昆虫絶滅 オリヴァー・ミルマン 要約

本の要点

要点1

近年、世界各地で昆虫の生息数や種の多様性が減少していることが明らかになっています。

昆虫がいなくなり、受粉ができなくなれば多くの植物が絶滅し、その植物を食べていた鳥などの動物も姿を消してしまいます。また、排せつ物や腐敗した植物、死骸から栄養が取る存在がいなくなり分解されず、放置されるなど、植物網全体が崩壊してしまいます。

耕作農業と生体系の崩壊によって、人類は昆虫の絶滅後、わずか数か月で絶滅する可能性があると予測されるほど、人類にとって昆虫は重要な存在です。

要点2

昆虫の減少は以前から指摘されてきましたが、積極的な対策は取られてきませんでした。その理由としては、

・昆虫は種類と数の多さで統計的な把握がしにくいこと

・虫を保護すべき対象とみなすことが少ないこと

などが挙げられます。

そのせいもあって、実際に至るところで、昆虫の数や多様性が減少しています。全昆虫種の40%が世界的に減少しており、3分の1は絶滅危惧種とされ、今後数十年の間に絶滅する可能性があります。

昆虫の減少については、全容が明らかになっていない部分も確かにあります。しかし、気候変動では全容が明らかになることを待って、対策が遅れてしまいました。

その反省を活かし、昆虫の減少や生物多様性減少の対策をすぐに始める必要があります。

要点3

昆虫の減少の要因は以下の3つです。

・生息地の喪失

・毒性の増加

・気候変動

特に3つの要素が絡まりあった際の影響は想像以上になる可能性もあります。

ただし、自然の保護など昆虫減少を防ぐ方法も明らかになっています。そして、その対策を広めるには野生動物への文化的な理解度を高めることが不可欠です。

多くの人が自然の素晴らしさに触れ、昆虫を駆除すべき存在という認識を改めて、一刻も早く対策を広めることがなによりも大事なことといえます。

この本や記事で分かること

・昆虫絶滅がどれくらい進行しているのか

・昆虫が絶滅するとどうなってしまうのか

・昆虫を復活させるために必要なことは何か

昆虫が絶滅するとどうなってしまうのか

昆虫が絶滅してしまうと、受粉ができなくなり、多くの植物が死滅し飢餓状態になったり物質の循環が止まってしまいわずか数か月で人類も絶滅するといわれています。

なぜ、昆虫減少を食い止めることができなかったのか

昆虫は数の多さで把握が難しく、大量絶滅を乗り越えてきたことで絶滅を想像しにくかったこと、保護すべき対象として見られにくなどの理由から減少を食い止める動きは取られてきませんでした。

昆虫の減少はどれくらい深刻なのか

昆虫の数や多様性が低下していることは至るとこで、見られています。その実態は明らかになっていない部分もありますが、気候変動は実態が明らかになることを待ったことで対策が遅れてしまいました。

その反省からも全容が明らかになる前から昆虫絶滅を避ける対策を行う必要があります。

昆虫の減少の要因は何か

生息地の喪失や殺虫剤や除草剤などによる毒性の増加が昆虫減少の要因です。

生息地の回復や化学薬品の使用減で回復ができる可能性は示唆されています。

気候変動は昆虫に影響を与えるのか

気候変動も山火事の増加や生息地の縮小化などで昆虫減少の要因となります。生息地の喪失、毒性の増加と合わさったときにどれほどの影響が出るかは予測できないものです。

昆虫減少を防ぐために必要なことは何か

自然の保護など昆虫減少を防ぐ方法は明らかになりつつありますが、その対策を広めるには野生動物への文化的な理解度を高めることが不可欠です。

多くの人が自然の素晴らしさに触れ、昆虫を駆除すべき存在という認識を改めて、一刻も早く対策を広めなければ、手遅れになってしまいます。

本の要約

要約1

 もしも、昆虫が絶滅してしまうと、人間の文明は耕作農業と生態系が崩壊し、人類はわずか数か月で絶滅する可能性があると予測されるほど、人間にとって昆虫は重要な存在です。

 昆虫は、過去の大量絶滅を経ても、しぶとく生き残っており、人類が昆虫のいない世界に存在したことがないため、昆虫がいなくなったり、数が減ることを想像もしてきませんでした。

 しかし最近、世界各地で昆虫の生息数や種の多様性が減少していることが明らかになっています。

 昆虫がいなくなり、受粉ができなくなれば多くの植物が絶滅し、その植物を食べていた鳥などの動物も姿を消してしまいます。また、排せつ物や腐敗した植物、死骸から栄養が取る存在がいなくなり分解されず、放置されるなど、植物網全体が崩壊してしまいます。

