モチベーション脳 大黒達也 要約

本の概要

やる気が出ない、モチベーションを維持できないーこんな悩みを抱えている人は少なくないと思います。

しかし、多くの場合意識的にやる気を出したわけではなく、脳が無意識的に行動し、その行動そのものが楽しいためモチベーションを維持できるというパターンがほとんどです。

脳で起きている無意識的な作用がどのように起き、なぜモチベーションを維持できるために役立っているのかを知ることができる本になっています。

この本がおすすめの人

・やる気が出なくて困っている人

・モチベーションを維持できない人

・脳が我々の行動にどのような影響を与えているのか知りたい人

本の要約

要約1

モチベーションとが何かの行動を起こす欲求や気持ちを指し、様々な種類や理論があります。

モチベーションには脳が深く、関わっており脳の仕組みとモチベーションの仕組みを知っておくことがモチベーションを維持するためには必要不可欠です。

特に脳の意識的、顕在的な作用だけでなく無意識的、潜在的な作用に目を向けることが重要です。

要約2

脳は無意識のうちに身の回りの出来事を計算し、不確実性を下げ、予測精度を上げる統計学習を行っています。

人は統計学習を促す行動にモチベーションを感じます。

モチベーションの上昇や維持は意識的で明確な目標を持つことだけでおこるのではなく、統計学習にように無意識下での判断が影響を与えることあります。

要約3

モチベーションが起こるときには理由=モチベーターがあり、自分にとってのモチベーターを知っておくことが重要です。

無意識下で行動を起こすような仕組みを作り、モチベーターと行動の報酬を同一にしておくとモチベーションを維持しやすくなります。

報酬には金銭のような外発的なものと達成感のような内発的なものがあり、内発的な報酬のほうが創造性を発揮しやすい、モチベーションを維持しやすいなどの利点があります。

内発的な報酬を満たすには時間がかかるため、外発的な報酬で行動をはじめ、徐々に内発的な報酬に移行することが理想的です。

要約4

脳は不確実性を下げていると、今度が不確実性の高い情報に触れたいという欲求を発揮するようになり、新しいものの組み合わせを考えることが可能になります。

この不確実性のゆらぎが高い創造性をもたらすものとして注目されています。

不確実性のゆらぎで脳の知的好奇心を刺激することができれば、内発的なモチベーションを満たすことができ、モチベーションを長期にわたって創造的に維持することができるようになっていきます。

モチベーションを理解にはどうすればよいのか?

 多くの人がモチベーションが上がらないことを悩んでいます。

 モチベーションには様々な種類や考えがあり、そこには脳が深くかかわっています。

 脳の潜在的(無意識的)、顕在的(意識的)なメカニズムがモチベーションには大きくかかわっており、これらを知ることでなぜ、モチベーションが上がらないか理解できるようになります。

モチベーションには脳が深くかかわっています。脳の潜在的、顕在的なメカニズムを知ることで、モチベーションがあがらないか理解できるようになります。

モチベーションは行動にどのように影響しているのか?

 無意識的なモチベーションが意識的な行動に影響を与えるカギとなる脳の働きに統計学習が挙げられます。

 統計学習とは、身の回りの出来事の確立を自動的に計算する脳のはたらきのことです。

 統計学習によって世の中に存在する不確実な出来事を下げ、予測精度上げることは普段の生活におおきく貢献しています。

 次にどんなことが起き、どのくらいの確率かを無意識的に知ることで、脳が集中すべきだけに集中し、効率的になったり、予想外の出来事にも適切に対応することができるようになります。

 不確実性を下げ、予測精度を上げることが脳の統計学習にとっての基本的なモチベーションとなっています。

脳は無意識的に、統計学習(物事の不確実性を下げ、予測精度を上げようとする働き)をしており、そのような行動にモチベーションを感じるようになっています。

モチベーションを意図的に上げることは有効か?

 統計学習は脳の無意識的な学習で、絶えず行われています。統計学習によって蓄積された記憶は意識的に行う行動や判断に影響を与えています。

 統計学習による記憶はモチベーションにも影響を与えるため、モチベーションは必ずしも、明確な意図や目標を持つことで上がるわけではなく、無意識的な判断が影響を与えていることも多く見られます。

 我々が何かをしようと思う前に、すでに無意識下で行動を起こす準備をしているという研究結果もあります。

 意図的な意図があって初めて行動できると考えがちですが、先に無意識な意欲が生じています。

 脳では、やる気があるから行動できるのではなく、脳がスイッチを入れたことでやる気を実感し行動できるといえるため、無意識のモチベーションを高めることで、自然と意識的なモチベーションが上がっていきます。

無意識下での判断が行動やモチベーションに影響を与えてるため、意図的に上げるようとするよりも無意識のモチベーションを上げるほうが有効です。

無意識のモチベーションはどうやって上げるべきか?

 統計学習では、予想とはずれていることを優先的に記憶し、予測通りのことをあまり記憶しない傾向にあります。

 あまり、予想と違うことばかりであると、ネガティブな感情を引き起こしてしまうこともあり、適度に不確実性の高い予想外のことが起こると将来的な報酬につながるので脳のモチベーションが上がりやすくなります。

 統計学習によって不確実性が下がりきると、情報に対し、脳は興味を失い飽きてしまいます。

 しかし、脳は不確実性の下がりきった情報をもとに不確実性の高い情報を作り出す特殊化という作用も持っています。

 不確実性を下げようとする力と不確実な情報への興味という相反する力が存在しています。

 近年の研究では、不確実性が下がり、特殊化によって上がる際の不確実性のゆらぎが生じた際に個性や創造性、芸術的感性が宿ることが分かっています。

予測からズレ過ぎず、当たり前すぎない微妙なものに触れることで人は心を動かされ、無意識のモチベーションが上がっていきます。

モチベーションとは何か、維持するにはどうしたらよいか?

 モチベーションとは、何か行動を起こす欲求や気持ちを指し、モチベーションに関するモチベーション理論と呼びます。

 モチベーションが起こるときには必ず理由があり、その理由はモチベーターと呼ばれます。

 自分にとってのモチベーターが何かを把握することがモチベーション維持に重要となります。

 モチベーションの目的は報酬と呼ばれます。報酬とモチベーターが同じであると、モチベーションを維持しやすくなります。

 脳は無意識下で不確実性を下げたい欲求と不確実性をもとめる欲求を持ち、そのせめぎあいが意識に現れてきます。モチベーションを無理に上げるのではなく、無意識下で行動を起こすような仕組み作ることがモチベーション維持の秘訣となります。

モチベーションとは、何か行動を起こす欲求や気持ちを指します。

自分にとってのモチベーションが起こる理由であるモチベーターが何かを把握し、報酬とモチベーターが同じにすると無意識下で行動を起こしやすくなりモチベーションを維持しやすくなります。

モチベーションを維持する報酬にはどんなものがあるのか?

 モチベーションには外発的なものと内発的なものがあります。

 外発的モチベーションはお金や評価など外からの報酬が目的になり、内発的モチベーションは達成感や喜びなど自分の中から湧きおこる感情や感覚が報酬となります。

 外発的モチベーションはわかりやすい反面、予想しやすく不確実性が下がりやすい、創造性を下げやすいといった欠点があります。

 工業社会では明確な目標があり、トップダウンで命令を受けることが多く外発的モチベーションでうまくいっていました。

 しかし、外発的モチベーションでは与えられたこと以上のことをしたり、新しい課題を自分で見つける行動をとることはなく、創造性やイノベーションにはつながりません。

モチベーションには金銭などの外発的なものと達成感などの内発的なものがあります。

内発的なモチベーションのほうが創造的、長続きするなどの利点があります。

なぜ、内発的な報酬が重要なのか?

 内発的モチベーションは自主性、成長、目的を持つことが特徴であり、創造性やイノベーションを促進することができるため、これからの社会では内発的モチベーションを持つことがより重要になっていきます。

 やる気がある人をうらやむ人は多いですが、やる気は何らかの手段でやる気を出したわけではなく、脳がわくわくした結果起きている場合がほとんどです。

 無意識下であるため、やる気というものは存在しません。外発的モチベーションではなく、その行為自体が楽しいという内発的モチベーションによって動いている状態を、やる気があると表現しているだけです。

内発的な報酬は創造性やイノベーションを促進できるため重要度が増加しています。

外発的な報酬ではなく、その行為が楽しいと感じている状態をやる気があると表現しています。

なぜ、人間はモチベーションをコントロールできるのか?

