2080年への未来地図 川口伸明 要約

本の要点、概要

 気象災害の増加、生態系バランスのかく乱、コロナによるパンデミック、ウクライナ侵攻など世界の混迷が続く中で、世界がディストピアへ向かう様相にあると感じてしまいがちですが、テクノロジーが明るい未来をもたらすという世界観が否定されたわけではありません。

 未来は批評したり、当たりはずれを競うのではなく、どのような未来が訪れるかを探ることで、自分の生きたい未来の創造や行きたい場所へたどり着くための航海図として使うべきです。

 本書では様々なデータやAI、メタバース、医療、環境、政治経済、戦争といったトピックの進歩から2080年代の未来を予想するものになっています。 

この本や記事で分かること

・未来を想像する意義は何か

・テクノジーはどのように発展していくのか

・テクノジーの発展は社会をどう変化させるのか

未来はディストピアになってしまうのか

・気象災害の増加

・生態系バランスのかく乱

・コロナによるパンデミック

・ウクライナ侵攻

 など世界の混迷が続く中で、世界がディストピアへ向かう様相にあると感じてしまいがちですが、テクノジーが明るい未来を作る世界観が否定されたわけではありません。

 人類が乗り越えるべき課題が顕在化したことで、テクノロジーのよる課題解決が加速する可能性もあります。

世界の混迷で世界がディストピアへ向かう様相にあると感じてしまいますが、、テクノジーが明るい未来を作る世界観が否定されたわけではありません。

私たちは未来とどのように向き合うべきか

 未来は他人ごとのように評論したり、当たりはずれを競うのではなく、自分が生きたい未来を創るための探索やたどり着くための航海図として使用されるべきです。

未来は、自分が生きたい未来を創るための探索やたどり着くための航海図として使用されるべきです。

AIは今後どのように進化していくのか

  生成AIの誕生で大きな進化を感じさせる一方で、確率、統計に沿って候補を抽出しているだけで意味を理解しているわけではない、誤りが多いなどの指摘もあります。

 しかし、

・自律的なAIの誕生

・AI同士の集合による高度化

・数学的知能の発展など科学技術の創発

などによって人間以上の能力を発揮していく可能性も充分にあります。

 また、今後データ数やパラメータ数が加速度的に増加していけば意識や心を持っているように見える創発的な能力を獲得することも考えられます。

 リスクがあることも確かですが、研究の極度な抑制は未来の選択肢を狭めてしまう可能性があり、どう向き合うべきかを考える必要があります。

生成AI以降もAIの発展は続き、人間以上の能力を発揮していく可能性も十分にあります。

メタバースはどう進化していくのか

 注目度の落ちているメタバースですが、まだまだ可能性は大きなものです。

 仮想世界=VRばかりが注目されていますが、現実世界にそっくりなデジタルツインなどのミラーワールドや拡張現実=ARや複合現実=MRなどの技術もメタバースに応用可能です。

 ミラーワールドは実証実験やシミュレーションの場としても非常に有用ですし、ARやMRは製造現場や遠隔診断など医療現場での利用も可能ですし、AIとの組み合わせでさらなる発展が期待されます。

 メタバースで得た知見をリアルワールドでどう生かすかという視点も必要になってきます。

メタバースにもまだ大きな可能性があります。別世界に没頭するためのものから、メタバースで得た知見をリアルワールドで活かす方法が確立できれば、大きく発展します。

医療の発展はどのようなものがあるのか

 医療も技術の発展で大きな変化が期待される分野です。

・メタバースなどによる遠隔医療、医療の精密化

・AIによる病気の早期発見・

・マイクロバイオーム(腸内細菌叢)のさらなる解明など

 様々な技術進歩の応用が期待されている分野です。

医療も技術の発展が大きく貢献できる分野です。

環境分野はどう変化していくのか

 カーボンニュートラルの次には、生物多様性を守る理念が広がっていくことが予測されます。

 このような環境改善の動きはESG投資や排出権取引へのNFTの利用などで加速していくと思われます。

 また、生物模倣、人口光合成、海洋で分解するプラスチックなど新しい技術による環境問題の解決や自然環境に人為的に介入する技術など技術面での環境改善にも期待が高まっています。

カーボンニュートラルが浸透したのちには、生物多様性を守る理念が広がっていくことが予測されます。

政治的動きと技術適菜進歩で環境問題に取り組むことが期待されます。

経済はどう変化していくのか

 2080年以降は世界人口が減少に転じるとみられており、これまでは移民で出生率の低下を免れてきた国でも、別のアプローチが必要となります。

 AIやロボットの活用や、スキルシェアや教育機会の増加による労働力不足対策やメタバースなど仮想空間での新規ビジネスの創出が必要になっていきます。

2080年以降は世界人口が減少に転じるとみられており、労働力不足や市場縮小への対応が必要になってきます。

戦争はこれから先もなくならないのか

 グローバル化は創造性と活気を生み出す反面、譲り合えない価値観や歴史認識を巡る対立、分断の要因ともなります。

 コロナによるサプライチェーンの破壊はグローバル化から自国ファーストへのシフトを招き、シアによるウクライナ侵攻や台湾有事、イスラエル・パレスチナ情勢など対立、分断は深刻化しています。

 共同体を重視することで発展してきた人類は、共同体の外と中を明確化し、外のものに対して、攻撃的になりがちです。

 自分や仲間を守るための過剰防衛が闘争、戦争に結びついてきた可能性があり、闘争は人間に備わった本能なのかもしれません。

反グローバル化や対立、分断の深刻化などが表面化しています。

自分や仲間を守るための過剰防衛が闘争、戦争に結びついてきた可能性があり、闘争は人間に備わった本能なのかもしれません。

戦争を防ぐにはどうすればいいのか

 闘争が本能的なものである可能性もある以上、多様性を受け入れ、包括的な社会をつくるには、それぞれが敵意を抱かなくてもよくなるように空間的な隔たりや広がりが必要です。

 また、軍事による抑止力だけでなく、相手の価値観には介入しないことや国際社会の協調も引き続き重要です。

 戦争の当時者には平和を考える余地がないため、遠くで見ている人が平和実現への気持ちを持つ続けることも非常に重要なことです。

 人類は常に新しい課題や障壁を乗り越えて、知を求めていくものです。パンデミック、戦争、環境など暗い話題もありますが、AIや量子技術など新しい知の力を借りることで、明るい未来をもたらすことは可能です。

闘争が本能的なものである可能性もある以上、空間的な隔たりや広がりが必要になってきます。

暗い話題も多くなっていますが、人類は常に新しい課題や障壁を乗り越えて、知を求めていくため新しい技術が明るい未来をもたらす可能性も充分にあります。

本の要約

要約1

気象災害の増加、生態系バランスのかく乱、コロナによるパンデミック、ウクライナ侵攻など世界の混迷が続く中で、世界がディストピアへ向かう様相にあると感じてしまいがちです。

しかし、テクノジーが明るい未来を切り開くという世界観が否定されたわけではありません。むしろ人類が乗り越えるべき課題が顕在化したことで、テクノジーによる課題解決が加速していく可能性も十分にあります。

未来は他人ごとのように評論したり、当たりはずれを競うのではなく、自分が生きたい未来を創るための探索やたどり着くための航海図として使用されるべきです。

本書では世界人口がピークアウトし始める2080年代に焦点を当て、様々なデータをもとにどのような未来が訪れるのかを探っています。

要約2

AI

生成AIをはじめ、すでに大きな進化を感じさせています。

しかし、確率、統計に沿って候補を抽出しているだけで意味を理解しているわけではない、誤りが多いなどの指摘もあります。

それでも、自律的なAIの誕生、AI同士の集合による高度化、数学的知能の発展など科学技術の創発などによって人間以上の能力を発揮していく可能性が示唆されています。

AIが人間の行うすべての仕事を代替し、解決できないような難題を解決するような超知能AGIの誕生は2030年代後半と予測されます。

また、量が大きく増えることで、質的な違いがみられることも考えられ、今後データ数やパラメータ数が加速度的に増加していけば意識や心を持っているように見える創発的な能力を獲得することも考えられます。

AIにはリスクもありますが、広範な社会課題の解決に必須になりつつあるため研究の極度な抑制は未来の選択肢を狭めてしまう可能性があります。

リスクを認識しつつも、AIとどう向きあうべきかを考えることが必要になります。

メタバース

大きな注目を浴びたメタバースですが、生成AIの発展やコンテンツ不足やVR酔いなどもあり、その注目度は減少しています。

しかし、メタバースや仮想空間は大きな可能性があります。特にAIと組み合わさることでその用途は大きく広がるものと思われます。

また、現状では、仮想世界=VRばかりが注目されていますが、現実世界にそっくりなデジタルツインなどのミラーワールドや拡張現実=ARや複合現実=MRなどの技術もメタバースに応用可能です。

ミラーワールドは実証実験やシミュレーションの場としても非常に有用ですし、ARやMRは製造現場や遠隔診断など医療現場での利用が検討されています。

現実とは別世界に没頭するという使い方だけでなく、メタバースで得た知見をリアルワールドでどう生かすかという視点も必要になってきます。

要約3

医療

技術の発展が以下のように大きく貢献可能な分野です。

・メタバースなどによる遠隔医療や手術のシミュレーションなどによる精度向上

・遺伝子解析や分析能の向上による医療の精密化、個々にあった治療投薬などの最適化

・AIでの診断技術の向上による病気の早期発見

・マイクロバイオーム(腸内細菌叢)のさらなる解明

・食の質や環境の改善による健康寿命の延長

環境

カーボンニュートラルの先として、生物多様性を守る理念が浸透していきます。

環境に悪影響を与える企業から投資を引き揚げるESG投資、NFTによる排出権取引やカーボンクレジットの拡大などで地球環境の改善をする動きは加速していきます。

また、生物模倣、人口光合成、海洋で分解するプラスチックなど新しい技術による解決にも期待がなされています。

さらには、海洋へのアルカリの添加での酸性化緩和、大気へのエアロゾルによる温暖化の抑制など自然環境に人為的に介入する技術が実用化されている可能性もあります。

要約4

経済政治

2080年以降は世界人口が減少に転じるとみられており、生産年齢の減少、高齢者の増加による経済成長の伸び悩みが懸念されます。

これまでは移民で出生率の低下を免れてきた国も世界的な人口減少には別のアプローチによる対策が必要です。

AIやロボットの活用や、スキルシェアや教育機会の増加による労働力不足対策やメタバースなど仮想空間での新規ビジネスの創出などが求められるようになります。

また、株主だけでなく、企業すべての利害関係利益に奉仕することを志向するステークホルダー資本主義などによって経済的成長から社会や生活の繫栄へと価値観の転換を計り、地球環境への負荷との軽減と社会の発展を両立することは必然的といえます。

また、デジタル化による政治の効率化や市民の意思決定の場を作るデジタル民主主義で政治の在り方が大きく変わる可能性があります。

戦争

グローバル化によって異なる言語、宗教、民族などを持っている人々が結びつくことは、創造性と活気を生み出す反面、譲り合えない価値観や歴史認識を巡る対立、分断の要因ともなります。

コロナによるサプライチェーンの破壊による混乱はグローバル化から自国ファーストへのシフトを招き、ロシアによるウクライナ侵攻や台湾有事、イスラエル・パレスチナ情勢など対立、分断は深刻化しています。

人類は自己を家畜化し、共同体を作りやすいように変化し、人類全体で発展してきました。自己家畜化は攻撃性を低下させるものですが、共同体の外と内を明確化し、外のものに対して攻撃的になる要素も含んでいます。

自分や仲間を守るための過剰防衛が闘争、戦争に結びついてきた可能性があります。

闘争が本能的なものである可能性もあるため、多様性を受け入れ、包括的な社会をつくるには、それぞれが敵意を抱かなくてもよくなるように空間的な隔たりや広がりが必要です。

また、軍事による抑止力だけでなく、相手の価値観には介入しない、外交、国際社会の協調などの組み合わせも必要です。

戦争の当時者には平和を考える余地がないため、遠くで見ている人が平和実現への気持ちを持つ続けることも非常に重要なことです。

人類は常に新しい課題や障壁を乗り越えて、知を求めていくものです。パンデミック、戦争、環境など暗い話題もありますが、AIや量子技術など新しい知の力を借りることで、明るい未来をもたらすことは可能です。

人が未知への挑戦、冒険を続ける限り、生物学的な制約からも解放され、時間や空間を超え、進化し、未来はあり続けるものです。

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