本の概要
サイコロジーとは心理学のことで、経済的な成功は何を知っているかよりもどう対応するかのほうが大事となるため、お金に関する欲望や不安などの人間心理を知ることが重要になります。
お金で失敗する人が多いのは、
・稼ぐ能力と維持する能力が違う
・ごく稀にしか起きない出来事が大きな成功の要因となることが多い
・成功が能力か運かの区別が難しい
などが大きな理由であるため、心理的な要因を理解することが重要になります。
お金が最も大きい価値を生むのは時間や人生をコントロールするために使うときのため、そのようなお金の使い方をすることが重要になります。
- この本がおすすめの人
- お金と付き合うには何が必要か
- なぜ、お金に対する判断を誤りやすいのか
- なぜ、成功の要因を見極めることが難しいか
- なぜ資産をリスクに晒してしまう人が多いのか
- 経済的な成功に必要な要因はあるのか
- なぜ、大きなお金を稼いでも失ってしまう人が多いのか
- テールイベントとは何か、なぜ重要か
- 人生で幸福かを決める要因は何か
- 富を築くことはなぜ難しいのか
- 富を築くためには何が重要か
- お金の判断は数学的な計算をもとにすべきか
- 歴史から何を学ぶべきか
- 計画を立てるときに重要なことは何か
- なぜ人は将来を見誤ってしまうのか
- 投資のリスクをどう捉えるべきか
- 専門家などのアドバイスをどう考えるべきか
- 悲観的な意見と楽観的な意見どちらを信じるべきか
- なぜ人は判断を誤るのか
- 本書から何を学ぶべきか
この本がおすすめの人
・お金との関わり方を知りたい人
・なぜ、お金に関する判断を誤ってしまうのか知りたい人
・お金に関する判断力を高めたい人
お金と付き合うには何が必要か
お金とうまく付き合うには、頭の良さよりも行動が重要です。多額のお金を持っている賢い会社経営者が破綻したり、ごく普通の清掃員が多額の資産を築いていることもあります。
専門的な知識や学位、学歴、広い人脈を持つ人物を持たない人物が上回ることができる唯一の分野がファイナンスの分野です。
ファイナンスの分野は運の影響が大きく、経済的な成功は何を知っているかよりもどう振る舞うかが重要であるためこのような逆転が可能になります。
本書ではお金との賢い付き合いに必要な欲望や不安などの人間心理、楽観主義の歴史を知ることができます。
お金とうまく付き合うために必要なことは頭の良さではなく、どう行動するかです。何を知っているかよりもどう振る舞うかが重要になります。
なぜ、お金に対する判断を誤りやすいのか
個人的ができる経験は全体のごく一部ですが、その経験に基づいてそれぞれが異なるレンズを通じて世界を見て、世界の仕組みを理解していると思ってしまいます。
そのため、経済的な判断でも自分の限られた経験や情報から自分独自の世界の仕組みに当てはめて正当化してしまいます。
年金、投資、定年後の生活など今では常識のようにされていることも、ほんの最近の出来事のため慣れていないためお金についておかしな行動をしてしまいます。
極一部の自分の経験から判断してしまうため、判断を誤りやすくなります。
なぜ、成功の要因を見極めることが難しいか
リスクと運は兄弟のようで人生の努力を超えた大きな力に左右されます。経済的な成功に運と努力や実力がどのくらい影響しているかを正確に把握することが難しいことです。
そのため、個々の成功例や失敗例から見習うべき特性や避けるべき特性を見極めるのは恐ろしく難しいことになります。何が運で何が技能で何がリスクなのかを見極める難しさは資産形成の最善策を学ぶ時に直面するおおきな問題です。
ニュースなどで取り上げられる極端な人物よりも幅広い観察から導かれる教訓の方が有益である場合が多くみられます。
経済的な成功には運と努力が作用しますが、どちらの影響か判断することが困難なため、成功の要因をはっきり見極めることは難しくなります。
なぜ資産をリスクに晒してしまう人が多いのか
今手にしている大切なものを、不要な物を得るために失いことほど無意味なことはないが、既に多額の資産を持っていても不要なお金を稼ぐために大切な資産を危険に晒してしまう人は少なくありません。
これを防ぐには4つのことを覚えておくことが重要です。
1.動き続けるゴールポストを止める 十分の感覚をもち、肥大する欲望に歯止めをかける
2.富の比較ゲームに参加しない 他人と比較するとキリがなくなってしまう
3.吐くまで食べない もっと多くを得ようと手を伸ばさない
4.利益を得る可能性があっても、危険を冒す価値のないものは多い
今の状況がもう十分だと言える状況でないかを考えることがとても大切です。
十分お金を持っていても、不要なリスクをとってしまう人は多くみられます。欲望は肥大し続けるため、今の状況がもう十分でないか考えることが重要です。
経済的な成功に必要な要因はあるのか
氷河期の発生は劇的な気候の変動ではなく、ごくわずかに涼しい夏が冬に積もった雪を溶かす量を減らし、それが繰り返され巨大な氷床に発展し、地球全体が氷に包まれていきます。
ごくわずかな変化が「複利的」に作用することで驚異的な変化をもたらすことがあり、自然界だけでなくお金の世界でもよく見られます。
