感染症・微生物学講義 岡田春恵 要約

本の概要

古代から人は感染症に苦しめられ、社会へも大きな影響を与えてきました。

技術の進歩で対策法も増えましたが、ヒトの移動距離や速度が上がったことで、これまで以上に感染症は拡大しやすくなっています。

コロナによるパンデミックは改めて、人類に感染症の脅威とその対策の重要性を知らしめる形になりました。

地球環境の変化や人口密度の増加、移動速度や距離のさらなる増加はさらなるパンデミックを引き起こす可能性があります。

様々な感染症について知り、有事になる前から対策をとっておくことが重要です。様々な感染症の歴史、注意点、医療の進歩など知ることのできる本になっています。

この本や記事で分かること

・感染症の歴史

・様々な感染症特徴と対処法

・パンデミックの影響を防ぐために必要なものは何か

本の要約

要約1

古代から人は感染症に苦しめられ、社会へも大きな影響を与えてきました。

技術の進歩で対策法も増え感染症の脅威が減ったようにも見えますが、ヒトの移動距離や速度が上がったこと、人口密度の多い都市の増加などのよって、これまで以上に感染症は拡大しやすくなっています。

そんな中で起きたコロナによるパンデミックは私たちに感染症の脅威を改めて、知らしめるものでした。

また。地球環境の変化でこれまであまり気にされてこなかった感染症が身近なものとなる可能性もあります。

様々な感染症の歴史や対策を知り、有事になる前から対応しておくことが求められています。

要約2

地球環境の変化は大規模災害の増加や感染症の感染範囲を拡大する可能性を秘めています。

大規模災害には、けがや不衛生が重なることもあり、破傷風、ジフテリア、赤痢、ノロウイルスなどに注意する必要があります。

また、病原菌を媒介する蚊の生息域が拡大すれば、マラリアなどの病気が拡大する可能性もあります。

身近な感染症だけでなく、これまであまり意識してこなかった感染症にも注意が必要です。

要約3

ペスト、天然痘、梅毒、コレラなどの感染症は感染力の強さや、死者数の多さなどで、人口の大幅な減少による社会構造の変化をもたらすなど歴史をも変えてきました。

しかし、マイナス面だけでなく、ワクチンの開発や公衆衛生の発展を促すなどのプラスの側面も持っています。

現在では、多くの感染症に対して、ワクチンが開発されており、新型コロナウイルスへのワクチンはかなりのスピードで開発されることとなっています。

ワクチンで予防できる感染症を理解し、自身の接種歴を把握しておき、海外に渡航する際などにはその国にあったワクチンを接種しておくことが重要です。

要約4

コロナによるパンデミックでも明らかなように、感染症への危機管理を行うことは、安全保障上でも大きな意味を持っています。

特に下記のような対策をパンデミックが起きていないときからとっておくことが重要です。

・検査体制の拡充

・陽性者の隔離施設の準備

・ウイルスの動向を察知できるゲノム解析体制の確立

・医療体制の構築、専門スタッフの確保

・ワクチン、治療薬の開発体制の強化

鳥インフルエンザのようなコロナを上回る健康被害、犠牲者を出す可能性がある感染症が拡大する可能性もあり、今から準備しておくことが重要です。

人は感染症とどのように付き合ってきたのか

 古代から人は感染症に苦しめられてきました。動物の家畜化後、多くのウイルス、病原菌が家畜から人間へ感染する機会を増やしてきました。

 人から人へうつる感染症は集団が拡大することで社会へ影響を与えるようになり、大流行となると歴史すら動かし、分野や芸術にも大きな影響を与えてきました。

 現代では、科学の発展による治療、ワクチンなどが生まれた一方で、人の移動距離、速度は大きく上がり、感染症の拡大はこれまで以上のものになっています。

 コロナによる世界的なパンデミックで明らかになったように感染症への対処の重要性は増加しています。

 本書では、様々な感染症の歴史、注意点、医療の進歩などを知ることができます。

古代から人は感染症に苦しめられ、社会へも大きな影響を与えてきました。

技術の進歩で対策法も増えましたが、ヒトの移動距離や速度が上がったことで、これまで以上に感染症は拡大しやすくなっています。

コロナでも明らかなように感染症への対処法の理解の重要性が増加しています。

増加する自然災害で警戒すべき感染症にはどんなものがあるのか

 日本は地震や火山の噴火など自然災害の多い国ですが、最近では地球温暖化の影響で豪雨による災害も増えています。災害時に起こりやすい感染症としては以下のようなものがあります。

