台湾有事 日本の選択 田岡俊次 要約

本の要点

要点1

米中の対立が深まる中で、台湾を巡って、台湾有事が起こるのではという声が広がり、日本でも防衛費の増加などが話題となっています。

しかし、台湾有事で戦争が起きれば、アメリカ、中国、日本、台湾いずれにも大きな被害をもたらすため、日本も戦争を避けるために何をすべきかを考えれる必要があります。

しかし、日本では多くの人が台湾をめぐる問題やその背景、台湾や中国の思惑を理解できていません。

各国の状況や背景をきちんと理解すれば、米中の和解に尽力することが、日本にとっても得策であることが理解できます。

要点2

日本人の多くは台湾を独立国家と捉えていますが、そもそも、日中平和友好条約を結んだ際に、日本は台湾を中国の一部とする中国の立場を理解し、尊重すると定めています。

アメリカも同様の条約を結んでいます。もし、国家の一部を武力行使で、分離独立させようとすれば、国際法に違反するもので、ロシアによるウクライナ侵攻と同様の侵略行為となってしまいます。

また、中国としても産業で好調な台湾との関係性悪化、軍事力で勝ち目のないアメリカとの戦争被害、その他諸国との対外関係断絶などのリスクが大きく、戦争に乗り出す可能性は低く、現状維持を妥当と考えています。

台湾事態も今すぐ独立を望む声は少なく、現状維持を望む声が大きくなっています。

国民の多くが独立を望んでいれば、国際法に反していても、他国が協調する意義がありますが、現状ではそのような意義も見受けられません。

要点3

過去を振り返っても、アメリカは国際法や国連を軽視し、独断で攻撃を行ってきました。その結果、イラクやアフガニスタン侵攻のように自国にとっても有害無益な軍事行動となってしまった例も多くなっています。

アメリカの軍事力は中国を上回っていますが、中国が抵抗すれば長期化することは間違いありません。

当然、日本の被害も大きいため、日本にとってはアメリカと戦うのではなく、主権国家として、アメリカに助言することで、戦争させないようにするのが真の安全保障といえます。

安全保障で重要なことは、なるべく敵を作らず、戦争を避けることにあることを改めて考えることが重要です。

この本や記事で分かること

・なぜ、台湾有事が起こる可能性があるのか

・日本はどのような選択をすべきなのか

台湾は今どのような状況なのか

米中の対立が深刻化することで、台湾有事に発展するのではと話題になっていますが、多くの人は台湾を巡る動きや問題の背景、台湾や中国の人々も思惑を理解できていません。

台湾は独立国家なのか

日本は中国との条約を結ぶ際に、台湾が中国の一部であるとする中国の立場を尊重するとしています。アメリカも同様の条約を結んでおり、国家の一部を武力で分離独立させようとするのであれば、国際法違反となってしまいます。

中国はどのような考えを持っているのか

中国にとっても、台湾含む対外関係の断絶やアメリカとの戦争被害のリスクが大きく、戦争に乗り出す可能性は低いものです。

台湾の人々は独立を望んでいるのか

多くの台湾人はすぐに独立することを望まず、現状維持を望んでいます。

アメリカにとって台湾有事にどんなリスクがあるのか

軍事力では、アメリカのほうが優位ですが、もし戦争となれば長期化が予測されます。

現在でも、多額の借金を持つアメリカが長期的な戦争を起こすことになれば、ドルへの信頼が薄れ、経済的な混乱が起きる可能生もあります。

台湾有事における日本のリスクは何か

アメリカはこれまで、国際法や国連を軽視し、リスクの高い攻撃を独断で行ってきました。

しかし、イラクやアフガニスタン侵攻などは有害無益な軍事行動でした。

もしも中国とアメリカが戦争になれば、日本も経済的な混乱や武力による大きな被害がでてしまいます。

真の安全保障とは何か

真の安全保障とはなるべく敵を作らず、戦争を避けることです。

アメリカとともに戦うのではなく、アメリカに戦争させないことが重要です。

アメリカ側にも中国との関係改善の動きがあるため、メディアのあおりを受けることなく、アメリカに助言し、戦争を避けることが真の安全保障に必要なことです。

本の要約

要約1

米中の対立が深まる中で、台湾を巡って、台湾有事が起こるのではという声が広がり、日本でも防衛費の増加などが話題となっています。

しかし、多くの人は台湾をめぐる問題やその背景、台湾や中国の思惑を理解できていません。

台湾有事で戦争が起きれば、アメリカ、中国、日本、台湾のいずれにとっても、百害あって一利もないものとなるため、日本も戦争を避けるために何をすべきかを考えれる必要があります。