 昆虫の世界で生じている危機的状況を探り、その原因を明らかにし、昆虫の喪失を食い止めるために何ができるかを考える必要があります。

要約2

 昆虫が減少していることは以前から、指摘がなかったわけではありません。しかし、昆虫は種類と数の多さで統計的な把握がしにくいこと、殺虫剤の存在が表すように虫を保護すべき対象とみなすことが少ないことが要因となり、昆虫の減少を食い止める様な動きはとられてきませんでした。

 実際に至るところで昆虫の数や多様性が減少しています。全昆虫種の40%が世界的に減少しており、3分の1は絶滅危惧種とされ、今後数十年の間に絶滅する可能性があります。昆虫の絶滅速度は哺乳類鵜や鳥類の8倍と早く、猛烈なスピードでの減少が進んでいます。

 長期にわたる調査によって、数十%昆虫が減少していることも珍しくなく、80%以上の大幅な減少が起きている場所も珍しくないほどです。

 生物多様性の縮小は気候変動以上の危機であり、少しづつその実態が知られるようにはなっていますが、まだ十分な対策は取られていません。気候変動では実態が明らかにになっていないことを理由に迅速な対応をとることができませんでした。

 昆虫の減少や生物多様性についてはその反省を生かし、全容が把握できていない段階であっても対策をすることが必要です。

要約3

 昆虫の減少は私たちに様々で、大きな影響を与えます。

 送粉者に依存した植物はとても多く、世界で栽培されている食用作物の3分の1以上が昆虫による送粉に頼ったものであり、送粉者の減少は作物の収量低下につながります。

 特にビタミンやミネラルを含む食物の多くで受粉が必要なため、適切な栄養バランスが奪われてしまいます。

 また、近年、昆虫由来の成分が薬に使用できる可能性にも注目があつまっていますが、絶滅してしまえばそれらの成分を見つけ出すことも不可能になってしまいます。

 昆虫の減少の要因は生息地の喪失と、毒性、気候変動が挙げられます。

 森林伐採や自然破壊による開発だけでなく、農作物が1種類か2種類しか栽培しないことや雑草を抜き、生垣を消滅させたことも生息地の喪失を招いています。

 また、農業を効率化した半面、送粉者や害虫を補足する昆虫の減少も促し、長期的には農業の効率を落とすものです。

 殺虫剤や除草剤も昆虫の大きなダメージを与えてきました。殺虫剤は土壌に侵食し、河川に流れ込むため、直接接触した昆虫以外にも大きな影響を及ぼしてしまいます。殺虫剤の成分がミツバチなどの中枢神経系を攻撃する可能性が示唆されています。

 殺虫剤などの化学薬品の使用を減らしたほうが、生産性が上がるというデータもあり、輪作、機械による除草などの技術に回帰することは充分に可能です。

 庭先でよく刈り取られ、整備された芝生は昆虫が生息するには不向きであり、その半分を自生植物の育つ場所に変えれば多くの昆虫の生息地を得ることが可能になります。

 夜の光も昆虫の負担となっていることが多く、電気の周囲を飛んでいる蛾は電気を月と勘違いし周回し、疲労困憊になったり、捕食者に食べられてしまいます。 

要約4

 気候変動もまた、昆虫の多くの影響を与えています。温暖化による影響を最も大きく受けるのは昆虫とされる研究もあるほどで、今世紀末には昆虫の半数が現在生息可能な範囲を半分以上失う可能性があるとされています。また、山火事の増加も大きな被害をもたらすものであり、実際に火事の規模は気候変動によって大きくなっています。

 昆虫は生態系の根幹であり、このまま減少がつづけば、生態系の崩壊を招き、人類にとっても飢餓のリスクが急増してしまいます。

 生息地の喪失と、毒性、気候変動のすべてが合わさったときに昆虫にどれほどの影響があるかは予測しきれないものです。

殺虫剤などの化学物質の使用制限や農作業の見直し、街灯使用減、野生動物の暮らせる場所の増加などそれほど難しくないことでも回復は可能です。

 実際に、コロナ渦で道路わきの刈込の頻度が減ったことで、野生の花が盛り返し、蝶などの野生動物が戻ってきた例もあります。

 ただし、これらの対策が一般化するには、野生動物への文化的な理解を芸術や音楽と同様のレベルまで高めることも不可欠です。難しいことではありますが、多くの人が、実際に自然の素晴らしさと触れることで十分に実現できることです。

 昆虫は過去5回の多量絶滅を乗り越えてきましたが、人間はたった200年足らずの活動で地球に甚大な影響を与えており、これほどの急激な変化には対応できません。

 昆虫の減少やその悪影響は明らかになっていない部分もありますが、今対策をしなければ、手遅れになってしまいます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました