体質は3年で変わる 中尾光善 要約

本の概要

体質と聞くと遺伝の要素が強く、後天的に変えることができないもの、生まれ持ったものというイメージを持つ人も多いと思います。

しかし最新の研究とテクノロジーによって、体質は遺伝だけでなく多様な環境との相互作用によって決まるものであり、体質に関わる遺伝子は環境の影響を受けやすいことが分かってきています。

特に遺伝子の配列は変えずに、その働きをコントロールするエピジェネティクス変異には大きな注目が集まっています。

体質とは何かを知り、どのような仕組みで決まるのかを知ることで、体質の改善、病気の予防や生活の質の向上に結びつき、より良い人生を支えてくれる可能性があります。

この本や記事で分かること

・体質とは何か

・体質はどのように決まるのか

・体質を改善するために有効なことは何か

・食事での健康について書かれた「健康寿命をのばす食べ物の科学」の要素はこちら

本の要約

要約1

人によって、太りやすい人と食べても太らない人、お酒に強い人と弱い人がいるなど、人それぞれで異なる特徴は日常でも多く見られ、この特徴は体質と呼ばれています。

体質は遺伝ですべてが決定し、一生変わらないと考えてしまいがちですが、近年の研究で、体質が遺伝だけでなく、環境によって変化することが分かっています。

例えば、単一の遺伝子疾患や血液型などは遺伝的要因が非常に高くなります。一方で、生活習慣病やがん、身長や体重、運動能力などは環境、遺伝両方の影響を受けることが分かっています。

体質の正体を知り、改善を行うことで、病気の予防や生活の質の向上に結びつき、より良い人生を支えてくれる可能性があります。

要約2

一塩基多型や複数の遺伝子≒ポリジーンなど自身の持つ遺伝子配列そのものが体質の違いを生じさせているものもありますが、環境の影響によっても体質は変化します。

体質に影響する環境要因には社会的、経済的、地理的、生活習慣などが挙げられます。

これらの要因はDNAの塩基配列を変化させずに、修飾と呼ばれる機能で遺伝子の働きを変化させることが分かっています。

配列変化を伴わない遺伝子の変化をエピジェネティクス変異と呼び、体質に大きな影響を与えることが分かっています。

社会的、経済的、地理的、生活習慣がエピジェネティクス変異を誘発し、体質を変えることが分かり始めています。

要約3

生まれつきの一塩基多型に由来する遺伝子を変えることはできませんが、エピゲノムによって遺伝子の働きを変えることはできます。

また、細胞には寿命があり、3年を目安にして多くの細胞が入れ替わりを起こします。

そのため3年で環境を変え、遺伝子の働きを変えることで体質を変えることが可能になります。

実際に3年あれば免疫療法によるアレルギー体質の改善などが可能になります。

要約4

次世代シークエンサーとよばれる遺伝子配列解析技術によって膨大な遺伝子配列の解析が可能になったことで病気の原因遺伝子の特定や人の遺伝子検査を行うことも一般的になっています。

遺伝子検査ではどういった病気にかかりやすいかなどを予測することができますが、すべての遺伝的素因を説明できるわけでなく、仮に病気にかかりやすいような変化がみられても、必ず発症するわけでないことを理解しておくことも重要です。

エピゲノムの修飾は主にミトコンドリアで作られる代謝物によるもので行われます。

そのためミトコンドリアを活性化することが体質の改善には有効です。

運動、寒さによる体温上昇、空腹などで蓄えたエネルギーを消費することで、身体全体の新陳代謝を改善し、体質を変えるうえでプラスに働きます。

健康な状態を長く保つためにも、自分の体質を理解し、可能な努力をすることが大切になっていきます。

人による特徴の違いは何で生まれるのか

 人によって、太りやすい人と食べても太らない人、お酒に強い人と弱い人がいるなど、人それぞれで異なる特徴は日常でも多く見られます。

 このような特徴は体質の違いとして捉えられることが多く見られます。

 体質は遺伝によって決まるもので、一生変わることはないとあきらめてしまいがちですが、近年の研究で、体質は遺伝だけでなく、環境の影響を受けることが分かっています。

 体質の正体は何なのかを知り、体質改善を行うことで、病気の予防や生活の質の向上につなげることがきれば、より良い人生を支えてくれる可能性があります。 

特徴は体質の違いとして捉えられることが多く、体質は遺伝によってきまると思いがちです。

しかし、近年の研究で、体質は遺伝だけでなく、環境によって変えることができることがわかっています。

体質とはなにか

 体質とは、体型などの形質、精神的気質、生まれ持った能力や得手不得手を示す素質を総合したものとされています。

 体質は遺伝的要因と環境的要因によって決定されます。

 体質の種類によっても遺伝的要因と環境的な要因がどの程度関連しているのかは異なります。

 単一の遺伝子疾患や血液型などは遺伝的要因が非常に高くなります。一方で、生活習慣病やがん、身長や体重、運動能力などは環境、遺伝両方の影響を受けることが分かっています。