投資家として有名なウォーレン・バフェットは845億ドルの資産を持ちますが、そのうち842億ドルは50歳以降に増えたものです。バフェットは類まれな投資家だがその成功の全てが才覚ではなく、複利の力も大きいものです。
複利の力は直感的に理解しにくいため、他の能力などに着目してしまうが、その力は非常に大きくなっています。
福利の力は直感的に理解しにくいですが、だれでも利用でき、その力も強大です。
なぜ、大きなお金を稼いでも失ってしまう人が多いのか
裕福になる方法はいつくもありますが、保つ方法は倹約と心配性の組み合わせだけです。お金を得る方法とそれを維持する方法は別物です。
お金を得るためにはリスクを取る必要があり、楽観的になり、大胆な行動を起こさなくてはなりません。一方でお金を維持するには正反対のことが必要です。謙虚になり倹約に努め、稼いだお金の一部が運によるものであることを受け入れなければなりません。
複利の力の強大さもあり、市場に残り続けることが成功のためには何よりも必要でそのためには破滅してしまうようなリスクを取らないようにする必要があります。
お金を稼ぐ能力と維持する能力が異なるため、大金を稼いでも失ってしまう人は多くなります。
維持するためには謙虚になり、稼いだお金の一部が運であることを受け入れる必要があります。
テールイベントとは何か、なぜ重要か
ビジネスでも投資でも大きな成功が全体の利益の大半を占めることはよく見られます。結果の分布の端に位置するような出来事はテールイベントと呼ばれ、テールイベントが利益の大半を占める例は多く見られますが直感的には理解し難いです。
ベンチャー企業による投資、映画の配給会社などテールイベントが収益の中心である業種は非常に多くなっています。
投資でも正しい判断を続けることはできませんが、テールイベントの際だけ正しい判断をしておけば大きな利益を得ることができます。市場が暴落し、多くの人々が株を手放しているときに投資を続ければ、大きな利益を得ることができます。
テールイベントとは滅多に起きない出来事のこと。大きな利益はテールイベントで得ることができることが非常に多い。
人生で幸福かを決める要因は何か
幸せの定義は難しいですが、思い通りの人生を送ることができるかは誰にとっても共通する内容です。そのため幸福感をもたらしす信頼性の高い要因は「人生を自分でコントロールしている」という感覚を持てるかどうかが大きくなります。
お金の持つ最大の価値が自分に時間をコントロールできることです。物質的には豊かになっても、幸福感を得られないないのは人生をコントロールできていないことが原因となります。
工場などでの仕事はその場から離れれば、仕事のことを考える必要がありませんが、現代の仕事は考えることが増え、場所を選ばず、終業後も仕事のことを考えることが増えたため幸福感が下がっています。
ものではなく時間こそが幸せに導いてくれることを意識する必要があります。
幸福感をもたらすのは人生を自分でコントロールしている感覚を持てるかどうかです。お金の最大の価値は自分の時間をコントロールできる点であり、物ではなく時間が幸せに導いてくれることを意識することが重要です。
富を築くことはなぜ難しいのか
物質的な豊かさは外から見えますが、富は使われていない収入であり外から見ることができません。そのため物資的な豊かさ=お金持ちのロールモデルはすぐに見つかります(高級車や豪邸など)が富を持つ人のロールモデルは見つけにくくなってしまいます。
富を築くことが難しいのは、他人の成功を外から見えるもので判断してしまうためです。裕福そうに見えて破産寸前の人はたくさんいます。
物質的な豊かさと異なり、富は外側から判断することができないため、富を持っている人のロールモデルが見つけにくいことが富を築きにくい理由となります。
富を築くためには何が重要か
富を築けるかには収入や投資リターンではなく、貯蓄率が大きく関わっています。消費の多くの部分は他人に自分がお金を持っていることを示すための支出でエゴのためです。
他人に目を気にせず、エゴを小さくし、欲望を抑えることで貯蓄率を上げることができます。貯金をするたびに誰かに所有されていた自分の未来を少しづつ奪い返していると考えると貯金しやすくなります。
富を築くために重要となるのは収入や投資リターンではなく貯蓄率になります。
お金の判断は数学的な計算をもとにすべきか
お金について判断するときに数学的な計算だけに囚われてはいけないという事実は見逃されがちです。数理的に正しい方法でも合理的ではなく、大きなストレスを感じていしまえばうまくいきません。
数字的に成功する確率が同じ企業でも、共感を持っている企業であえば多少問題があっても応援し続けることができますが、共感のない会社に投資し続けることは難しいことです。
数字の上で合理的でも大きなストレスを感じてしまうと長続きしません。合理性だけで判断すべきではありません。
歴史から何を学ぶべきか
投資の世界は膨大な数の人が限られた情報に基づいて、不完全な意思決定を行うことをくりかえすため、過去の研究を行ってもうまくいかないことが多くなります。