破傷風

 土壌中の破傷風菌によって感染します。けがをした箇所から破傷風菌が入り込むことで感染するため、災害時に多く見られ、東日本大震災では10例の破傷風がみられました。

 北里柴三郎によってワクチンが開発されています。

ジフテリア

 ジフテリア菌への感染で起こり、飛沫感染します。日本では1945年には8万人超えもの患者が発生し、一割がなくなっていましたが、ワクチンの接種が進み感染者はほとんど見られなくなっています。

赤痢

 腸内細菌の赤痢菌の感染によって起き、赤痢菌に汚染された水や食品によって感染します。極めて少ない数の菌でも感染するため、過程での二次感染が起こりやすい感染症です。

 衛生状態の改善で大きく減少しています。

ノロウイルス

 急性の胃腸炎を起こすウイルスであり、強烈な吐き気、嘔吐や下痢を引き起こします。少ない数のウイルスで感染が起きるため感染伝播が起こりやすくなっています。

 ワクチンがないため、二次感染を防ぐためには消毒が重要です。ノロウイルスの消毒はアルコールでは不十分で塩素系漂白剤が有効です。

 熱には弱く、85~90℃で90秒の過熱で死滅します。

ほかにも、黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌、マダニが媒介する感染症も災害時に流行する可能性があります。

自然災害時にはけが、不衛生などが重なるため、感染症により注意が必要です。

特に破傷風、ジフテリア、赤痢、ノロウイルスなどに注意する必要があります。

ワクチンで予防できる感染症にはどんなものがあるのか

帯状疱疹

 水痘、帯状疱疹ウイルスの感染によって起こる病気で、水膨れができることが特徴です。高橋理明によってワクチンが開発され、世界100か国以上で1400万人が摂取しています。

 日本でも2014年より定期接種が実勢されています。

浸食性髄膜炎菌感染症

 髄膜炎菌の感染症によっておきる病気で、初期症状が見分けがつきにくいものの発症後の進行が早く、抗菌薬による治療でも後遺症や死亡に至る可能性があります。

 日本では少ないものの、飛沫感染するため、予防も困難であり、髄膜炎菌の多い地域へ渡航する場合にはワクチン接種が望まれます。

おたふくかぜ

 ムンプウイルスの感染のよって起き、腫れ、痛みと発熱が特徴です。

 ワクチン接種が有効ですが、日本では任意の摂取であり、接種率は低くなっています。

風疹

 風疹ウイルスによって感染し、飛沫感染でもうつります。妊娠初期の女性がかかると胎児がウイルスに感染し、先天性の病気を発症してしまう可能性があります。

 妊婦の周囲の人はワクチンの接種歴があるか、抗体価の有無を確認することが重要です。

狂犬病

 傷口から狂犬病ウイルスが体内に侵入すると感染します。致死率ほぼ100%であり、発症してしまえば治療法もないため、感染が疑われる動物にかまれた際には発症する前に対応することが必須です。

 犬にかまれる以外にも蝙蝠を経由して感染する例がみられています。日本では現在、狂犬病の発生はありませんが、ペットが海外から入る際の検疫が重要です。

多くの感染症でワクチンが開発されています。

自分自身の接種歴を把握しておくこと、海外に渡航する際にはその国にあったワクチンを接種しておくことが重要です。

日本でも多く見られる感染症にはなにがあるのか

 日本でも多くの感染がみられる感染症には以下のようなものがあります。

アタマジラミ

 シラミが頭部に寄生し、皮膚炎を起こします。子供から移ることもあるため、寝具やタオルなどの共有には注意が必要です。

 薬剤入りのシャンプーや櫛で卵を除去することなどが有効です。

新型水虫

 従来の水虫とは異なり、頭部や首筋など上半身を中心に発症します。

 駆除が難しいため、今期強く治療を続けることが大事であり、皮膚の状態をチェックし、症状があればすぐに受診することが重要です。

食中毒

 O157などの腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ菌などは食中毒の原因となります。

 それぞれで対処法が異なるため、原因菌の多い食材と加熱など対処法を理解することが重要です。

日本でもアタマジラミ、新型水虫、食中毒などはごく一般的にみられる感染症です。

症状と対策法の理解がとても重要です。

歴史を動かした感染症にはどんなものがあるのか

 感染症の大流行は歴史を動かすほどの大きな影響があります。歴史を変えた感染症には以下のようなものがあります。

ペスト

 急性細菌感染症であり、のみの腸管から様々な動物を経由し、人間に感染します。

 1348年からのヨーロッの大流行では、当時の人口1億人のうち、約3000万人ともされる死者がでたともいわれています。

 教会への不信感が強まり、教会の力が凋落し、宗教改革につながり、労働者の減少で人手のかからないブドウ栽培が広がるなど多方面に影響を及ぼしました。

天然痘

 天然痘ウイルスによって発症し、古代から人間を苦しめてきた感染症であり、致死率は20~50%に達することもあります。

 ヨーロッパのアメリカ大陸侵攻時には持ち込まれたウイルスによって、天然痘に免疫のない原住民が天然痘にかかったことで大きな被害を受け、ヨーロッパによる支配がはじまりました。

 現在はワクチンによって根絶された唯一の感染症です。ウイルスに感染すると必ず発症する、人以外の動物に感染しない、ワクチンの管理がしやすいなどの理由で根絶に成功しています。

梅毒

 15世紀末コロンブスの新大陸からの手土産という説が濃厚です。

 病気を起こす細菌を倒し、人類の害のない化合物があるはずと、初めて考えたエールリッヒによって治療薬が開発されています。

 現在、日本でも患者が増加しており、改めて注意が必要です。

コレラ

 コレラ菌に汚染された水や食物を口からとることで感染し、激しいを嘔吐と下痢の症状示します。

 上下水道の整備がな時代には流行しやすく、記録されているだけで、6回パンデミックが起きています。

 温暖化による海水温上昇でコレラ菌の生息域が広くなり、流行が起こりやすくなる可能性が示唆されています。

 多くの感染症は不衛生な空気が原因とされてきましたが、感染地図を作成したスノーのよって汚染された水が原因であることが示され、治療や予防のきっかけとなっています。

ペスト、天然痘、梅毒、コレラなどの感染症は感染力の強さや、死者数の多さなどで、人口の大幅な減少による社会構造の変化をもたらすなど歴史をも変えてきました。

一方で、ワクチンや公衆衛生などそれまでになかった対処法につながることも少なくありません。

環境の変化は感染症にどう影響するのか

 温暖化などの地球環境の変化によって、感染症が変化する可能性もあります。

エボラウイルス病

 致死率が高いことやアフリカ諸国から長距離移動する者が少なかったため、これまでは小規模な流行で済んでいましたが、都市化の進むアフリカで流行し、海外へ持ち出される可能性があります。

マラリア

 マラリア原虫を持つ蚊に刺されることで、感染します。温暖化、自然災害の大規模化で蚊の生息密度の増加、都市化による人口密度の増加で今後増加する可能性があります。

 潜伏期の感染者を見つけることが難しく、ワクチンが望まれていますが、見通しが立っていません。

 そのほか、結核や麻疹なども今後増加する可能性を秘めています。

温暖化などの地球環境の変化によって、感染症が変化する可能性もあります。

病気を媒介する蚊の生息域の変化、生息密度の増加すれば感染症に広がる地域も拡大していきます。

今後、感染症とどのように向き合うべきなのか

 コロナによるパンデミックは世界に大きな混乱をもたらしており、今後も危機管理を行うことは安全保障上でも大きな意味を持っています。

 事前計画と対応計画を立て、下記のような準備をすることがもとめられています。

・検査体制の拡充

・陽性者の隔離施設の準備

・ウイルスの動向を察知できるゲノム解析体制の確立

・医療体制の構築、専門スタッフの確保

・ワクチン、治療薬の開発体制の強化

 鳥インフルエンザはコロナを上回る健康被害、犠牲者を出す可能性があり、今から準備しておくことが重要です。

コロナによる混乱からも明らかなように、今後も危機管理を行うことは安全保障上においても、大きな意味があります。

事前に計画を立て、準備をしておくことが求めらます。

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