化学.23 有機化合物

この本や記事で分かること

・有機化合物とは何か

・様々な炭化水素の持つ特徴

・高分子化合物とは何か

有機化合物とは何か

 19世紀初めまで、有機物は人工的に作ることができないと考えられていました。

 しかし、1828年、ウエーラーによって有機物である尿素(CO(NH2)2)が無機物であるシアン酸アンモニウム(NH4OCN)を加熱することで合成可能であることが発見されます。

 その後、様々な有機物が無機物から人工的に合成可能であることが分かります。

 それまで、有機物=生命が生み出す物質としていましたが、多くの発見により、炭素を骨格として、水素、酸素、窒素などが結合した物質へとその定義が変化していきました。

有機物が合成できることを発見するために時間がかかったのはなぜか

 有機物が合成される前から多くの無機物で化学反応を起こすことは知られていましたが、有機物は生体内でしか合成できないものと考えられていました。

 生体内の反応は触媒である酵素がなければ、活性化エネルギーが高く、反応が進行しません。そのため、触媒が発見されるまでは有機物を作り出すことはとても難しく、熱だけで反応が進行するシアン酸アンモニウム(NH4OCN)もなかなか発見されませんでした。

 触媒の発見と様々な触媒の発明によって、人には作ることのできないと思われていた有機物や天然には存在しないような有機物が次々に作られるようになっていきました。

 炭素は不対電子を4つ持っているため、様々な原子と結合可能であり、その結合も単結合や二重結合、三重結合まで色々な結合が可能になっています。

 結合の種類が豊富なこともあり、有機化合物は関与する原子の数は、水素、酸素、窒素を中心にはハロゲンや硫黄、リンなどそれほど多くないにもかかわらず、膨大な数の化合物を生み出すことが可能です。

炭化水素やアルカンとはどのような化合物なのか

 炭素と水素からなる有機化合物は炭化水素と呼ばれます。

 もっとも簡単な炭化水素はメタン(CH4)であり、天然ガスの主な成分で燃料や発電にも利用されています。

 炭素と水素が増えた化合物には、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)、ブタン(C4H10)などが挙げられます。

これらの化合物はすべての炭素と炭素が単結合で結合しており、アルカンや飽和炭化水素と呼ばれ、CnH2n+2という化学式で表されます。

アルケンにはどんなものがあるのか

 炭素同士が二重結合を有している炭化水素はアルケンや不飽和炭化水素と呼ばれ、もっとも簡単なアルケンはエチレン(C2H4)となります。

 炭素と水素が増えた化合物には、プロピレン(C3H6)、ブテン(C4H8)などがあり、CnH2nという化学式で表されます。

 二重結合は単結合と比較して反応性に優れるため、様々な化学製品を生み出す原料として利用されています。

 原油から得られるエチレンやプロピレンからは化学薬品やプラスチック、合成繊維、ゴムなど様々な化学製品の原料となっています。

高分子化化合物とは何か

 エチレンの二重結合は反応性が高く、様々な物質と反応しますが、エチレン同士が反応し分子同士がつながっていくこともあります。

 ある分子が繰り返しつながることを重合と呼び、元の分子はモノマー(単量体)、つながって生成した物質はポリマー(重合体)や分子量が大きいことから高分子化合物と呼ばれます。

 エチレンが重合した物質がポリエチレンと呼ばれ、容器やフィルムなどに利用されています。

 高分子化合物は以下のような特徴から、非常に多様な化合物があり、その特性の違いを活かし、多様な高分子化合物が様々な場面で使用されています。

 ・2種類以上の物質から形成されることもある

 ・どれくらい分子が重合したか(分子量の大きさ)で性質が異なる

 ・どのように重合するか(枝分かれが多いか、直線状か)で性質が異なる

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