この記事で分かること
・発電方法の種類とその違い
・日本の電力構成と問題点
現在の発電分野の潮流は何か
気候変動リスクの高まりを受けて、各国がカーボンニュートラルを目指しており、発電分野でも石油などからクリーンエネルギーへの転換が求められています。
しかし、資源エネルギー庁によると、2021年の日本の電力の電源の構成比は以下のようになっており、まだまだ化石燃料の割合が多くなっています。
・天然ガス:34.4%
・石炭:31.0%
・水力:7.5%
・石油等:7.4%
・太陽光:8.3%
・原子力:6.9%
・風力:0.9%
・地熱:0,3%
・バイオマス:3.2%
化石燃料を利用しないゼロエミッション電源には原子力を含み、その割合は27.1%となっています。
カーボンニュートラルによる脱炭素の影響は発電分野にも及び、火力発電からの脱却が求められています。
そもそもどのように発電を行っているのか
火力発電や原子力発電では、水などを高温にして蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回しています。
回転したタービンによって電磁誘導が発生し、電気が発生することを利用して発電を行っています。
エネルギーの種類に問わず、多くの発電方法で、タービンを回すという仕組みは同じになっています。
燃料を燃焼させたり、化学反応させた際に発生するエネルギーで蒸気を作り、その蒸気でタービンを回転させ、電磁誘導を起こすことで電気を発生させています。
タービンを回すという仕組み自体は多くの発電方法に共通しています。
化石燃料とは何か
化石燃料には石炭、石油、天然ガスが含まれます。化石燃料は燃焼時の熱エネルギーで蒸気を作り、タービンを回すことで発電を行っています。
炭化水素を主成分とするため、燃焼時に温室効果ガスである二酸化炭素を多量に排出するため温暖化の原因となります。
また、化石燃料は動植物の死骸が長い時間加圧されて生み出されるものであり、何千万年という長い期間がかかるものでもあります。
産業革命以降、大量の資源を利用してきたこともあり、可採年数に限りがあることも化石燃料の問題点といえます。
化石燃料には石炭、石油、天然ガスなどが含まれます。
安価であり、効率も良いため多く利用されてきましたが、埋蔵量に限りがあり、二酸化炭素を多量排出し、温暖化の原因となります。
原子力発電とはなにか
原子力発電はウランが核分裂を起こした際に発生する大量の熱を使用して、発生した水蒸気でタービンを回すことで発電を行うものです。
ウランの原子核は中性子を取り込むことで、原子核が分裂をおこし、大量の熱と中性子を放出します。
分裂時に発生した中性子が他のウランの原子核に入ることで、連鎖的に核分裂を起こすことができます。原子力発電では中性子吸収剤を利用した制御棒で中性子の量を減らすことで核分裂をコントロールしています。
原子力は核分裂で出る熱エネルギーで蒸気を作るため、温室効果ガスの排出はありませんが、事故の危険性や建設コストの大きさや放射性物質の取り扱いに課題があります。
原子力発電はウランが核分裂を起こした際に発生する大量の熱を使用して、発生した水蒸気でタービンを回すことで発電を行うものです。
温室効果ガスを発生させない利点がありますが、事故の不安や放射性物質の取り扱いといった問題があります。
再生可能エネルギーにはどんなものがあるのか
主な再生可能エネルギーとしては、水力、風力、太陽光、バイオマス、潮力、地熱などが挙げられます。
水力は水流で、風力は風で、地熱は地下深くから水蒸気や熱水を取り出し、タービンを回しています。
水力や風力は温室効果ガスの排出はありませんが、天候に左右される面が問題点といえます。
バイオマスは木くずなどから作った材料を燃焼させ、タービンを回しています。バイオマスの燃焼時には温室効果ガスが排出されますが、木が育つ際に二酸化炭素を吸収するため差し引きゼロになるため、再生可能エネルギーの一種に含まれています。
主な再生可能エネルギーには、水力、風力、太陽光、バイオマス、潮力、地熱などがあります。
温室効果ガスの排出はありませんが、天候に左右されるものが多いことが問題点といえます。
太陽光発電とは何か
太陽光発電は太陽光によって半導体素子の中の電子が移動し、電気を発生させています。
半導体素子にはシリコン系、金属からなる化合物系、有機部化合物を原料とする有機系などが挙げられ、研究が進んでいます。
温室効果ガスの排出がないことやパネルの量産化が確立していること、タービンのような可動部がないため、故障が少ないことも利点になっています。
天候の影響、パネルの寿命の短さと補助金なしでも採算が合うかなどの問題を解決することが求められています。
太陽光によって半導体素子の中の電子が移動し、電気を発生させる発電方式が太陽光発電です。
温室効果ガスの排出がないことやパネルの量産化が確立していること、タービンのような可動部がないため、故障が少ないことも利点ですが、コスト、天候の影響を受けやすいことが懸念になっています。
再生可能エネルギーの課題は何か
再生可能エネルギーは温室効果ガスの排出が少ないことが大きな利点であり、化石燃料からの変換が期待されています。
課題は天候などで発電量が制御されることによる安定性のなさ、発電コストの高さです。
過剰な電力を蓄電池に充電しておく方法もありますが、蓄電池の低コスト化の目途はたっていません。再生可能エネルギーで足りない分をコストの安い石油などで賄ってしまうとコストを下げることも難しくなります。
洋上風力発電のような発電した場所から遠い場所に送電する必要があることもコストを押し上げてしまっています。
天候などで発電量が制御されることによる安定性のなさ、発電コストの高さです。
安定性の向上のために、過剰な電力を蓄電池に充電しておく方法もありますが、蓄電池の低コスト化の目途はたっていません。
洋上風力発電のような発電した場所から遠い場所に送電する必要があることもコストを押し上げる要因になっています。
再生可能エネルギー問題点を克服する検討はどんなものか
安定性のなさは過剰な電力で温水を作り、貯蔵活用する方法などで解決する方法が検討されています。
また、再生可能エネルギーで水素を製造することも検討されています。
水素はエネルギー効率が極めて高く、水素でエネルギーの貯蔵を行ったり、燃料電池など運搬に利用することで再生可能エネルギーの弱点であったコストを克服できる可能性もあります。
再生可能エネルギーの普及には技術的な進歩だけではなく、社会システムの在り方を変える必要もあります。
社会的な実験を行う場の選定や方向性などを定め、再生可能エネルギーの普及を推進することが求められています。
過剰な電力で温水や水素を造ることで安定性のなさを補うことが検討されています。特に水素はコストを克服できる可能性もあり、大きな注目が集まっています。
また、社会的な実験を行い、システムを大きく変えることも求められいます。
今すぐに、化石燃料の使用をやめるべきなのか
日本の石炭火力発電の熱効率は世界トップクラスの実績があるものの、日本でも石炭火力発電に対する反対がされるなど、石炭火力発電に対しての風当たりが強くなっています。
しかし、世界的にみれば、まだまだ電力不足の地域も多く、それらの国では石炭に頼らざるを得ない状況です。このような国に日本の持つ効率的な石炭火力発電を使用することができれば、世界的な温室効果ガスの排出の減少に大きく貢献できる可能性があります。
世界的には電力不足の国も多く、石炭に頼らざるを得ない状況もあります、
そのような場合に、日本の持つ効率的な石炭火力発電を使用できれば、温室効果ガスの減少に貢献することができます。
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