 人はほかの動物と異なり、複雑に絡むモチベーションをもとに判断を下すことができます。

 人間だけがモチベーションをコントロールできるのは、脳の構造にあります。

 脳の深部は生命維持や本能、情動を司る部位があります。表皮に近いところにある理性を司る前頭全皮質が脳の深部とつながっているため、本能や情動を抑え、モチベーションをコントロールすることができます。

 前頭全皮質の働きは統計学習の機能を抑え込んでいる可能性が示唆されています。論理的思考力が向上する代わりに創造性が抑えられているのかもしれません。

 一方で、なにかアイデアを思いついたときには、それを評価する必要がありますが、その際には前頭全皮質による理論的な思考が欠かせません。

 これらの機能のバランスが創造的な思考を行うためのモチベーションに重要となります。

脳の表皮に近い前頭前野が発達したことで、脳深部にある本能や情動を抑えることができます。

ただし、前頭前野は統計学習の機能を抑えている可能性もあり、前頭前野による理論的な思考とのバランスが重要となります。

モチベーションを保つにはどうすればよいのか?

 統計学習における予測精度の向上や不確実性の減少は脳への報酬となり、脳のモチベーションをあげることができます。

 能動的な行動によって、脳はやる気をだすため、まず行動してみることも有効です。やる気を待つのではなく、やる気を迎えにいくことが大切です。

 不確実性のゆらぎを維持することで、脳はモチベーションを一定の高さに保つことができますが、意図的に不確実性を下げる思考と不確実性に興味を持つ思考を行うことは難しいことです。

 モチベーションを維持して創造性を発揮するためには下記のような段階を踏み、不確実性を下げる思考と不確実性を求める思考のバランスをとることが重要です。

1.準備期:問題の確認と整理

2.あたため期:一度問題から離れる

3.ひらめき期:アイデアがひらめく

4.検証期:アイデアの精査

 準備期と検証期では不確実性を下げる思考が、ひらめき期では不確実性を上げるような思考を必要としています。

 その間のあたため期では、不確実性のゆらぎ生じることで高いモチベーションを維持することができます。

 高い創造性には不確実性を高める思考と下げる思考の両方が必要になってきます。

不確実性を下げる思考と不確実性を求める思考のバランスをとることでモチベーションを維持し、高い創造性を発揮することが可能になります。

外発的な報酬はどう利用すべきなのか?

 学習することで不確実性が下がることで達成感を得ることができますが、徐々に不確実性の下げ幅は小さくなっていきます。

 この状態が飽きた状態で徐々にその学習意欲を失いますが、習慣化することで学習をつづけやすくなることもあります。

 モチベーションを維持するためには金銭などの外発的報酬と知的好奇心などの内発的報酬があります。

 外発的報酬は不確実性の低い情報に目を向けやすく、創造的な方法をとりにくくなってしまいます。一方で、内発的報酬は不確実性の高い情報に興味を持ちやすく、目標を達しても長くモチベーションを維持することが可能です。

 ただし、内発的報酬を満たすには時間がかかることも多く、外発的報酬と組み合わせることがモチベーションを維持するために有効です

外発的な報酬は不確実性の低い情報に目を向けやすくするため、創造的な方法を取りにくい、モチベーションを維持することが難しいなどの欠点があります。

ただ、内発的な報酬を満たすためには時間がかかるため、外発的な報酬と組み合わせることでモチベーションを維持しやすくなります。

内発的なモチベーションを促進するにはどうすればよいのか?

 内発的なモチベーションを促進するためには以下の3つの要素が必要になります。

1.自律性:自分で行動を制御する

2.有能感:自分には能力があり、社会に役立つ存在であると感じること

3.関係性:ほかの人と信頼関係にある、集団や社会に属している実感

 自発的な行動を起こし、それを自分で評価したりや周囲に評価されることで有能感を得、その結果社会的なつながりを感じることで内発的なモチベーションを維持することができるようになります。

 初めは外発的報酬によるモチベーションからスタートし、徐々に内発的モチベーションに移行できれば努力や行動そのものが報酬となり、長期間モチベーションを維持することができるようになります。

 不確実性のゆらぎを起こすことで脳の知的好奇心を維持することができます。慣れた作業と不確実なことや難しいことを適度に取り入れたり、気分転換になる作業を取り入れることも有効です。

 結果そのものよりも過程に内発的モチベーションがあふれていることを意識し、過程を楽しむことができるようにすることがなによりも理想的です。

自律性、有能感、関係性を感じることが内発的なモチベーションを高めるポイントです。

はじめは外発的な報酬でモチベーションを高め、徐々に内発的なモチベーションに移行できれば長期的にモチベーションを維持することが可能です。

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