日本人の多くは台湾を独立国家と捉えていますが、日中平和友好条約を結んだ際に、日本は台湾を中国の一部とする中国の立場を理解し、尊重すると定めています。

アメリカも同様の条約を結んでおり、もし、国家の一部を武力行使し、分離独立させようとすれば、国際法に違反するもので、ロシアによるウクライナ侵攻と同様の侵略行為となってしまいます。

要約2

防衛費増額についても、導入が検討されている兵器が抑止力や安全保障にどれほどの効果があるのか疑わしい部分があります。

中国の名目GDPは日本の4.3倍、防衛費は4.5倍と大きな差があり、多少の増加で対抗できるものではありません。また、中国の軍備拡大が脅威だと感じるような報道も目立ちますが、中国のGDPの伸びと軍事費の伸びはほぼ同等で、特に軍備に力を入れているわけではありません。

サイバー防衛など増加額が必要な部分があるのは確実ですが、防衛予算拡大のためではなく、客観的、公正な情報提示をしなければ、信頼を得ることはできないと考えられます。

中国としても、産業での好調な台湾との関係悪化、アメリカとの戦争による被害、対外関係の断絶などのリスクがある中で戦争に乗り出す可能性は低いものです。

中国政府の法律もあくまで、台湾が独立のために蜂起すれば武力行使することもあるとしているだけで、このような法律は日本を含む多くの国が持っているものです。

中国としては、統一でも独立でもない現状維持を妥当と考えている向きが強くなっています。

台湾側でも世論調査などで今すぐ独立を望む声は少なく、現状維持を望む声が大きくなっています。国民の多くが独立を望んでいれば、国際法に反していても、他国が協調する意義がありますが、現状ではそのような意義も見受けられません。

要約3

アメリカの過剰に中国を敵視する姿勢は高度成長期、バブル期の日本経済の発展を危険視した時の日本バッシングと似た部分があります。

実際の軍事力では、中国の軍備強化は進んでいるものの、中国の国防費はアメリカの36%であり、いまだにアメリカのほう強力です。ただし、防戦には充分であり、中国本土を侵略して勝つ公算は低いと考えられています。

もし、台湾をめぐってアメリカと中国が戦争になれば、長期化が予測されます。現状でも債務国として膨大な借金を持つアメリカが長期的な戦争を起こせば、ドルへの信頼が薄れ大きな混乱が起きる可能性もあります。

要約4

過去を振り返っても、アメリカは国際法や国連を軽視し、独断で攻撃を行ってきました。

イラクやアフガニスタン侵攻などは自国にとっても、有害無益な軍事行動となっています。アメリカが中国と長期的に戦い、撤退となればアメリカに融資している日本にとっても、大きな被害となります。

また、もし台湾有事が起きれば、日本も武力による攻撃の標的になり被害が出ることとなります。また、中国への輸出や現地に進出した企業が接収される可能性もあり、経済的にも大きな打撃となります。

アメリカとともに戦うのではなく、戦争をさせないよう努力するのが真の安全保障といえます。

アメリカ側にも、国防長官から台湾海峡で紛争があれば致命的であり、紛争が迫っているわけでも、避けられないわけでもないという発言があるなど中国との関係改善に動く流れがあります。

日本ではメディアのあおりを受けて、台湾有事に備える状況になりつつあります。アメリカの決定に従うのではなく、主権国家として、アメリカ側に助言することも必要なことです。

安全保障で重要なことは、なるべく敵を作らず、戦争を避けることにあることを改めて考え、米中の和解に尽力することが日本にとっても得策です。

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