本の概要
日本では、技術の進歩がもたらす経済的なインパクトが経済界に伝わりにくくなっていますが、海外での産先端の技術動向やそれがもたらす、経済的な変化を知ることの重要性は増しています。
テクノロジーの先端を知ることで、技術そのものだけでなく、国家間の対立構造やその先の潮流まで様々なことも知ることを可能にします。
また、海外の最先端で起きていることは、時間をかけて日本にも浸透するため、最先端を知っておくことはビジネス上でも大きなメリットがあります。
日本経済の発展のためにも欠かせない、テクノロジーをどのように捉えるべきなのかを知ることができる本になっています。
この本がおすすめの人
・技術の進歩をどうビジネスに取り込むか知りたい人
・ビックテックの状況を知りたい人
本の要約
日本では、技術の進歩がもたらす経済的なインパクトが経済界に伝わりにくくなっています。
特に経営陣にはテクノロジーの理解を英語や財務と同じように必須なものと捉えることが必要になっています。
進歩した技術をどうビジネスに取り込むかが重要ですが、最先端の研究は日本で行われていないため、日本語の情報では知ることができない可能性も高くなっているため、常に海外の情報を取り入れようとする姿勢を持っておくことが重要です。
海外に情報を入れるには、ネット経由の情報だけでなく、見本市などを直接、経営層が訪れることも有効です。
最先端の技術だけでなく、国家間の対立構造やその先の潮流を学ぶこともできます。
また、ビックテックの動向からも多くのことを学ぶことができます。
GAFAのfacebookの不調やTwitterの買収などビックテックの中でも差が出てています。不調の原因を考えていくと、自社固有のテクノロジーが弱い部分であることが考えられます。
自社固有で差別化できるテクノロジーがあるのかどうかが今後の企業を左右することがわかってきます。
好調なビックテックの異分野への進出が進んでいるため、自社の分野に進出してきたときに、どう差別化するかを考えておかなければ、対応できなくってしまいます。
特に、アメリカ市場で成功したサービスを輸出することも多いため、アメリカの動向をチェックし、どのような分野に進出するのか見ておくことも重要になります。
ビジネスの視点からテクノロジーを考える時には、技術の進歩がどの既存の体験を置き換えるものなのかという視点が必要です。
メタバースやWeb3.0などの大きなビジョンではなく、分解し、実際に何が置き換えられるものか考えるべきです。
日本経済復活のためには、産業の新陳代謝も必要です。
産業の新陳代謝にはスタートアップの台頭が欠かせませんが、規制緩和やスタートアップのエコシステムの構築が遅れてしまっています。
スタートアップは多産多死の世界ですが、チャレンジしなければ、経済的には後退するしかありません。
投資を呼び込むだけではなく、スタートアップの売り上げが健全に成長し、既存の大企業以上になるためには、起業家精神を持つ人を増やし、それを助ける仕組み作りが必要になっています。
テクノロジーをどのようにとらえるべきか
日本では以下のような理由で技術的な変化や進歩がもたらす経済的なインパクトが経済界に伝わりにくくなっています。
1.情報の発信源がほとんど海外である
2.現地スタッフの経験が技術、ビジネス、行政のどれかに偏っており、先を見通せない
3.変化のスピードが加速度的に変化している
経営陣が技術の進歩がどのように経済に影響を与えるのかを正しく判断することは、ビジネスで大きな意味を持ちます。
そのためにもテクノロジーを専門家に任せるのではなく、財務や英語と同じようにビジネスに必須なもの捉えることの重要性は増しています。
経営陣が技術の進歩が経済にどのように影響するかを正しく判断することはビジネスで大きな意味がありますが、日本では技術の進歩がもたらす経済的なインパクトが伝わりにくくなっています。
企業はテクノロジーをどう扱っていくべきなのか
ChatGPTは会話形式でやり取りが可能な技術であり、その精度の高さから大きな話題になっています。
ChatGPTは検索の在り方を変える可能性を秘めており、情報収集の負担を大きく軽減することができます。マイクロソフトは検索分野で有利な地位にあるGoogleへの対抗も含め、ChatGPTの開発元に1兆円もの投資を行っています。
ほかにも画像生成AIなどの技術も大きく進化しており、自社で利用したり、ビジネスに取り込めないかを考えることも重要です。
ただし、この分野の最先端の研究はアメリカやイギリス、ドイツで行われているため、日本語の情報だけでは誤った判断をして今う可能性が高いのが現状です。
ChatGPや画像生成AIなど進歩技術をどうビジネスに取り込むか考えることべきす。
ただし、日本語の情報では最先端の研究内容を知ることができない可能性が高くなります。
新しいテクノロジーを知るための手段は何か
2022年、スペインのバルセロナで世界的なモバイルテクノロジーの見本市であるMWCが開催されました。
ウクライナ情勢が示すように、テクノロジーは経済、政治、金融の隅々まで根を張っています。
