メンタル脳 アンデシュ・ハンセン 要約

本の要点

要点1

現代は物質的には過去にないほど恵まれていますが、メンタルに問題を抱える人も過去にないほど多くなっています。

これは脳の目的が私たちを幸せにすることではなく、生き延びさせることであることと、脳が進化した環境と現代の環境のギャップによるものです。

脳は感情や記憶を利用し、私たちに最適な行動をさせようとします。生き延びるためであれば、嫌な感情を利用したりつらい思い出を重視こともあるため、私たちが日々嫌な感情を感じてしまったり、つらい思い出を忘れられないことは仕方のないことです。

また、脳が進化した時代は現代と比べても、命にかかわる危機もとても多いものでした。そのため、脳の火災報知機のような役割をする偏桃体は無駄が多くなっても、過剰に反応するようにできています。

要点2

脳は長期的なストレスを受けると気分を落ち込ませ、引きこもらせることで本体を守らせようとします。この状態がうつと呼ばれるもので、うつも脳の持つ機能が働いた結果起こるものです。

うつの原因は様々ですが、その多くは運動で改善可能であることが明らかになっています。

また、危機の多かった時代、群れから追い出されることは死を意味したため、私たちは孤独を極端に恐れ、グループ内でのヒエラルキーをとても気にしてしまいます。

これまでは、ヒエラルキーを比較するグループはそれほど大きくありませんでしたが、SNSの普及によって世界中の人と比較できるようになると自分が常に一番下にいるように感じ、メンタルに悪影響を与えてしまっています。

要点3

脳は粘土のようなもので、変化することが可能ですが、脳が変えられないと信じてしまえば、実際に変えることは難しくなってしまいます。

科学的に考えることで、知識を解毒剤とすることができます。

脳の機能や進化した時代との環境のギャップなどを理解しておけば、強い不安やパニックも脳の自然なメカニズムと考えることができれば恐怖を減らすことができます。

この本や記事で分かること

・なぜ、現代はメンタルに問題を抱える人が多いのか

・脳がどのような機能を持ち、どのように付き合うべきか

・SNSによるメンタル不調やうつなどをどう捉えるべきか

なぜ、現代でメンタルに問題を抱える人が多いのか

現代は物質的には過去にないほど恵まれていますが、メンタルに問題を抱える人は過去にないほど多くなっています。

その原因が、脳の目的と進化した環境と現代のギャップにあります。

脳の目的と進化した時代にどんなギャップがあったのか

脳の目的は私たちを幸せにすることではなく、生き延びさせることです。

また、脳は現代と大きく環境の異なる狩猟採集時代に進化していることもストレスの要因になっています。

脳はどのようにして私たちを生き延びさせるのか

脳は五感や集めた情報や身体の情報と記憶を組み合わせることで、最適な行動をとらせています。

脳は感情を利用することで、私たちに最適な行動をさせています。

現代と脳の進化した時代のギャップは何か

脳が進化した時代は、現代と比較して、命にかかわる危険にあふれていました。

そのため、脳の火災報知機に様な役割をする偏桃体は、無駄が多くても過剰反応するようにできています。

偏桃体が過剰反応しがちであることを理解すれば、恐怖を減らすことが可能です。

なぜ、つらい思い出は忘れられないのか

記憶も脳にとっては、生き延びるためのもので、危険につながりうる悪いことを重視するため、悪いことほど記憶に残りやすくなります。

つらい記憶を緩和するにはどうすれば良いのか

脳は記憶をそのまま思い出すのではなく、思い出した時の気分で色付けされます。そのため記憶に蓋をするではなく、安心できる状況でつらい思い出を口にすることでつらい思い出を緩和することができます。

人はなぜ、うつになるのか

脳は長期的なストレスを受けると、気分を落ち込ませることで、引きこもらせて、本体を守ろうとします。

この状態がうつと呼ばれるものです。

うつの有効な対策は何か

うつの原因には、様々なものがありますが、そのすべてに運動が有効です。

なぜ、私たちは孤独を恐れるのか

狩猟採集時代、群れから追い出されることは死を意味したため、私たちはグループ内でのヒエラルキーを気にしたり、孤立することを極端に恐れています。

多く時代で、ヒエラルキーを比較するグループはそれほど大きくありませんでしたが、SNSの普及で世界中の人と比較できるようになると自分が常に一番下にいるように感じ、メンタルに悪影響を与えてしまっています。

