この本や記事で分かること
・なぜ、物質の循環が重要なのか
・光合成とは何か
・窒素はどのように循環してるのか
光合成にはどんな意味があるのか
地球上の生物は共通の子孫を持つというつながりをもっていますが、それだけではなく、物質の循環を通じた繋がりをもっています。
窒素と炭素を中心とした物質の循環は生物の循環をもたらす重要な要素になっています。
光合成は光のエネルギーを利用して、CO2と水などの水素供与体からグルコースを作り出す反応です。光合成をする生物がいなければ、私たちはグルコースを取り入れることができず、生きていくことができません。
大気から植物に取り込まれたCO2が有機物となり、エネルギーや生物の体の一部になっています。呼吸や遺骸が微生物に分解されることで、CO2を排出し、循環しています。

森林はどのように変化していくのか
植物には、日光が良く当たるところを好む植物(陽性植物)とあまり当たらないところでも生育できる植物(陰性植物)が存在しています。
陰性植物は陽性植物と比較して、弱い光でも生きていけますが、光を強くしても、光合成はあまり進みません。陽性植物は光が強い環境では陰性植物よりも早く成長することが可能でより、高く成長します。
この違いは森林生態系の遷移に影響を与えます。
森が深くなると陽性植物は生育できず、陰性植物が繫栄します。しかし、倒木などで隙間できると再び、光合成活性の高い陽性植物が繁栄するようになることで、森の生態系も循環、変異しています。

光合成はどのように起きているのか
植物ではルビスコという酵素がCO2を取り込むことで、光合成をおこなっています。ルビスコの反応は平均的な酵素の300分の1ほどでしかないため植物は多くのルビスコを作ることで、効率をあげています。そのためルビスコは地球上でもっとも量の多い酵素になっています。
取り込まれたCO2は光のエネルギーによって、有機物に変換されています。光合成は光のエネルギを化学エネルギーに変換するという機能を持つものです。
光のエネルギーは反応中心と呼ばれる色素とタンパク質の複合体でとらえられ、エネルギー状態が高くなり、高エネルギーの電子を放出します。電子を放出した反応中心では、水を分解し、電子を補っています。
水の分解で得られた酸素は系の外へ放出され、プロトンはチラコイド膜と呼ばれる膜で仕切られた場所の内側に運ばれます。
膜の内外でプロトンの濃度勾配が発生し、この濃度勾配を解消するために、プロトンがチラコイド上のATP合成酵素の中を通った際にのエネルギーを利用してATPを合成しています。

窒素はどのように循環しているのか
タンパク質を構成するアミノ酸はアミノ基を含む化合物であるため、窒素は欠かすことができない元素です。
私たちも植物やそれらの生物を食べた別の生物を食べることで、有機窒素化合物を取り込み、身体を維持しており、窒素も生態系の中で循環しています。
遺骸や排出物に含まれる有機窒素化合物は土の中の微生物によって、分解され、NH4+へと変化します。NH4+は亜硝酸菌によって、NO2–へさらに硝酸菌によってNO3–へとなります。
NO3–は植物に取り込まれ、再び、NH4+へと還元されアミノ酸であるグルタミンに取り込まれます。グルタミンと種々の有機酸から他のアミノ酸が生成され、あらゆる有機化合物が作られています。

窒素循環に頼らない食料生産はどのようなものか、その問題点は何か
化学肥料は窒素の循環とは無関係に、空気中の窒素から化学反応を用いて作られた肥料のことを指します。
世界に人口が80億人以上となっている要因に、化学肥料の普及があり、空気中の窒素と水素からアンモニアを合成するハーバ法の発明にはノーベル賞化学賞が授与されています。
ただし、ハーバー法による窒素変換には膨大なエネルギーが必要であり、その量は年間5000兆ジュールにも上るともいわれています。
膨大なエネルギーは地下に埋蔵された植物が固定してきた炭素のエネルギー(化石燃料)を使用しているにすぎないことを忘れるべきではありません。
生態系を根底で支えている光合成と窒素循環の仕組みを理解し、環境負荷の小さい手法の開発やライフスタイルそのものの見直しを行う必要性に迫られています。

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