テールイベントの持つ影響力も大きいが、これらのイベントは予想しにくく、あらゆる出来事は結びついているためわずかな違いで未来が変わってしまいます。
状況は常に変わるため、歴史から学ぶべきなのは予測ではなく、一般論です。人間の欲望と恐怖、ストレス下での行動、インセンティブへの反応などは時が経っても変化しにくいため学ぶことに意味はあるが、歴史は予言にならないことは意識すべきです。
状況は常に変化数ため歴史と同じことが起きるわけではありません。歴史からは予測ではなく、一般論を学ぶべきです。
計画を立てるときに重要なことは何か
計画通りに進まないことを考慮し計画を立てるべきです。良いアイデアでも一度の失敗で大きな損失を出したため、悪いアイデアと区別がつかなくなってしまったケースは少なくありませn。
お金に関する活動で誤りの余地を作ることを我々は苦手にしています。将来には絶対の正解があり、見通しを立てないと損をしてしまうと思い込んでいるためです。
実際には誤りの余地を作ることで、多少失敗しても市場に残り続けることができます。将来の利回りを低く見積っておけばストレスを感じることなく市場に残れるが、誤りの余地がなければ、ストレスで誤った行動をしてしまいがちです。
計画時に誤りを犯す余地を作っておくことで市場にながく残ることができます。
なぜ人は将来を見誤ってしまうのか
人は将来の自分をイメージするのが苦手で、将来の自分が今とあまり変化しないと考えやすいが、自分や境遇が変化することは思っている以上に多いです。
長期的な展望を持つことが苦手なことはファイナンシャルプランにも悪影響を持つため、次の二つのことを心に留めるべきです。
1.極端なファイナンシャルプランは避ける
2.過去の自分の囚人にならない 経験が無駄になってもサンクスコストと割り切るべき
人は将来を見通すこと、特に変化が大きく起こる可能性を考慮することが苦手なため、将来を見誤ってしまいがちです。
投資のリスクをどう捉えるべきか
投資の世界でも、リスクなくリターンを得ることはで気ません。多くの人がリスクを避けるべく、様々な手法を検討していますが、結局相応のリスクのあるインデックスファンドの成績を上回ることはほとんどありません。
人々は料金を払うことに抵抗を覚えないが、罰金を嫌う傾向にあります。投資のリスクは罰金のように感じるため避けようとしてしまいます。
長期的な視点で投資に伴うリスクを罰金ではなく、市場への入場料と考えれば、少し受け入れやすくなります。
投資のリスクを罰金ではなく、市場への入場料と捉えることで受けいれやすくなります。
専門家などのアドバイスをどう考えるべきか
同じ投資家でも目標や見ているものが違うため、違う視点の投資家のアドバイスを信じてはいけません。短期トレードと長期トレードでは見るべきところは大きく異なる。
自分がどんなゲームに参加しているのか改めて考え、書き出して確認するのも良い方法です。
期間など自分と違う視点を持つ人のアドバイスを聞いてはいけません。自分がどんなゲームに参加しているか明らかにすることが大事です。
悲観的な意見と楽観的な意見どちらを信じるべきか
楽観主義を信じることが最善策であることは多くあります。楽観主義とは全てがうまくいくと考えるのではなく、たとえ途中で挫けることがあっても長期的には良い結果が得られる可能性が高いと考えることです。
悲観主義は楽観主義よりも賢く、もっともらしく聞こえるため、人々の注目を浴びやすいですが、実際には世の中は少しづつ良くなっています。また悲観主義者は技術の進歩を考慮しない場合も多く、予想が当たらないことも多いです。
進歩はゆっくりと悲劇は一瞬で広まることも悲観的な意見の方に反応しやすい理由です。株価が1日で大幅に下落すると大きなニュースだが、数年をかけてゆっくり上昇しても誰も気にしません。
人間は悲観的な出来事に注目しやすい物ですが、長期的には良い結果が得られることがほとんどです。
なぜ人は判断を誤るのか
人は何かを守ろうとしたりするときに、客観的な数値ではなく、ストーリーで判断してしまいます。客観的な事実ではなく、自分が真実であって欲しいことを信じてしまいます。
誰もが現実を理解したいと考え得ているが、現実は複雑で理解は難しいことです。自分の知らない世界とのギャプを埋めるために都合よくストーリーを作り上げてしまいます。
人は客観的事実ではなく、自分が真実であってほしいことを信じてしまうため判断を誤ってしまいます。
本書から何を学ぶべきか
本書で伝えたいことは具体的なアドバイスではなく、普遍的な真理です。具体的なアドバイスは考え方や置かれた状況によっても異なりますが、以下のような普遍的な事実は存在します。
・経済的な自立のために貯蓄を行うべき
・株式投資で売買を繰り返しても、インデックス投資を上回ることは少ない
・複利の力は強力で長期的に市場に居続けることが
・高価なものを持つより人生をコントロールできる方が幸福につながりやすい
普遍的な真理を頭に入れ、自分で最適な方法を考え、修正していくことが重要になります。
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