脳を変えることはできるのか

脳は粘土のようなもので変えることはできますが、変えられないと信じてしまえば、本当に変えることができなくなってしまいます。

科学的な思考をすれば、知識を解毒剤のように利用することができます。

私たちはどうすれば幸福になれるのか

人間が他の動物より優勢になれたのは、他人との協力が得意だったためです。そのため、少数でも信用できる人がいることは幸福に欠かすことができません。

しかし、幸福そのものを追い求めても、意味はなく、幸せに至るまでの道のりこそが重要です。

本の要約

要約1

物質的には過去にないほど恵まれている現代ですが、メンタルに問題を抱える人も過去にないほど、多く存在しています。

その要因は主に二つです。

・脳の任務が私たちを幸せにすることではなく生かすことを最優先している

・脳が私たちを生かそうとしているのは、狩猟採集時代であり、現代と大きく環境が異なる

二つの要因が生むギャップが多くの人にストレスを生んでいます。

私たちがいま生きているのは、祖先が生き延びてきたからです。人類の歴史の99.9%は狩猟採集採集の時代であり、私たちの脳は過酷な狩猟採集時代を生き延びることに、適応しています。

要約2

脳は本体を生き延びさせるために、五感で周囲の情報を集め、それを体の中の情報(心臓のリズムや血糖値)、脳が溜めている経験と記憶と組み合わせて最適な行動をさせようとします。

脳が最適な行動をさせるときには感情を利用し、本体の行動をコントロールしようとします。

何かを怖いと思ったり、逆に勇気が出たりすることも、すべて脳が私たちを生き延びるさせるためにしていることです。

特に、脳にある偏桃体は、情報が脳の各部位に届く前に、危険がないかチェックする火災報知機のような役割を果たしています。

脳が進化した時代は危険が多かったため、偏桃体は誤って反応しないよりも、無駄であっても過剰に反応しようとします。そのため、強い不安を感じたり、パニックになることは自然な防御メカニズムです。脳が正常に機能していることと理解し、警報機の誤作動だと考えられることで恐怖を和らげることが可能です。

要約3

脳が保存する記憶も私たちが生き延びるためにあります。

そのため、良いことよりも危険や脅威を重視し、次に同じことが起きたときに避けられるようにします。

つらい記憶を何度も思い出してしまうときは、記憶にふたをするのではく、安心できる状況でつらい思い出を口にするとつらさを減らすことができます。脳は記憶をそのまま取り出すわけではなく、編集しています。思い出した時の気分で、記憶は思い出した時の気分に色付けされるため、何度も話すうちに少しづつ、恐ろしさが薄れていきます。

人生に大きな影響を与えるような難しい選択をする際には、気分が落ち込み、引きこもりたくなります。これは脳がゆっくり悩む時間を与えているとも考えられます。

長期間にわたるストレスを受け続けてしまうと、脳は恐ろしい危険にずっとさらされていると判断し、引きこもらせて本体を守ったほうが良いと考えます。

これが、気分の落ち込みという感情になり、うつになってしまいます。ストレスの原因を取り除くことが最適ですが、それが難しい場合でも運動することでうつを改善できます。

うつはストレスホルモンが多すぎ、ドーパミンやセロトンのようなシグナル伝達物質や脳の肥料と呼ばれるBDNFが少なくなっている状態です。

うつの症状がどの要因で起こるかは人それぞれですが、運動がうつを防ぐためにとても有効です。定期的な運動はストレスホルモンを減少し、シグナル伝達物質やBDNFを増加させることが可能です。

要約4

私たちがグループ内で孤立することを恐れるのは、歴史上群れから追い出されることが確実に死を意味したためです。

私たちはグループから追い出されないために、グループ内で自分の位置がどれくらいなのか、ヒエラルキーを常に考えています。

多くの時代で、比較するグループはそれほど大きくありせんでしたが、SNSの発展で、世界中の人と比較することが可能になると、常に自分が一番下にいるように感じてしまうため、SNSの時間を制限することも大切です。

脳は粘土のようなもので、日々どう生きるかで働きを変えることが可能ですが、脳が変えられないと思えば実際にそうなりかねません。科学的に考えれば知識を解毒剤とすることが可能です。

人間は他の動物よりも協力が得意だったため、地球で最も優勢な動物となりました。そのため少数でも信用できる人がいることが幸福に欠かすことができません。

しかし、幸せそのものを追いかけても意味がありません。努力を傾けるべきは幸せというゴールではなく、そこまでの道のりにあります。

信用できる人に囲まれ、夢中になれて、自分にとっても他人にとっても意味があることに夢中で打ち込めば幸せを感じることができます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました