不安型愛着スタイル 岡田尊指 要約

本の概要

人に気を遣いすぎる、自分が嫌われていないか過度に気になる人の根底には不安型愛着スタイルがあり、繊細で共感性に優れる一方で、搾取されやすいという特徴があります。

男性で15%、女性でも20%もの人が該当するため、その特徴を多くの人が知っておくことで良好な関係を築くことができます。

愛着の問題は子供のころ親からの世話が過剰であったり、不足した時に発生しやすくなります。また多くの場合子供のころの愛着の問題が大人になってもそのまま認められます。

人に嫌われていないかを気にしているため、自分の本当の気持ちを抑えながら無理をしてしまうことも非常に多いです。また、親が原因の場合、気づきにくい、逃れるにくいなどで問題を解決することがとても難しくなります。

問題を解決するためには問題を認識し、自覚し、問題の原因から物理的な距離をとったり、自分の状況を客観視する、自己肯定感を取り戻すことなどが重要です。

愛着の問題の解決は難しい部分もありますが、子供のころ身に着けた偽りの自分から脱皮し、本当の自分を取り戻すチャンスでもあります。

この本がおすすめの人

・不安型愛着スタイルについて知りたい人

・不安型愛着スタイルがもたらす問題を解決したい人

・周囲に依存しやすい人がいて困っている人

本の要約

不安型愛着スタイルとは何か

 人に気を遣いすぎて疲れてしまう、自分が嫌われていないか過度に気になってしまうといったことで苦しんでいる人はとても多くいます。

 このような人たちは自分評価や自己肯定感が低いことも多く、人から認められないと落ち込んだり、不安に駆られるしやすい特徴があります。

 このようなタイプの人の根底にあるのが不安型愛着スタイルで、繊細で共感性に優れ、献身的な反面依存しやすく利用や搾取されやすいという弱点を抱えています。

 男性でも15%、女性では20%の人が該当すると言われており、多くの人が理解していないと職場や家庭で良好な関係を築くことができなってしまいます。

不安型愛着スタイルとは人に気を遣いすぎる、自分が嫌われていないか過度に気になる、自己評価が低く他人に依存しやすいなどの特徴を有している人のことです。

不安型愛着スタイルに該当する人は多いため、理解することで良好な関係を築くことができるようになります。

不安型愛着スタイルの人はどのような人なのか

 不安型愛着スタイルとは愛着不安、距離が近づいたときに相手に感じる不安が強い状態です。

 相手の自分への評価が低いと、自分の存在を揺るがすような不安を覚えてしまうため、自分の評価が低くなることを恐れて、相手の顔色を窺ったり、反応に過敏になってしまいます。

 愛着不安が強い人は自己評価が低く、周囲の人をすぐに、すごいと思うことも多く、依存につながるような行為をしてしまうことも少なくありません。

 一方で、周囲の人を理想化し、裏切られると攻撃するなど両極端な感情を抱きやすいことも大きな特徴となります。

相手の評価を気にするあまり、過敏になり顔色をうかがってしまいます。一方で周囲の人を理想化し、そのイメージを裏切ると攻撃的になるなど、両極端な面をもっています。

なぜ、不安型愛着スタイルになってしまうのか

 不安型愛着スタイルの人は、普段は気が利いて、良い人なのに期待に反することが起きると、激しい怒りに駆られることもあります。

 オキトシトシンは脳内で親しみや安心感を高める働きをしています。オキトシトシンがうまく働くには受容体が必要となります。

 1歳半ごろまでに程よい世話を受けることで、オキトシトシン受容体が増えますが、世話がなかったり、与えられ方が悪いと受容体が十分でなかったり、働かなくなるようになってしまいます。

 世話が過剰などの理由で、オキトシトシン受容体が多すぎる場合、少しオキトシトシンの放出が減っただけで、大きな失望を感じてしまうことも少なくありません。

脳内で適切なオキトシトシンの放出とその受容体量があると愛着に不安を持ちにくくなります。

1歳半ごろまでに過剰でも不足でもない世話を受けることでバランスが取れたオキトシトシンの状態になりやすいことが分かっています。

なぜ、不安型愛着スタイルは厄介なのか

 愛着の問題の怖いところは持続性にあり、1歳や2歳のころに見られた愛着タイプは7割ぐらいのケースで大人になっても認められるとされています。

 不安型愛着スタイルが生み出される要因には以下のようなものがあります。

1.愛着対象がいなくなる(親がなくなってしまう、いなくなるなど)

2.愛情を奪われる(弟や妹ができ、愛情が奪われる)

3.横暴な父親と顔色をうかがう母親という家庭環境

4.母親の顔色を窺わなくてはならない家庭(母親が情緒不安定、自己中心的)

5.いじめの経験などによるもの

不安型愛着スタイルは幼少期の様々な要因で起こること、愛着のタイプは幼少期から継続することが厄介な点となります。

不安型愛着スタイルにはどんな種類があるのか

 不安型愛着スタイルにも様々なタイプがあり、同じような不安的な環境で育っても、遺伝的な特性や気質によってその特性は変化します。特性には下記のようなものがあります。

1.依存症タイプ

2.強迫性対応(他人に認められるために完璧に頑張ろうとする)

3.回避性タイプ(本当は親密になりたいが、失敗を恐れ、親密になることを避ける)

4.境界性タイプ(愛されたい気持ちとどうせ愛されないという気持ちがせめぎあい、2面性を持つ)

5.自己愛性タイプ(子供のころ満たされなかった幼い自己顕示欲が残っている)

不安型愛着スタイルんには様々なタイプがあり、タイプによってもその特性も変化します。

不安型愛着スタイルの人とどのように付き合うべきか

 不安型愛着スタイルの人は男性でも15%、女性では20%の人が該当すると言われており、職場や家庭にも多く存在するため、うまくやっていくためにそのサポート法を知っておくことが必要となります。

 第3者としてかかわる場合は、相手の好意に甘えすぎないように依存と献身のバランスをとることが重要です。不安型愛着スタイルの人は人に良く思われたいため、こちらの要望などに無理をして答える傾向にあります。

 あまり無理をさせたり、態度を変えたりすると急激的に攻撃的な態度をとることも少なくありません。

 家族など近しい人の場合は、安全な場所を用意し、そこに逃げ込めるようにしておくことが大事です。他人に無理に好かれようとすると必ず限界が来るので、その時に逃げる場所があれば、爆発することを防ぐことができます。

不安型愛着スタイルの人は人に嫌われていないかを気にして、こちらの要求に無理をして答えたり、依存することが多く見られます。

依存や献身しすぎないようにバランスをとることが重要です。

不安型愛着スタイルはどのように解消すべきか

 問題を克服するためには正しく、問題を認識、自覚することが重要です。

 不安型愛着スタイルの人は自分の本当の気持ちを抑えながら生きてきたため、無理をした時の身体の不調などをごまかしてしまうことを少なくありません。

 特に親による愛着が不安型愛着スタイルをもたらしている人はなかなか、原因が親であることに気づきにくく、逃れにくいという状況にあります。

 物理的な距離をとったり、自分の状況を客観視することが重要です。

 自分の状況を客観視するためには自分の気持ちを文章にしたり、第3者に話すなどが有効です。

 以下の二つを意識すると自分の陥っている状況がどのようなものかわかり、すんなり脱出できるようになります。

・事実と自分の推測を切り分ける

・自分の問題と相手の問題を区別し、問題の中でどうしようもない不可抗力の問題を区別すること

 物事を客観視できることができるようになると、相手との関係性を見直したり、問題のある人から離れる思い込みから逃れるなどの行動をとりやすくなります。

 また、自分の強みや優れた点を把握することも自己肯定感を取り戻し、不安型愛着スタイルを克服することを可能にします。

 仕事や社会的役割によって自己肯定感を取り戻すことも克服するために非常に有効な方法となります。

まずは、不安型愛着スタイルであることを認め、認識することが重要です。解決策としては

・不安を感じる人から距離をとる

・自分の状況を客観視する

・自己肯定感を取り戻す

ことなどが有効です。

愛着スタイルの問題を改善する方法にはどんなものがあるのか

 愛着スタイルの問題を改善する心理社会的なアプローチは大きく分けて3つの方法があります。

1.客観的な視点や共感的な視点を培っていく

2.身体的なアプローチから心技体を整えていく

3.生活や行動からバランスの良いリズムや安定、自己効力感を取り戻していく

 愛着スタイルの問題はありのままの自分を愛してもらえなかった時代に、身に着けざるを得なかった偽りの自分から脱皮して本来の自分を取り戻すチャンスでもあります。

 いったん問題を自覚し、回復のプロセスが始まると徐々に落ち着いてきます。完璧にこだわらず少しづつ改善していくことで愛着スタイルの問題から抜け出すことが可能になります。

愛着スタイルの問題を改善するには以下のような方法が有効です。

1.客観的な視点や共感的な視点を培っていく

2.身体的なアプローチから心技体を整えていく

3.生活や行動からバランスの良いリズムや安定、自己効力感を取り戻していく

不安型愛着スタイルからの脱却は本当の自分を取り戻すためのチャンスでもあるといえます。

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