グローバルなテクノロジーの見本市は国家間の対立構造やその先の潮流を浮き彫りにするため、テクノロジーの地政学を学ぶ機会にもなっています。
中国が何を見本市でアピールしていくかは今後の米中の対立や世界に波及していくのかなどを考えるうえで重要な情報になります。
一方でアメリカでの日本のテクノロジー企業の存在感は乏しい状況であり、安全保障の観点からも、日本がテクノロジーへの投資や基盤整備を進めていく必要があります。
見本市は最先端の技術だけでなく、国家間の対立構造やその先の潮流も浮き彫りにします。
Twitterの買収騒動はどう捉えられるのか
Twitter社の収益は設立17年でも収穫期に入っておらず、ユーザーの伸びFacebookの10分の1と鈍化していました。この状況を見て、イーロンマスクがTwitterの買収を行っています。
イーロンマスクによるTwitterの買収は日本でも大きな話題となりました。イーロンマスクの考え方や言動には疑問もありますが、買収した企業のバランスシートや人員をきれいして転売するようなファンドが多い中、自身でも買収を行いサービスを立て直そうとする姿勢を持つ人材は極めてまれです。
また、自社のサービスやプロダクトがコアなファンが、買収して、自分で改善したい良いと思わせるほどの熱狂を持っているのかという視点を持つことも必要かもしれません。
イーロンマスクの言動には疑問もありますが、自分で買収し、サービスを立て直そうとする人材は稀です。自社にそれほどの熱狂をもつファンがいるかという視点も重要です。
ビックテックの状況から何を見るべきか
Twitter同様、メタ(facebook)もレイオフを行うなど苦戦しています。
Googleの検索エンジン、Amazonのクラウドなどと違い、自社固有のテクノロジーの弱い点やメタバースへの転換がうまくいっていないが撤退できないなどの理由からメタの苦戦の要因といえます。
appleはiPhoneを利用した金融サービスへの取り組み、Amazonは料理の宅配や映画製作会社の買収など異分野への進出が進んでいます。
アメリカで成功したサービスを海外に展開するため、アメリカでの動向を確認し、どのような分野に進出するのか、自社と同じ分野であれば、どうやって差別化するのかを考えておくことが重要です。
ビックテックは様々な異分野への進出が続ています。自社と同じ分野に進出してきたときにどうやって差別化していくのかを考えることが大事です。
テクノロジーをビジネスに生かすために必要な視点は何か
日本でもメタバースなどの言葉がバズワードとなっていますが、本質的な技術への理解がなされておらず、ビジネスや実務に役立つ形での議論ができていない場面が多く見られます。
ビジネスで新しい技術を考えるときには技術の進歩がどの既存の体験を置き換えるものなのかという視点が重要です。
映像の普及で、劇場が置き換えられたときに映画に取り組んだ会社は大きな収益を上げることができました。
メタバースやweb3.0のような漠然とした大きなビジョンに踊らされるのでなく、大きなビジョンを構築しているものが何かを分解し、グローバルな視点で捉え直し、自社が優位を保てる部分や置き換えられてしまう境域がどのなのかを把握しておくことが重要です。
ビジネスで新しい技術を考えるときには技術の進歩がどの既存の体験を置き換えるものなのかという視点が重要です。
大きなビジョンではなく、分解して捉えることが重要です。
日本のスタートアップの状況はどんな状態なのか
日本は規制緩和やスタートアップ企業のエコシステムの構築が遅れており、2021年のエコシステム整備のランキングでは東京が前回の9位から12位に後退しています。
今、日本が参考にすべきなのがフランスのやり方です。フランスも2010年代半ばまでは、保守的でリスクを回避する傾向が強く起業する人の数も他国よりも少ない状況でした。
マクロン大統領などの取り組みで国を挙げた起業家の支援やオープンイノベーションを推進し、結果が出始めています。
スタートアップは多産多死の世界ですが、チャレンジしなければ経済的には後退するしかありません。
多くの人が起業家精神をもつこと、それを助ける仕組み作りが重要になってきます。
規制緩和やエコシステムの構築の遅れからスタートアップ支援が進んでいません。
スタートアップは多産多死ですが、チャレンジしなければ経済的には後退するしかありません。
日本経済に求められれていることは何か
日本経済は停滞し、多くの国に給与で追い抜かれる状況が続いています。
現状維持の傾向が強く、学ぶ傾向が少ないことなどが、大きな要因として挙げられています。
アメリカ経済をけん引する時価総額ランキングの上位の多くは、スタートアップが占めており、産業の新陳代謝が進んでいます。
日本の政府もスタートアップへの支援を強化してる方向ですが、投資額だけに着目するのではなく、スタートアップの売上が健全に成長し、日本でも既存の大企業以上になることが求められます。
スタートアップの売上が健全に成長し、産業の新陳代謝が進むことが日本経済に必要なこととなります。
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