均寿命は短く、80歳まで生きるとしても4000週間しかありません。そのため、時間の使い方は人にとっても最重要課題のはずですが、これまでのタイムマネジメントはあまり役に立ちません。
いくら上手にタイムマネジメントしても、時間は有限であり、すべてを完璧に行うことは絶対に不可能です。
本書では、心理学、哲学などからこれまでの効率的な時間管理術とはことなる考え方で時間と、時間管理を考えています。
この本がおすすめの人
・もっと効率的にやれば時間があるのにと感じている人
・時間効率を追い求めているのに、いつまでも時間がない人
本の要約
我々の寿命は短く、時間の使い方は人生において、とても大切な要素になっています。
時間の上手な使い方や効率的に時間を使えば、したいことがすべてできるなどのタイムマネジメントは世の中にあふれています。
しかし、タイムマネジメントによって時間を効率よく使うという考えで、時間を支配しようとしても、やるべきことがなくなることはなく、うまくいくことはありません。
時間を効率的に使おうと考えてしまうと、時間をうまく使えないだけでなく、今が未来への準備でしかなくなり、今を楽しむことができない、集中すべきものが分からず、質が低下してしまうなど様々なデメリットがあります。
時間管理するうえで最も重要なことは、有限性を認めることです。
どんなにうまく時間を使っても、やるべきことはなくならないため、やらないことを決める必要があるというこに向き合うことが重要です。
時間だけでなく、注意力や自分の影響にも限りがあることを認め、完璧な状態を追い求めることをやめることで難しいことを先延ばしせずに挑戦することができるようになります。
有限性を認めることは苦しい部分もありますが、限界を認め、向き合い、幻想を捨てることは時間をうまく使うようになるだけでなく、自分でできることから始めようという意欲を沸かせ、時間をコントロールできない不安から解放してくれるようになります。
なぜ、時間の使い方が重要なのか
人の平均寿命は短く、80歳まで生きるとしても4000週間しかありません。120まで生きることが当たり前になったとしても、わずか6400週間ほどです。
われわれの時間はとても短いため、時間を使い方が人の最重要課題ですが、現代のタイムマネジメントは偏屈すぎて役に立ちません。
また、パンデミックによる生活の変化は時間管理の難しさをより大きなストレスにしています。
多くのライフハックやタイムマネジメントの手法では、生産性を上げ、効率をよくしようとしてます。しかし、我々にはそのような方法ではなく、時間をできる限り有効に使う方法が必要になっています。
我々の寿命は短く、時間の使い方は最重要課題です。従来のタイムマネジメントとは異なる時間の使い方を知る必要があります。
なぜ、時間をうまく使わなければと思ってしまうのか
時計が発明される前、人類は時間を管理しようと考えることなどなく、日が起きれば起き、日が沈めば寝ていました。
このような暮らしは決して楽なものではありませんでしたが、時間は生活が繰り広げられる舞台であり、時間に追われるようなことはありませんでした。
多くの人で一緒に仕事をするためには時間が不可欠であり、時計の発明と産業革命による産業化によって時間は徐々に使うものになっていきました。
中世の農民に戻ろうとするわけでがありませんが、我々は時間をうまく使わなければというプレッシャーを感じるようになってしまいます。
時計の発明と大勢で働くようになったことで、時間が使うものへと変化したため、うまく使わなければというプレッシャーを感じるようになってしまいました。
時間を使おうとすることは私たちをどう変えてしまったか
時間を使うことへの変化は、時間をあるがままに体験することをやめて、今という時間を未来のゴールに到達するための手段へと変えてしまいました。
今を犠牲にしすぎて、今を生きることができなくなれば、未来のことしか考えられなくなっています。
時間を支配しようという考えると、結局は時間に支配されてしまいます。
時間を使おうとする姿勢は今を未来のゴールに到達するために手段へと変えて今を楽しむことをできなくしてしまいました。
時間の使い方で重要なのはなにか
我々は自分の時間があまりにも短いことを直視することを避けるために、先延ばしにしたり、完璧な時間管理をしようとするなど非現実的な行動をとってしまいます。
スケジュールや計画にしがみつくことで、未来をコントロールできないという事実を忘れようとしています。
まずは、自分に限界があることを直視し、限界を受け入れることで人生はもっと生産的で、豊かなものとなるはずです。
限界を受け入れることで、すべての悩みが解消するわけではありませんが、一番有効な時間管理術です。
未来はコントロールできないという限界を受け入れることが最も有効な時間管理術です。
なぜ、限界を受け入れることが大事なのか
限界を受け入れるとは、何もかもはできないと認めることです。すべてをやっている時間は絶対にないと考えることで自分を無駄に攻めなくて済むようになります。
限界を認めれば、選択をする際に何に集中し、何をやらないかという考えで選択を行うことができます。
いつかは不可能が可能になると考えるのではなく、時間が限られていることを受け入れることが、なによりも重要なことになります。
限界を受け入れることで、時間が限られているため何もかもはできないことを認め、何に集中し、何をやらないかという視点で考えることができるようになります。
一般的なタイムマネジメントの欠点は何か
多くのタイムマネジメントでは、やり方を工夫すれば、本当にやりたいことを成し遂げて、心に余裕ができるという前提をもっています。
しかし、効率的に仕事をしても、新しい仕事ややるべきことが増えるだけで、忙しさが終わることはありません。
やるべきことはいつでも多く、この先も変わりません。唯一できることは全部できるという幻想を捨て、一握りの重要なことだけに集中することです。
すべてを完璧にこなせるテクノロジーがあったとしても、やることのサイズをどんどん大きくしていくだけになります。
効率化は量の問題を克服できないだけでなく、質も下げてしまいます。どれが重要で、どれに集中すべきを考えることは質の面からも重要です。
一般的なタイムマネジメントでは、効率化することでいつか余裕ができると考えますが、やるべきことはいつでも多く、この先も変わることはありません。
効率化では質、量の問題を解決できないため、有限性を認めることが大事です。
時間管理するうえでも最も重要なことはなにか
家族との時間も夏休みも無限に何度もやってくるのであれば、そこに特別な価値はありません。死がやってくること有限性を認めることで人は生きる意味を知ることができます。
病気や死に直面した人が素晴らしい体験だったと語るのは、人生の有限性に直面するためです。
痛ましい体験をすることなくても、有限性を認めることが一番の時間管理の方法になります。
人世が限られてものであるという有限性を認めることが最も有効な時間管理の方法になります。
なぜ有限性を認めることが重要なのか
限りある人生を受け入れ、それに応じて先延ばしするのはよいタイムマネジメントの極意です。何に集中し、何を放置するかを考えたうえで先延ばしすることが大事です。
選択肢も多いほど良いわけではありません。人は後戻りできない状況のほうが選択肢があるときよりも幸せになるというデータもあります。
選択肢があると、あるかわからない理想に取りつかれてしまいますが、きっぱりと選ぶことで満足度が高まることも少なくありません。
どんなに効率化してもすべてのことをできる可能性はありません。有限性を認めることで、取捨選択することが可能になります。
時間以外にも有限性を持つものがあるのか
注意力も時間と同じように限界があり、多くの人が注意力のなさに悩んでいます。
我々に注意力がないのは進化上有利だったからでもあります。もし目の前の出来事に完璧に集中してしまえば、忍び寄る危機から逃れることができなくなってしまいます。
一方で、テック企業は注意力が散漫なことを利用することでビジネスを行っています。無料のSNSはいかにユーザーの注意を集め、ユーザーを集められるかを競っています。
SNSは脳が無意識化で好む仕組みを持つことで、依存させていきます。SNSに依存してしまうと、気が散り、重要なものを見えにくくするだけではなく、何が重要なのかも簡単に書き換えてしまいます。
注意力にも有限性があります。テック企業は人の注意力が散漫であることを利用したビジネスを行っています。
なぜ、重要なことに取り組むことうえで大事なことは何か
我々は何かをやらなければと思っても、退屈を感じたり、なかなか取り組むことができずに、注意力散漫になってしまいます。
重要なことに取り組むとどうしても、自分の限界を痛感することとなるため、なるべく現実をみないように重要なことから逃げるようとしてしまいます。
SNSなどは偽物の万能感を得ることができるため、特に逃げ込む先として有望に感じてしまいます、
難しいタスクに取り組むときも、完全に没頭しようとするのではなく、退屈や苦痛をそのまま認めることが必要です。
自分が万能でなく、無力であることはどうしようもないことを認めることで解放感を得ることができます。
完全に没頭することを求めるのではなく、退屈や苦痛を認めることが重要です。
将来のことはどう考えるべきか
将来のことを考えたり、計画を立てるときに時間を所有したり、使うことができるという前提に立っています。
しかし、実際には時間を所有したり、自由に使うことができないという現実が期待や計画とのギャップとなり、不安を生んでしまいます。
未来を良くしようという努力や苦しみや不正をあきらめるべきではありませんが、未来をコントロールしようという執着は手放すべきことで、不安から解消され、今を生きることができるようになります。
未来のために時間を有効活用したり、今を我慢しすぎることも時間をコントロールしようとすることから生まれます。
今を楽しもうと考えすぎて特別なことをしようとしたり、余暇を有意義に過ごそうと考える過ぎることも時間をコントロールしようという考えの一部に過ぎず、うまくいかなくなります。
何の役にも立たないことに時間を使い、その体験を純粋に楽しむことが時間をコントロールしようという気持ちから逃れる一つの方法となります。
未来をよくしようとする姿勢は必要ですが、未来をコントロールできるという執着は捨てるべきです。
特別でなくても、純粋に楽しめる体験をするなど、今を生きようとすることも必要です。
なぜ、我々は忙しいのか
現在の人々は暇になると不安になるなど、忙しい状態に依存してしまっている面も見られます。
世界がどんどん加速し、その速度に追いつかなければ、幸せやお金をつかめないと思い、置いていかれるのが怖くなり、もっと速く動こうとしてしまいます。
忙しさが忙しさを呼び、不安感を埋めるためにさらに速く動くしかないなど忙しさ依存は、アルコール依存症と基本的なメカニズムが共通しています。
忙しさ依存でもアルコール依存症と同じく、手っ取り早い解決法はありません。自分の限界を受け入れ、幻想を捨てることで物の見方を変えることができるようになります。
時間を速めようという無駄な努力を放棄することで本当の体験ができるようになります。
すぐに結果がでることを求めず、問題がある状態を楽しみ、小さな行動を繰り返し、うまくいっている人の模倣から始めることで徐々にうまくいくようになります。
かけがえのない成果を手に入れるためには、たっぷりと時間をかける忍耐が必要です。
世の中に置いて行かれる恐怖から、忙しい状態への依存をしてしまっています。
限界を受け入れ、幻想を捨て、たっぷりと時間をかけることで、成果を出すことができます。
時間をコントロールすることをやめるにはどうすればよいのか
忍耐以外にも時間にあらがうことをやめる方法として、他人とスケジュールを共有することが挙げられます。
リモートワークやノマドワーカーなどどこでも、いつでも働ける働き方が注目を浴びています。これれの働き方にも利点はありますが、一人で休むよりもみんなで休んだほうが幸福度が高いというデータもあります。
人は休暇のタイミングなど、ある程度時間の使い方を外部から決めてもらったほうが安心して生活できる面があります。
コミュニケーションや協調することは人間の持つ本質的な欲望となるため、時間の使い方が完全に自分のものでないくらいのほうがちょうどよいのかもしれません。
コミュニケーションは人間の本質的な欲望であるため、他人とスケジュールを共有することで、安心して生活できる場合もあります。
時間を有意義に使うにはどうすればよいのか
あらゆることを自分の視点から判断してしまう傾向は、人間なら誰にでもありますが、自分の存在を過大評価しすぎると、時間をうまく使うことのハードルがとても高いものになってしまいます。
自分が与える影響などわずかであることを認識し、非現実的なハードルから解放されることで、限りある時間を有意義に使う方法が広がっていきます。
すべてを計画通りにコントロールし、あらゆる苦痛を避けたい、今はまだリハーサルでそのうち人生の本番を生きることができるなどの希望を捨てたときに、自分にできることから取り組むことができるようになります。
自分の影響を過大評価することをやめることで、時間を使うハードルが下がり、自分にできることから取り組むことができるようになり、限りある時間を有意義に使うことができるようになります。
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