世界一流エンジニアの思考法 牛尾剛 要約

本の要点

要点1

筆者はマイクロソフトのエンジニアであり、世界でも一流のエンジニアとともに仕事をしています。

一流のエンジニアであっても全員が天才的な能力をもっているわけではありません。彼らを支えてるのは、思考法=マインドセットです。

一流のマインドセットを身に着けることで、一部の優秀な人が突出するのではなく、チーム全体の生産性を高めることが可能です。

特に、日本の会社や組織は欧米の生産性の高いマインドセットとは大きく異なっている面があり、生産性の低下の一因になっています。

そのため、彼らのマインドセットを学ぶことはとても有用なことです。

要点2

一流のエンジニアが持つマインドセットの特徴は以下の通りです。

・時間を固定し、価値を最大化するため、如何にやることを減らすかに重点を置く

・データ→仮説→検証を繰り返し、事実に基づいて意思決定する

・失敗を歓迎し、やらないことをリスクと捉えている

・難しいことを無理してやるのではなく、簡単にできることを増やそうとする

・気軽に質問やディスカッションできる雰囲気=心理的安全性の高い組織を目指している

・マネージャーがメンバーに指示するのではなく、主体的にメンバーが動く

多くの部分で日本とは正反対の特徴をもっています。日本の特徴もハードウェアが重視された時代には利点となりましたが、ソフトウェアの重要性が上がったことで、欧米の持つマインドセットの優位性が目立つようになっています。

