再考ファスト風土化する日本 三浦展 要約

本の概要

ファスト風土とは、固有の歴史と自然をもっていた地方の風土がファストフードのように全国一律の均質なものになってしまっている状態を指し、筆者が20年ほど前に生み出した言葉です。

それぞれの土地の持つ特徴や、歴史を壊して作り上げられた、均一で特徴のないファスト風土は特に郊外で多く見られます。

ロードサイド沿いにショッピングモールができることで、駅周辺の活気が失われ、個人経営の店がつぶれ、残るのはショッピングモールにあるどこにでもある店だけ、このようなファスト風土化はいたるところで見られるものです。

ファスト風土化の様々な問題点を知り、どうすれば回復できるのかを知ることができる本になっています。

この本や記事で分かること

・地方都市になぜ、同じような風景が多いのか

・ファスト風土とはなにか、何が問題なのか

・ファスト風土を脱するためには何が必要なのか

本の要約

要約1

ファスト風土とは、固有の歴史と自然をもっていた地方の風土がファストフードのように全国一律の均質なものになってしまっている状態を指し、筆者が20年ほど前に生み出した言葉です。

日本中の地方のロードサイドに大型商業施設が進出した結果、均質化によるファスト風土化が進行してきましたが、ファスト風土という言葉が生まれてから長いときが経ち、新しい世代にとってはファスト風土化した町が原風景であり、違和感を感じることも少なくなっています。

環境問題の面では、ファスト風土は大量生産、大量消費の肯定につながるものでもあり、見直しが必要なことは明らかです。

これらの背景からもう一度ファスト風土化について考える本になっています。

要約2

ファスト風土の問題には以下のようなものが挙げられます。

・均質化による地域固有の文化の喪失

・モータリゼーションと郊外化による環境エネルギーへの負荷

・自然や歴史ある町などの使い捨て

・流動化と匿名化による犯罪の増加

・人間が大量生産されたものという感覚をもってしまう

・東京などの都市への進出意欲の減少

・没社会性、コミュニケーションの減少による生活空間の閉鎖、子供の発達の阻害

・地域文化の空洞化によってアイデンティティが持てず、国家にすがってしまう

ファスト風土にも良い部分はあり、それを選ぶことは自由ですが、ファスト風土でない社会で生きることを選択する自由もあるべきです。

要約3

ファスト風土は郊外への大萱商業施設の進出により多様性のある商店街が失われることで、広がっていきます。

ファスト風土化した郊外都市はどこでも同じような風景となり、家族以外との関りが減り、地域社会の結びつきが弱くなっていきました。

また、ファスト風土化した社会では娯楽も地域との結びつきを弱めてしまいました。

娯楽は余計なものであり、後回しにされがちですが、睡眠、食欲に次ぐ、あるいは同じくらい重要な欲望です。

インターネットの普及と発展で娯楽はさらにヴァーチャルの個人化した世界へ移行する中でリアルな娯楽の魅力を再評価し、娯楽をただの暇つぶしではなく、地域、街づくり、都市政策の中に位置づけるべきです。

要約4

ウェルビーイングという言葉が流行するように自己充足に大きな注目が集まるなかで、ショッピングモールとは違う新しいタイプの脱ファスト風土化した場所作りが始まっています。

脱ファスト風土した場所の特徴は以下のようなものです。

・チェーン店ではない個人経営の店が多い

・多様な人々が交流する場所を持っている

・マスを狙うのではなく少数の人を集める

・古い建物などに愛着を持ち今の時代にふさわしい形に変えていく

ニュータウンやショッピングモールにも良い部分はありますが、長い時間が経ち、その限界も見えています。街づくりも消費から自己充足を意識したものに変わる必要があります。

脱ファスト風土した新しい場所が広がり、ショッピングモールにも広がることで、脱ファスト風土化が進んでいきます。

ファスト風土とは何か

 ファスト風土とは、固有の歴史と自然をもっていた地方の風土がファストフードのように全国一律の均質なものになってしまっている状態を指し、筆者が20年ほど前に生み出した言葉です。

 日本中の地方のロードサイドに大型商業施設が進出した結果、均質化によるファスト風土化が進行してきました。

 ファスト風土という言葉が生まれてから長いときが経ち、新しい世代にとってはファスト風土化した町が原風景であり、違和感を感じることも少なくなっています。

 また、ファスト風土は大量生産、大量消費の肯定につながることもあり、見直しが必要です。

 これらの背景からもう一度ファスト風土化について考える必要が出てきました。 

ファスト風土とは、固有の歴史と自然をもっていた地方の風土がファストフードのように全国一律の均質なものになってしまっている状態です。

ファスト風土化にはどんな問題があるのか

 ファスト風土の問題には以下のようなものが挙げられます。

・均質化による地域固有の文化の喪失

・モータリゼーションと郊外化による環境エネルギーへの負荷

・自然や歴史ある町などの使い捨て

・流動化と匿名化による犯罪の増加

・人間が大量生産されたものという感覚をもってしまう

・東京などの都市への進出意欲の減少

・没社会性、コミュニケーションの減少による生活空間の閉鎖、子供の発達の阻害

・地域文化の空洞化によってアイデンティティが持てず、国家にすがってしまう

 ファスト風土にも良い部分はあり、それを選ぶことは自由ですが、ファスト風土でない社会で生きることを選択する自由もあるべきです。

 今求められているのは、街育です。これらの時代にふさわしく、多様性を内包した街にすることが子供たちにとっても大きな財産となります。

ファスト風土にも良い部分はあり、それを選ぶことは自由ですが、問題も多く抱えており、ファスト風土でない社会で生きる選択ができるようになるべきです。

多様性を内包した街を作ることが求められています。

ファスト風土はどのように出来上がるのか

 ファスト風土の多くは、以下のような手順で進行します。

1.駅前から離れた郊外に大型商業施設ができる

2.駅前の商店街が活気を失う

3.郊外のロードサイドが中心となるため、自動車が欠かせなくなる

4.郊外にチェーン店などの同じようなお店が並び、風土が均質化し、ファスト風土となる

 ファスト風土化した郊外都市はどこでも同じような風景となり、家族以外との関りが減り、地域社会の結びつきが弱くなっていきました。

 近年大きな事件を郊外出身の都市で育った人が起こすケースも増えています。匿名化した社会や家族に問題があっても頼ることができない状況が事件を引落している可能性もあります。

ファスト風土は郊外への大萱商業施設の進出により多様性のある商店街が失われることで、広がっていきます。

ファスト風土から脱する方法はあるのか

ファスト風土から脱する方法として、以下のような検討が行われています。

・町全体のリノベーション

・占有空間化していた場所を地域での共有空間へ変更する

・駅を多様な人が関わるエコシステムへと捉える

・違いのある小さな自治体を一つにするのではなく、個性を活かして連携する

・ローカルフードに注目する

・女性が活躍しやすい環境を整えることで、多様な人々を受け入れる

・市民自らがボトムアップで街づくりに参加する

ファスト風土からの脱する方法は様々ですが、

・如何に多様性を実現するか

・地域ならではの文化に注目し活かすこと

の2点が重要になります。

娯楽をどうとらえるべきか

 娯楽というと余計なものであり、後回しにされがちですが、睡眠、食欲に次ぐ、あるいは同じくらい重要な欲望です。

 ファスト風土化した街の娯楽は地域との関連を弱めてしまってしまいました。

 インターネットの普及と発展で娯楽はさらにヴァーチャルの個人化した世界へ移行しています。 

 このような状況だからこそ、リアルな娯楽の魅力を再評価し、娯楽をただの暇つぶしではなく、地域、街づくり、都市政策の中に位置づけるべきです。

娯楽を求めることは睡眠、食欲に次ぐ、あるいは同じくらい重要な欲望です。

ファスト風土化した街の娯楽は地域との関連を弱めてしまいました。娯楽をただの暇つぶしではなく、地域、街づくり、都市政策の中に位置づけるべきです。

郊外や下町がファスト風土から脱しているのか

 郊外や下町ではこれまで、ショッピングモールが作られてきましたが、ここにきて新しいタイプの場所作りが始まっています。

 単なる商業施設とは異なるパブリックな施設が、東京の郊外、下町などで見られています。

 立川、仙川、下北沢、谷中、西新井、墨田区向島、菊川などで見られている施設の特徴は以下のようななものです。

・チェーン店ではない個人経営の店が多い

・多様な人々が交流する場所を持っている

・マスを狙うのではなく少数の人を集める

・古い建物などに愛着を持ち今の時代にふさわしい形に変えていく

 このような動きはますます広がり、いずれはショッピングモールがそうした動きを取り入れていきくことで脱ファスト風土化が進んでいくはずです。

単なる商業施設とは異なるパブリックな施設がファスト風土からの脱却に重要です。

多様性を持ち、交流をもつための場所を作る動きが、ショッピングモールに広がっていけば、脱ファスト風土化が進んでいくはずです。

今後のまちづくりに求められるものは何か

 ウェルビーイングという言葉が流行するように自己充足に大きな注目が集まってきます。

 インターネットの普及、人口減少、少子高齢化で巨大ショッピングモールが今後発展するとも思えません。

 そのような中で街づくりも消費から自己充足を意識したものに変わる必要があります。モノ消費からコト消費への変化もその一部であり、街も変化することが求められています。

 ニュータウンやショッピングモールにも良い部分はありますが、長い時間が経ち、その限界も見えています。

 ネットやAIの進めるファストで脱人格的な社会への変化への反動として、ますます人々はローカルで属人的な生活を実現しようとし、それが実現できる街、地域を選ぶようになります。

 この動きがファスト風土化を止め、脱ファスト風土化につながっていきます。

ニュータウンやショッピングモールにも良い部分はありますが、長い時間が経ち、その限界も見えています。街づくりも消費から自己充足を意識したものに変わる必要があります。

ファストで脱人格的な社会への変化への反動として、人々はローカルで属人的な生活を実現しようと考えます。

この動きがファスト風土化を止め、脱ファスト風土化につながっていきます。

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