まじめにエイリアンの姿を想像してみた アリク・カーシェンバウム 要約

本の要点

要点1

測定技術の進歩で、宇宙には想定以上の数の惑星があり、生命の住めそうな星が多いことが分かっており、地球外に生命が存在するのは必然ともみられています。

もし、地球外生命体が存在していたとしても、我々は生命の比較対象を地球上の生命しかもっていないため、どのような生物か予測することは難しいことです。

それでも、物理、化学法則は地球外の惑星でも共通であり、大まかな予測は可能なはずです。

要点2

地球と地球外の惑星は大きく環境が異なるため、その特徴を予測することは不可能に思えます。

実際に、地球外生命体がどんな姿をしているのかを予測することはとても難しいものです。

一方でどんな行動をとるのか=機能は自然選択によるものであり、ある程度予測しやすいものです。

実際に地球でも異なる種が同じ課題を克服するために、同じような進化をする収斂進化はよく見られます。地球外でも環境に適応する解決策は限られており、地球上の生命と似た機能を持っている可能性もあります。

また、コストと利益はトレードオフであるため、極端な能力を身に着ける可能性は高くありません。

要点3

私たちは人間を理性、言語、種などの面から特別で唯一の存在と考えてきました。

しかし、他の動物にも理性があることやホモサピエンスという種そのものが絶滅した人類種と交配していた、社会的な行動、知能も地球の環境の適応するために身に着けたものでしかないのかもしれないなど人類委の唯一性はゆらいでいます。

不安に思う人もいますが、そもそも、地球の様々な動物たちは多種多様な解決策をもって進化してきたもので、劣った人類のような存在ではありません。

地球外生命を想像したり、地球の生命の複雑さや多様性に触れることで、人類や地球の他の動物に対する見方にも変化が生じていくはずです。

この本や記事で分かること

・地球外にも生命が存在する可能性は高いのか

・地球上の生命はどんな生物なのか予測することはできるのか

地球外に生命は存在しているのか

測定技術の進歩で、宇宙には想定以上の数の惑星があり、生命の住めそうな星が多いことが分かっており、地球外に生命が存在するのは必然ともみられています。

地球外の生物はどんな生物なのか

生命を語るうえで、比較となるのが地球上の生命しかないため、地球外の生物がどんな生物なのか予測することは難しいものです。

それでも、物理、化学法則は地球外でも同じであり、大まかな予測は可能なはずです。

地球外の生物をどう予測できるのか

どんな姿をしているのか=形態の予測は困難ですが、どんな行動をとるか=機能は自然選択によるものであり、予測しやすくなります。

実際に地球でも別の種が環境に適応するために、似た進化をする収斂進化がよく見られています。

収斂進化が示すことは何か

収斂進化は似た課題に直面した生物は似たような解決策をとることを示しています。環境に適応する解決策は限られており、地球外の生物であっても解決策が限られているという点は変わらないものと考えられます。

地球外の生物と地球の生物に共通点はあるのか

地球外の環境であっても、エネルギー、時間、空間という有限資源を得やすくなれば、子孫が残しやすくなるという点は変わりません。

また、コストと利益はトレードオフであり、ある分野の能力が向上すれば、ある分野の能力は低下することは避けられないため生物が極端な能力を身に着ける可能性は高くありません。

実際に、地球外の生物はどのような機能を持っているのか

地球外でも物理、化学法則は共通であるため、その機能が似る可能性は十分にあります。

地球外生命体を考えることで何を感じることが可能なのか

人類の唯一性がゆらいでおり、それを不安に思う人も少なくありません。しかし、そもそも、他の種が劣った人類のような存在なわけではありません。

地球外生命体を想像し、生命の複雑さ、多様さに触れることで人類や他の動物への見方も変化していくはずです。

本の要約

要約1

銀河系に想定以上の惑星が見つかったことや、測定技術の向上で多くの情報が得られたことで、生命が住めそうな惑星がみつかるなど、地球外にも生命が存在することはほぼ必然と見られています。

しかし、その生物がどんな行動をし、どんな姿をしているのかに関する情報はありません。地球外生命体を理解する障害は比較対象が地球上の生命たった一つしか存在しないためです。

それでも、地球上の物理学と化学法則は不変である地球外の惑星でも同じように働くため、地球上の様々な環境に置かれた物理的、化学的な物質の振る舞いを予測すれば、宇宙のどこかで同じ環境に置かれた物質の振る舞いを予測できるはずです。

生物学はその複雑性の高さから、普遍性はなく、厳密な予測は不可能ですが、大まかなところをつかむ事ができる可能性は充分にあります。

自然選択による進化は地球上の生物がどのように環境に適応してきたのかを明らかにするものであり、どのように適応してきたのかを知ることで、新しい世界に生息する動物たちについても推測しやすくなるはずです。