要点3

日本は責任所在や完璧を求める風潮が強く、先陣を切ってトライした人に厳しすぎる批判が集まることが少なくありません。

このような批判文化が強ければ、新しいチャレンジを抑制したり、チャレンジしたい人は海外へ逃げてしまいます。

批判文化から脱却し、自分がどう貢献できるか考え、人の指示ではなく自分の手で選択、決定することができれば、日本の社会も変わっていくことが可能です。

この本や記事で分かること

・一流のエンジニアはどのような考えを持って仕事をしているのか

・生産性の高さにはどのようなマインドセットが必要なのか

・日本の社会の問題点とその解消方法

同じく欧米企業のマインドセットを学ぶことができる「メタ思考」の要約をはこちら

一流のエンジニアは天才的な能力の持ち主なのか

マイクロソフトに集まるような一流のエンジニアであっても、全員が天才なわけではありません。

一流のエンジニアを支えているのは、思考法=マインドセットです。

日本と世界のマインドセットにはどのような違いがあるのか

日本とアメリカのマインドセットには、問題の解決への姿勢、理解、意思決定の根拠などで違いがあり、生産性でも差がついています。

アメリカのマインドセットの特徴は何か

アメリカのマインドセットの特徴は「Be Lazy=怠惰であれ」という考えです。

一流のエンジニアが如何にやることを減らすかに頭を使っています。

欧米は失敗をどのように捉えているのか

日本では失敗を避けるべきものとしていますが、欧米では失敗を恐れ、やらないことを最大のリスクと捉えています。

変化の大きい時代には、失敗を許容する姿勢が不可欠です。

生産性の向上に必要なものは何か

生産性の向上のためには、難しいことを無理してやるのではなく、簡単にできることを増やすことで脳の負担を減らすことが必要です。

簡単にできることを増やすには、遠回りに見えても、基本を大事にして、理解→記憶→反復という手順を大事にすることが重要です。

組織の生産性を上げるにはどうすれば良いのか

組織の生産性を上げるには心理的安全性が欠かせません。

心理的安全性を確保するには、相手を尊重し、否定や意見の押しつけをしないことが大事です。

心理的安全性があることで、人に頼り、自分も役立とうという意識を持ちやすいため生産性が向上します。

世界ではどのようなマネジメントが主流なのか

日本ではマネージャーが部下に指示するコマンドアンドコントロール型のマネジメントが一般的ですが、世界ではサーバントリーダーシップが一般的です。

サーバントリーダーシップとは何か

サーバントリーダーシップとは、メンバーが主体的に動き、マネージャーがメンバーの障害を取り除く役割を担うものです。

メンバーの責任は範囲が広く、仕事のエンゲージメントが高まりやすいというメリットがあります。

日本社会の課題は何か

日本は責任所在や完璧を求める風潮が強く、先陣を切ってトライし他人に厳しすぎる批判が集まることが珍しくありません。

このような動きはチャレンジを抑制したり、日本から逃げる人を増やしてしまいます。

日本社会が変わるには何が必要か

日本の課題を克服するために、批判文化から脱却すること、自分の人生や幸せに責任を持ち、自分でコントロールすることが必要です。

自分の手で決定し、それを周囲の人が認めることで日本社会は変わっていきます。

本の要約

要約1

筆者はマイクロソフトでエンジニアとして働いており、周囲の世界一流のエンジニアと一緒に働いています。

一流のエンジニアといっても、全員が常人と比べて著しく頭の回転が速いわけでも、天才的な記憶力を持っているわけではありません。

彼らの高い生産性を支えているのは、主に思考法=マインドセットであり、その思考法を学ぶことで、筆者もその一員として活躍することができています。

グローバル企業のスピード感を目指すビジネスパーソンや企業にも西洋文化のマインドセットを学ぶことは有用であり、AI時代を生き延びるためにも必要な思考となります。

マイクロソフトの生産性は非常に高く、一部の優秀な人が突出しているのではなく、チーム全員のベーシックな生産性が高くなっています。

そこには、以下のように日本企業とは多くの部分で異なるマインドセットがみられています。

・試行錯誤ではなく、データ取得→仮説→検証で問題を解決する

・表面的な理解で早くできるようにするのではなく、時間をかけきちんと理解する

・感覚ではなく、事実=ファクトを積み重ねる

・わからないことは考えすぎずに、詳しい人に聞いてみる

要約2

仕事を加速する、マインドセットとして、特徴的ものが「Be Lazy=怠惰であれ」というより少ない時間で価値を最大化するという考え方です。

例えば、日本では優先順位を付け、順位の高いものからすべて実施していきますが、一流のエンジニアは、最も重要なものだけを実施しその一つだけにフォーカスしています。

このように、一流のエンジニアは如何にやることを減らすことができるのかということに頭を使っています。

重要なモノをピックアップし、時間を固定しその中で価値を最大化する、準備や持ち帰りをやめその場で解決することなど、少ない時間で価値を最大化しようとする強い意識を持っています。

失敗に対する意識も日本とは大きく異なります。失敗の許されない日本とは違い、リスクや失敗をおそれず、失敗から得られたフィードバックをもとに修正するというサイクルを速く回すことを重視しています。

失敗よりも検討ばかりして、やらないことを最大のリスクと考えています。変化の大きい時代であることもあり、不確実性を受け入れることが求められています。

要約3

生産性を上げるために必要となるのは、難しいことを無理してやることではなく、簡単にできることを増やすことです。

時間をかけて基本を理解し、頭の中で整理し記憶し、反復することを繰り返すことで、簡単にできることを増やすことができます。

簡単にできることを増やすことで、脳の負荷を減らすことができます。一見すると遠回りのように見えますが、長期的には理解→記憶→反復を行うほうが生産性を上げるためには有効です。

脳の負荷を減らすことは、コミュニケーションにおいても重要です。何かを伝える時には、大量の情報を伝えるのではなく、少ない情報をしっかり説明し、理解してもらうほうが有効です。

組織、チームの生産性を上げるには気軽に質問やディスカッションができる雰囲気も大事です。

相手と意見が異なっても、相手やアイデアを否定しない、相手を尊重したうえで、自分の考えとして意見を言うことで、気軽に互いの知見を交換できるコミュニケーション文化を構築することが可能です。

このような環境では、人に頼り、自分も役立とうという意識を持ちやすく、結果的に生産性の高い組織になりやすくなります。

要約4

組織の生産性には、マネジメントスタイルも大きく影響します。

日本ではマネージャーが部下に指示をするコマンドアンドコントロール型のマネジメントが一般的ですが、ソフトウェアの世界では、メンバーが主体で動き、マネージャーはメンバーの障害を取り除く役割を担うサーバントリーダーシップが主流になっています。

マネージャーはビジョンは示しますが、チームが主体となって意思決定をしていくマネジメントとなるため、個人の責任範囲が広く、仕事のエンゲージメントを高めやすいというメリットもあります。

エンゲージメントの高さは仕事の質にもつながるため、マネージャーがメンバーが仕事を楽しめているかを考えているマネージャーが多いことも西洋のソフトウェア企業のマネジメントの特徴です。

上下関係ではなく、全員が同じ責任を持っているフラットな関係性を築くことが生産性の向上に欠かすことができません。

AIによるプログラミングが可能になるなど、AIの発展を脅威に思うエンジニアも多いですが、誰もやったことのないものに取り組んでいる専門家はAIにとって代わられることは原理的にあり得ません。

そのため、エンジニアに限らず時流に惑わされず、専門性を追求する姿勢が一番強いと考えられます。

どんなシステムにもバグはつきもので改善していくしかありません。しかし、日本では責任の所在や完璧を過剰に求める風潮によって、先陣を切ってトライした人に対して、厳しすぎる批判を行うことは少なくありません。

このような厳しい批判が一般化すれば、新しいチャレンジをする人はいなくなるか、チャレンジ事態を称賛する海外へ出ていってしまいます。

まず、自分であればどう貢献できるか考えたり、感謝を伝えるなどのポジティブフィードバックの文化を作っていくことが日本の生産性の向上にも欠かせません。

自分の人生や幸せに責任をもって自分でコントロールすることは生産性のみなず、どう働き、どう生きるかと深くかかわってきます。思考停止せずに自らの手で選択し、自分で決めるようにすること、その結果を周囲の人が認めることで日本社会も変わることができるはずです。

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