ストーリーが世界を滅ぼす ジョナサン・ゴットシャル 要約

本の概要

人間は他人の心に影響を与え、自分になびかせようとするために、常にコミュニケーションを行っています。

コミュニケーションの中でもストーリーは他人をなびかせる最強の方法であるため、人はストーリーに夢中になってしまいます。

ストーリーによる心のなびかせは共感など良い方向にも働きますが、分断と不信と憎しみの種をまくことにも優れています。

ストーリーの研究が進んだことで、一部の国家や企業は効果的なストーリーで人々の思考や行動をコントロールできないか考えています。

私たちが如何にストーリーの影響を受けやすいのかを通じて、どのようにストーリーに対抗していくべきなのかを知ることができる本になっています。

この本や記事で分かること

・なぜ、ストーリーが世界を滅ぼすのか

・ストーリーはどのように世界を滅ぼすのか

・ストーリーに対抗するにはどうすればよいか

本の要約

要約1

人間の最も特徴的な活動はコミュニケーションであり、他人の心に影響を与えることで、考え方、感じ方、行動を自分になびかせるために、これほどコミュニケーションをおこなっています。

コミュニケーションの中でも、ストーリーは他人をなびかせる最強の方法であるため、人間はストーリーに熱中し続けています。

ストーリーによる心のなびかせ良い方向にも働きますが、分断と不信と憎しみの種を蒔くことにも優れているように、ストーリーは人類にとって、恵みでもあり、災いでもあります、

ストーリーがダークサイドで利用されることは珍しいことでなく、ストーリーが人類という種を高みに引き上げたことは間違いありませんが、心を狂わせ、それぞれを異なる現実に閉じ込め社会を分断する要因にもなっています。

要約2

人類が小さい部族で暮らしていた時に部族の中にいたストーリーテラーは私たちに文化や教訓、技術などたくさんの物を与えてくれたため、ストーリーを理解し、共感することは生存に有利であったため私たちはストーリーに心が引かれ、夢中になってしまいます。

私たちはストーリーの力を過小評価しがちですが、ストーリーに対する科学的な理解が広がるにつれ、大企業、国家はストーリーを巧妙に利用し、人をなびかせています。

様々なデータから個々の特性を把握し、最適なストーリーを届けて、行動を操ったり、分断や対立をあおるような事件も多数発生しています。

私たちは理論や正しさではなく、ストーリーとして優れているかで注目すべきことかそうでないかを判断する傾向が強いため、陰謀論などにも騙されてしまいます。

要約3

私たちを引き付ける優れたストーリーの持っている基本文法は以下の二つです。

・困った問題を解決しようとしている登場人物を扱っていること

・悪に打ち勝つなど物語の奥に道徳的な要素を含んでいること

狩猟採集時代には仲間を結束させるようなことをし、仲間割れのもとになるようなことを避けることが大きな意味を持っていたため、私たちは道徳的な行いに強く惹かれるようになっています。

そのため、非道的な悪者に打ち勝つストーリーは非常に一般的なモノとなっています。

単純な悪者と対応するというストーリーは人をおおいに引き付けるため、対立はフィクションの基本要素になっています。

特に協力して、悪者を倒すというストーリーは部族や国家の団結に大いに役立ちましたが、現代では、分断を煽る要因にもなってしまっています。

ストーリーは被害者、悪者、英雄という道徳主義的な3者に還元しがちであり、世界の上に実際にはないパターンを投影してしまい、分断をあおることになっています。

要約4

自分の作り上げたストーリーに捕らわれるとそのパターンの中でしか物事を考えられないようになってしまいます。

特に現代では、研究が進み、ストーリーのダークサイドを利用する人が増えいていることを考えるとストーリーの影響を減らすことが必要です。

物語の語り方に規制をかえたり、物語から完全に毒を抜くこともまた不可能です。

ストーリーとのつながりを弱めるのではなく、物語に対抗する力を強めることが実用です。

人間にとってストーリーとは何か

 人は毎日、朝から晩まで、自分や他人がは明日言葉の奔流の中を移動しています。コミュニケーションは人間の最も特徴的な活動ともいえます。

 多くのコミュニケーションには意味がありませんが、それでも私たちは絶え間なくコミュニケーションを行っています。

 私たちがこれほどにコミュニケーションを行うのは、他人の心に影響を与えることで、考え方、感じ方、行動を自分になびかせるためのものです。

 物語、ストーリーは私たちの持つ方法の中で、他人をなびかせる唯一にして最強の方法であるため、私たちはストーリーに熱中し続けています。

 ストーリーが共感、理解、慈善、平和の促進に向けられる分には素晴らしいことですが、心をなびかせるストーリーテリングの魔力は分断と不信と憎しみの種を蒔くことにも優れています。

人間にの最も特徴的な活動はコミュニケーションであり、他人の心に影響を与えることで、考え方、感じ方、行動を自分になびかせるためにこれほどコミュニケーションをおこなっています。

コミュニケーションにおいてもストーリーは他人をなびかせる最強の方法であるため、人間はストーリーに熱中し続けます。

ストーリーによる心のなびかせ良い方向にも働きますが、分断と不信と憎しみの種を蒔くことにも優れています。

ストーリーの持つ本質的な特徴は何か

 物語のにかかわる脳の研究結果には不穏なものが含まれています。

 語り手は私たちのに魔法をかけて、心の中に入り込み、物の感じ方を変え、考え方を変えており、その結果、お金の使い方、投票先、関心の対象をも変えています。

 このようなにストーリーの人をなびかせる力はダークサイドにも利用されています。

 ストーリーには向社会的な行動を促す道徳的な要素を含みますが、単純な悪と正義の対立は残酷な報復を求め、道徳家ぶって見せたいという本能を満足させ、つけあがらせる効果もあります。

 共感を呼ぶストーリーは偏見を克服する最高の道具である反面、偏見を作り上げ、記号化し、伝えていく方法にもなります。

 ストーリーは人類にとって、恵みでもあり、災いでもありました。ストーリーが人類という種を高みに引き上げましたが、現在では、心を狂わせ、それぞれを異なる現実に閉じ込め社会を分断する要因にもなっています。

ストーリーは人類にとって、恵みでもあり、災いでもあります、

共感を呼ぶストーリーが偏見を克服する最高の道具である反面、偏見を作り上げ、記号化し、伝えていく方法にもなるようにストーリーがダークサイドで利用されることは珍しいことではありません。

ストーリーが人類という種を高みに引き上げたことは間違いありませんが、心を狂わせ、それぞれを異なる現実に閉じ込め社会を分断する要因にもなっています。

なぜ、我々はストーリーに心を惹かれるのか

 私たちがストーリーの世界に費やしている時間は想像以上に多いものです。

 ストーリーが私たちの心はストーリーに適するように進化しているため、心はストーリーによって形成されています。

 古代の時代、人類は小さい部族で暮らしてきました。部族の中にいたストーリーテラーは私たちに文化や教訓、技術などたくさんの物を与えてくれました。

 ストーリーを理解し、共感できることは生存に有利であったため、優れたストーリーに触れると集中し、ついつい多くの時間を費やしてしまいます。

人類が小さい部族で暮らしていた時に部族の中にいたストーリーテラーは私たちに文化や教訓、技術などたくさんの物を与えてくれたため、ストーリーを理解し、共感することは生存に有利でした。

そのため優れたストーリーに触れるとそれに心を惹かれてまうようにできています。

現代のストーリー問題は何か

 物語に強い力があることはプラトンの時代から指摘されてきました。プラトンはストーリーを語る詩人を社会から追放することを望んでいました。

 プラトンの対策は、お粗末なものでしたが、彼は自覚していた以上に問題を正しく理解していました。

 私たちはストーリーの持つ力を過小評価しがちですが、人間の生活において、ストーリーの支配権は広がり続けています。

 ストーリーに対する科学的な理解が広がり、大企業はストーリーテリングを説得の道具に活用し、大国や新興国もストーリーを巧妙に用いています。

 ストーリーは強い感情を生み出すため、大きな力を持つものです。それゆえに人をなびかせる他の道具よりも懸念すべきものとなります。

私たちはストーリーの持つ力を過小評価しがちですが、ストーリーに対する科学的な理解が広がるにつれ、大企業、国家はストーリーを巧妙に利用し、人をなびかせています。

ストーリーは私たちにどんな影響を与えるのか

 優れたストーリーは私たちの心の中に概念を産み付け、考えに影響を及ぼしますが、その概念があたかも最初から私たちの物であったかのように感じさせます。

 ストーリーが私たちにどんな影響を与えるのかの研究が進んでいます。

 不治の病と悲嘆にくれる父親の実話を脚色して、病気の子供たちを対象とする慈善団体への寄付を呼びかける実験では、寄付する確率を80%もの確率で予測しています。

 個々の反応を高い確率で予測できれば、ストーリーの効果を大きくするようにオーダーメイドすることも容易になります。

 実際に、ロシアのIRAという企業が作成したフェイクブック上のグループへの賛同者がアメリカでイスラム教センターを襲う事件が起きています。

 様々なデータから個々の特性を把握し、最適なストーリーを届けて、行動を操ったり、分断や対立をあおることでアメリカの弱体化を図るロシアの思惑通りの事件になっています。

研究が進んだことで、個々の人にどのようなストーリーが最適かを理解することができるようになっています。

様々なデータから個々の特性を把握し、最適なストーリーを届けて、行動を操ったり、分断や対立をあおるような事件が多数発生しています。

ストーリーを語るものにはどんなものがあるのか

 ストーリーテリングで強い力を持つ代表が宗教です。特にキリスト教はほかの宗教と比較しても、力の強いストーリーで構成されていたため、人々に広がりやすかったため、現在まで広く普及してきました。

 陰謀論も気持ちを浮き立たせるストーリーが私たちの心の機能を奪う典型例です。事実よりも創造力を刺激し、魅力で胸躍らせるようものは私たちに大きく影響します。

 陰謀を含む物語は、悪の存在を主張していることと感情を強く揺さぶるため、エビデンスなどで陰謀論が否定されても考えを捨てることはありません。

 私たちのDNAにはストーリーに対する強いバイアスがあり、ストーリーに着目するかは理性や論路ではなく、物語としてよくできているかどうかで決まります。特にネガティブな出来事のほうがより関心を引きやすいために陰謀は特に引き込まれやすいものになっています。

 地球温暖化対策や核兵器廃絶などを広げるのが難しいのは、感情を活性化させないこと、明確な悪がいないことなども要因になっています。

宗教や陰謀論は強い力を持つストーリーの代表的なモノです。

私たちはストーリーに対し、強いバイアスがあり、ストーリーに着目するかを決めているのは、理性や論路ではなく、物語としてよくできているかどうかで決まります。

地球温暖化対策や核兵器廃絶などを広げるのが難しいのは、感情を活性化させないこと、明確な悪がいないことなども要因になっています。

どのようなストーリーが人を強く引き付けるのか

 成功するストーリーの特徴、基本原則は古代から現代まで全く変わっていません。

 ストーリーテリングの基本文法の一つは、困った問題を解決しようとしている登場人物を扱っていること、もう一つが物語の奥に道徳的な要素を含んでいることです。

 多くの物語は事態が悪化の一途をたどった後末に、最後の瞬間に好転しています。またそこで悪に打ち勝つなどの道徳的要素を含んでいることがほとんどです。

 勧善懲悪の度合いが高いほど、視聴率が高いというデータは複数の研究からも明らかになっています。

 狩猟採集時代には仲間を結束させるようなことをし、仲間割れのもとになるようなことを避けることが大きな意味を持っていたため、私たちは道徳的な行いに強く惹かれるようになっています。

 非道徳的な悪者によって、社会秩序がおびやかされ、主人公とその仲間が結束し、反撃し、向社会的価値観を再確認するストーリーはとても一般的なものになっています。

ストーリーテリングの基本文法は以下の二つです。

・困った問題を解決しようとしている登場人物を扱っていること

・悪に打ち勝つなど物語の奥に道徳的な要素を含んでいること

狩猟採集時代には仲間を結束させるようなことをし、仲間割れのもとになるようなことを避けることが大きな意味を持っていたため、私たちは道徳的な行いに強く惹かれるようになっています。

そのため、非道的な悪者に打ち勝つストーリーは非常に一般的なモノとなっています。

ストーリーの道徳性にはどのような問題があるのか

 ストーリーはいかに、人間の共同体の中での協力と結束を維持するという問題の重要な解決策でした。

 人間の言葉がストーリーを語るために進化した。特に部族のルールに誰がしたがって、誰がそうでないかというゴシップをするためとの主張があるほどです。

 ただし、ストーリーは総じて道徳的なわけではなく、道徳主義的であるだけです。ヒトラーの我が闘争は道徳的なストーリーではありませんが、向社会的な主人公が反社会的な敵役に対抗して集団をまとめるという道徳的な構造を持っています。

 ストーリーの普遍文法は偏狭的で懲罰的なものです。ストーリーは私たちに問題だらけの世界を提示し、世の中を荒らす人々を攻撃するように仕向けるものでもありますが、攻撃される側が本当に道徳的に誤っているというわけではありません。

ストーリーの道徳性は、人間の共同体の中での協力と結束を維持するという課題に非常に有効でした。

しかし、ストーリーすべてが道徳的に正しいという意味ではなく、道徳主義的、道徳主義的な構造を持っているだけに過ぎません。

ストーリーは私たちに問題だらけの世界を提示し、世の中を荒らす人々を攻撃するように仕向けるものでもありますが、攻撃する相手が本当に道徳的に誤っていることを確証するものではありません。

対立構造はなぜ、フィクションの基本であり、どのような問題があるのか

 対立はフィクションの基本要素であり、人をなびかせるストーリーに対立はつきものです。

 単純な悪者と対応するというストーリーは人をおおいに引き付けるため、特定の人や団体を悪者にすることで、実際でも悪者であるかのように感じさせることができます。

 立場や宗教、民族の違いを超えて国家らしきものに縫い合わせるためには共有する価値観とアイデンティティを強化するストーリーが必要でした。

 協力して、悪者を倒すというストーリーは部族や国家の団結に大いに役立ちましたが、分断を煽る要因にもなってしまっています。

単純な悪者と対応するというストーリーは人をおおいに引き付けるため、対立はフィクションの基本要素になっています。

協力して、悪者を倒すというストーリーは部族や国家の団結に大いに役立ちましたが、分断を煽る要因にもなってしまっています。

ストーリーの持つ他の働きは何があるのか

 ストーリーには無秩序な情報を見つけ出して、予測できる形に整理する効果もあります。この情報整理は人間に強い影響も持っています。 

 実際にただの丸や三角形などの図形や線が動いているだけの様子を見せると、多くの人が似たような、ストーリーを思い浮かべています。

 私たちは混乱に秩序を持ち込むために、ストーリーを創り出します。そのストーリーは被害者、悪者、英雄という道徳主義的な3者に還元しがちです。

 物語に触れたときも、物語の言うがままの世界観を作り上げ、世界の上に実際にはないパターンを投影してしまうことも少なくありません。

 一度投影したパターンを捨て去ることは難しく、そのパターンの中でしか物事を考えられないようになっていきます。

 トランプ大統領はこの人間の特性を上手く活かし、わかりやすい物語を示すことで支持を集めています。

混乱に秩序を持ち込むために、ストーリーを創り出し、無秩序な情報を見つけ出して、予測できる形に整理する効果もあります。

しかし、ストーリーは被害者、悪者、英雄という道徳主義的な3者に還元しがちであり、世界の上に実際にはないパターンを投影してしまうことも少なくありません。

自分の作り上げたストーリーに捕らわれるとそのパターンの中でしか物事を考えられないようになってしまいます。

ストーリーの持つ問題とどう向き合うべきか

 ストーリーがもたらす問題を解決するために、物語の語り方に規制をかけようとする手法は毛沢東時代の中国やナチス時代のドイツ、カンボジアなどで多くの悲劇を生んでいます。

 理性に基づいてストーリーとともに暮らすためにはストーリーとのつながりを弱めるのではなく、物語に対抗する力を強めることでなくてはなりません。

 フェイクニュースの拡散とそれがもたらす数々の事件からも明らかなように、事実とエビデンスの力が弱まっているなかで、社会の分裂状態からわが身を救うことは簡単なことではありません。

 人は物語なしではいきられず、物語から完全に毒を抜くこともまた不可能です。

 そのために重要になるのは科学をはじめとしあ実証主義の権威を取り戻すことです。ストーリーがヒトに与える影響についてはまだわからないことも多くあります。

 また、疑う癖を持つことも重要です。ストーリーに対するバイアスも他の自然な衝動と同じくコントロール可能なはずです。

 自分が道徳主義的な怒りに捕らわれ、他人を悪人に仕立て非人間化していると感じたときには深呼吸し、物語を別の角度から想像してみることで、冷静な判断ができます。

 ただし、ストーリーテラーやストーリーに騙されている人を憎んだり、軽蔑してしまえばま無用な対立を招くだけであり、避けるべきです。

 物語を消費し、創作する脳の在り方をコントロールすることは難しいことですが、物語を憎み、抵抗することで解決が見える可能性は充分にあります。

ストーリーとのつながりを弱めるのではなく、物語に対抗する力を強めることでなくてはなりませんが、事実とエビデンスの力が弱まっているなかで、社会の分裂状態からわが身を救うことは簡単なことではありません。

また、疑う癖を持つことも重要です。ストーリーに対するバイアスも他の自然な衝動と同じくコントロール可能なはずです。

ストーリーテラーやストーリーに騙されている人を憎んだりするのではなく、物語を憎み、抵抗することで解決が見える可能性は充分にあります。

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