要約2

地球外の動物を想像するときには、その動物がどんな姿をしているのか=形態、どんな行動をとるのか=機能の側面から見ていきますが、形態を予測することは非常に困難です。

一方で、どんな機能を持っているかは普遍性の高い自然選択によるものであるため、環境から予測しやすいものです。

実際に、地球上で飛翔能力は昆虫や鳥やコウモリで見られますが、これらの種は類縁関係は遠いにもかかわらず、よく似た方法をとっており、このような進化を収斂進化と呼びます。

収斂進化が示すのは、似たような環境の課題に直面すると似たような解決策が重要になることが多く、実現可能な解決策は限られたものでしかないということです。

地球と大きく異なる環境では、生物の形態が地球と同じになることは期待できませんが、地球で見られるものと似た機能によって課題を解決している可能性は高いと考えられます。

地球外の環境であっても、動物の普遍的な問題は、エネルギー、空間、時間という有限の3つの資源をどのように得るかにあります。

自然選択の基本的な原則であるコストと利益のトレードオフは宇宙でも成り立つため、ある分野の能力が向上すれば、別の分野の能力は低下してしまうため、極端な能力を身に着ける可能性はそれほど高くありません。

また、進化で極端な能力を得るには、その能力がわずかに向上したことで、生存しやすくなり、子孫を残しやすくなる必要があります。進化は少しづつ起きるため、わずかな変化では生存や生殖に影響しないような能力は次世代につながりにくくなることも極端な能力を身に着けない理由となります。

要約3

宇宙と地球では環境の違いはあるため身の回りの生物と全く異なる可能性がないわけではありませんが、物理法則や化学法則は共通のため、その機能が似る可能性のほうが高いものと考えられます。

地球外であっても、固体ではなく、流体中を移動する可能性が高く、その場合は地球の形態とは異なるものの、脚の機能を持っている可能性が高くなります。

地球外の生物も地球の生物と同じく、コミュニケーションをとっていると考えられます。コミュニケーションとはある個体が有用な情報を生成し、別の個体に伝達し、それを受信者が解読することです。

音は水中で利用できないという欠点がありますが、障害物を回り込める、光ほどではないが早い、大量の情報を効率良く伝達可能といった利点があります。

光を利用した視覚では回り込みにくく、遠い場所から見にくいという欠点もあるものの、非常に早く、色による情報量の増加が可能などの利点があります。

嗅覚や電場によるコミュニケーションも考えられますが、地球ではコストの高さなどもあり、あまり普及していないため、宇宙でも同様な可能性があります。しかし、暗黒の海があるような視覚や聴覚が利用できない環境では電気によるコミュニケーションが発達する可能性もあります。

知能については地球上でも、知能とは何かという問題に答えが出ていない状況です。それでも知能の本質は問題の解決にあり生物にとってどんな環境であれ、有用なものと考えられます。

特に周囲の環境を知覚し、何が起こるか予測し、然るべき反応で問題を解決することは、地球外の惑星でも有用なものと考えられます。

捕食されにくなる、給餌しやすくなるなど個体同士の協力を可能にする集団生活を送るメリットも環境が変わっても有効と考えられます。そうであれば、集団生活に必要な社会性を持っている可能性もあります。

また、有用な情報を得て、それを伝えるコミュニケーションも大いに役立つため、地球外の環境でも身に着ける可能性は高いものと思われます。

言語はコミュニケーションの中でも効率的であるものの、地球上で人間しか利用していない点やそもそも言語をどのように見分けるのかという問題があります。

言語は単純すぎても情報不足になり、複雑すぎれば言語の解釈に不当なエネルギーがかかり、大きな脳などの器官が必要になってしまいます。地球の多くの言語が同じような複雑性を持っているため、地球外の言語も同じように複雑性から判別できる可能性があります。

要約4

私たちは人間を理性、言語、種などの面から特別で唯一の存在と考えてきました。

しかし、他の動物にも理性があることやホモサピエンスという種そのものが絶滅した人類種(ネアンデルタール人やデニソワ人)と交配していたことなどその唯一性が揺らぎ始めています。

人類が独自のものと考えているコミュニケーションや社会的な行動、知能も地球の環境の適応するために身に着けたものでしかないのかもしれません。実際に異なる文化を持っている人同士でも芸術や加須気宇の祝祭、葬儀などの行動や習慣は驚くほど似ています。

もし、他の惑星で同じような環境にあれば、同じような進化を遂げる地球外生命体が生まれる可能性はあります。

また、地球の様々な動物たちは多種多様な解決策をもって進化してきたもので、劣った人類のような存在ではありません。

地球外生命を想像したり、地球の生命の複雑さや多様性に触れることで、人類や地球の他の動物に対する見方にも変化が生じていくはずです。

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