現代人のための読書入門　印南敦史　要約

本の要点、概要

この本や記事で分かること

読書をする人の減少とどのように向き合うべきか

　本を読む人の減少や本が売れないなどのニュースが多くなっています。

　しかし、読まない人が増えたことを騒いでも、何かが変わるわけではありません。今でも多くの人は本を読んでいることに注目し、そのような人をどのように増やすかを前向きに考えるほうが大切です。

　多くの人が過去には読書経験があり、何かを学んできていますが、読書を必要以上に大げさに捉えてしまい、本を読めなくなっています。

　読書の原体験を思い出すことで、前向きな気持ちで読書に取り組むことができるようになるはずです。

読書に失敗はあるのか

　読書を通じて、なんらかの思いを心の中に残すことができ、多くの人が何かを得ようとして本を読んでいますが、期待したほどの知見が得られないこともあります。

　このような場合でも、その読書が失敗だったわけではありません。

　期待していたものとは違う知見を得ることもありますし、意外と得るものがなかったという感想も充分な収穫です。

　それらの思いは今すぐ役立つわけではありませんが、直接的であれ、間接的であれ、いつか何らかの形で将来の読書に影響を与えます。読書は一冊で完結するのではなく、未来へ続く「線」のようなものです。

読書＝何かを得るためにすることなのか

　読書に対し、すぐに役立つ利便性や満足感を求めすぎて、過度な期待をすると失望感が大きくなってしまいます。

　何かを得るための読書も有意義ですが、ただ、読みたいという純粋な欲求にフォーカスした浪費ともいえるような読書にも大きな意義があります。

　読書を大層なものとして捉えるのではなく、ただの手段として捉えることで、本が読みやすくなり、結果的に多くのことを得ることも可能です。

本を読む時間がない人はどうすれば良いのか

　本を読む時間がないという人も多くいますが、主体的に本を読もうと思えば、なんとか時間を作るはずです。

　主体的に本を読もうと思うには、知的好奇心を持つことがとても重要です。知的好奇心ではなく、以下のような考えで、読書をすれば読書のハードルが上がり、本の奴隷状態になってしまいます。

・何かを得ようという気持ちを持ち過ぎる

・読んだ内容をしっかり記憶しなければならない

・本は最初から最後まで読まなければならない

読書をどのように捉えるべきか

　子供のころのような本を読む喜びを思い出し、確固たる原則や哲学なしに読みたい本を読み、本との主従関係を修正し、読書を難しく考えすぎないことで、読書をしやすくなっていきます。

　大切なのは本を崇めすぎないことです。

　また、本との間には相性もあり、自分に合わない本も当然あります。

　好きと苦手が分かれるのは当然のことで、周囲の評価ではなく、自分の評価を信じるべきです。もし合わない本を読んでも、当然のことであり、あまり失敗だと考えないようにすれば問題ありません。

　期待していたようなものが得られなくても、本に書かれたなにかは吸収できています。吸収したなにかはすぐには役に立たなくても、忘れてしまっても記憶回路のどこかには残り、何かの拍子に姿を現し、予想外の力を発揮することもあります。

　読書は楽しいものであり、楽しいだけでいいものです。知識がつくことや役に立つこともありますが、それはあくまでも結果論です。あくまでも楽しさを原動力とすることが何よりも読書に必要なことといえます。

読書を習慣化するにはどうすれば良いのか

　纏まった時間がなく、読書を習慣化することを難しく考える人もいますが、隙間時間でも良いので読書を続けることで読書が身近なものになり、徐々に習慣化することができます。

　読書を習慣化出来れば、本を読むことが楽しくなっていきます。ただ、自分が読みたい本であれば、乱読でも、見返りがなくても、他の人の評価が低くても、関係ありません。自分のための読書であることを意識することが大事です。

　自身の好奇心ではなく、見返りを期待して行う読書は長続きしないものです。読みたいから読んだら何かを得られたという順序で考えるべきです。

本の要約