化学.31 有機化合物と官能基

この本や記事で分かること

・官能基とは何か

・なぜ、官能基に着目することが大事なのか

・様々な官能基の構造

官能基とは何か

 分子中に存在する特定の原子団からなる部分のことを官能基と呼びます。それぞれの官能基は官能基に特有の化学的な挙動を示すため、無数にある有機化合物を分類し、大まかな性質を予測することが可能です。

 分子量が大きく、複雑化した分子であっても、その反応性や性質には官能基によって決まるため、その化合物がどのような官能基を持っているかを知すことはとても重要になっています。

炭素と水素からできる官能基にはどんなものがあるのか

 炭素と水素から成る官能基には以下のようなものがあります。

・アルカン(炭素-炭素結合がすべて単結合で形成される)

・アルケン(炭素の二重結合 C=Cを持つ)

・アルキン(炭素の三重結合を持つ)

・芳香環(二重結合を三つもつ炭素の6員環、ベンゼン環)

炭素がδ+となるような原子と単結合した官能基にはどんなものがあるのか

 炭素はより電気陰性度の高い原子と極性結合を形成し、炭素がδ+となり、結合した原子がδ-となる官能基は以下のように多く存在しています。

 ハロゲン化アルキル:炭素とハロゲンが結合 クロロメタンなど

 アルコール:炭素と水酸基(OH基)が結合 メタノールなど

 エーテル:酸素が二つの炭素の間に結合 ジメチルエーテルなど

 アミン:炭素と窒素が結合 メチルアミンなど

 炭素とその他の原子との間に電気陰性の差から極性を生じやすく、電子の移動が起こりやすいことからこれらの官能基から有機反応が始まることが多くなっています。

炭素と酸素の二重単結合を含む官能基にはどんなものがあるのか

 炭素と酸素の二重結合を含む官能基は、有機化合物の中でも重要な化合物に見られます。炭素と酸素の二重結合はカルボニル化合物と呼ばれ、以下のような構造を持つものが一般的です。

 アルデヒド:酸素と結合した炭素に水素が結合 アセトアルデヒドなど

 ケトン:酸素と結合した炭素に別の炭素が結合 アセトンなど

 カルボン酸:酸素と結合した炭素に水酸基が結合 酢酸など

 アミド:酸素と結合した炭素に窒素が結合 アセトアミドなど

 エステル:カルボン酸の水素が別の炭素と置き換わって結合 酢酸メチルなど

炭素がδ-となるような原子と単結合した官能基にはどんなものがあるのか

 多くの官能基で、炭素はδ+に帯電していますが、一部の電気陰性度の小さい原子と結合した官能基では、炭素がδ-に帯電することもあり、そのような化合物には以下のようなものがあります。

 Grignard 試薬:炭素に臭化マグネシウムが結合 Mgがδ+となる

 アルキルリチウム:炭素とリチウムが結合 Liがδ+となる

 Mgの電気陰性度は1.2、Liの電気陰性度は1.0と炭素の2.5と比べ、小さいため、これらの官能基では炭素側に電子が偏り、δ-の電荷を帯びることとなります。

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