体質とは、体型などの形質、精神的気質、生まれ持った能力や得手不得手を示す素質を総合したものであり、遺伝的要因と環境的要因によって決定されます。

体質の種類によって遺伝的要因と環境的な要因がどの程度関連しているのかは異なります。

体質に影響する環境要因には何があるのか

 環境的要因には、社会的、経済的、地理的、生活習慣などが考えられます。

 近年の研究でこれらの環境的要因がDNAの塩基配列を変化させず、遺伝子の働きを強めたり、弱めたりしていることが遺伝子の発現をコントロールしていることが明らかになっています。

 DNAの塩基配列を変化させずに、修飾と呼ばれる機能で遺伝子の働きを変化させることはエピジェネティクス変異と呼ばれ、個々の体質の違いに大きな影響を与えています。

 一卵性双生児でも成長につれ、外見、内面に変化がみられるのも、エピジェネティクスによるものです。

体質に影響する環境要因には社会的、経済的、地理的、生活習慣などが挙げられます。

これらの環境要因が遺伝子の働きを強めたり、遺伝子の発現をコントロールすることで体質が変化していることが明らかになっています。

どのような遺伝的要素が体質を決めるのか

 体質を決める遺伝的要素には以下のようなものがあります。

一塩基多型(SNP)

 同じ生物種でもDNAの塩基配列にはわずかな違いがあります。1%以上の頻度で見られる違いを多型、1%以内の頻度のものを変異と呼びます。

 多型の中でもたった一つの塩基対が別の塩基対に置き換わったものを一塩基多型、SNPと呼びます。

 人のSNPはおよそ300万個ほどあり、このSNPが体質の違いを生じさせている可能性があります。

 血液型、毛髪の色や質、特定の病気へのかかり方などがSNPに関連することが分かっています。

ポリジーン遺伝

 SNPとは違い複数の遺伝子で特徴が決まるものをポリジーンと呼びます。

 身長は遺伝の要素が強い体質ですが、単一ではなく、20種類ほどの遺伝子から決定させると考えられています。

エピゲノム

 DNAの配列変化を伴わずに、環境的な要因で遺伝子の機能が変化することをエピジェネティクスと呼びます。

 エピジェネティクスにおいて、後天的に化学的な変化=修飾が加えられたゲノムをエピゲノムと呼びます。

 遺伝子のどの部分をONにし、どの部分をOFFにするのかを消えるのがエピゲノムであり、DNAをメチル化することで遺伝子の働きを抑えたり、DNAに巻き付くヒストンに科学的変化を加えることで遺伝子の発現をコントロールしています。

 これらの化学的修飾に利用される修飾基は食事で体内に取り入れられた栄養分を材料に作られています。

非コードRNA

 DNAがRNAに転写され、RNAを翻訳することで、たんぱく質が合成されることで生物は様々な機能を発揮しています。

 ヒトの全ゲノムの中でタンパク質に翻訳されている部分はわずか5%であり、そのほかの95%はタンパク質に翻訳されない非コード領域と呼ばれます。

 近年の研究で、非コード領域も遺伝子の発現をコントロールしたり、RNAの翻訳をコントロールするなど重要な役割を果たしていることが明らかになっています。

複合的で未知なしくみの可能性

 ミトコンドリアDNAの変異、細胞間の情報伝達ツールであるエクソソーム、腸内細菌、代謝機能の変化なども体質の変化、違いに大きく影響しています。

 環境的な要因にさらされることで、生命体は適応するように遺伝子の使い方を変えていくため、体質には生まれつきのモノだけでなく、エピゲノムが大きな影響を持っています。

遺伝子の配列によるものだけでなく、環境要因によって遺伝子の機能が変化することでも体質が決定されます。

遺伝子の機能の変化は化学的な修飾で起き、修飾基は食事で体内に取り入れられた栄養分を材料に作られています。

なぜ、体質は3年で変わるのか

 生まれつきの一塩基多型に由来する遺伝子を変えることはできませんが、エピゲノムによって遺伝子の働きを変えることはできます。

 細胞には寿命があり、3年を目安に多くの細胞が入れ替わります。そのため体質の変化は3年で起こすことができると考えられます。

 実際に3年ほどの期間で変えることのできる体質として、以下のようなものがあります。

・免疫療法によるアレルギー体質

・運動や食生活の改善による乱れた生活習慣の改善

細胞には寿命があり、3年を目安に多くの細胞が入れ替わるため、環境を変え、遺伝子の機能を変えることで体質を3年で変えることができます。

遺伝子検査とはどう向き合うべきか

 私たちの体質は遺伝的素因のみならず、様々な環境的要因との相互作用によって決められます。

 次世代シークエンサーとよばれる遺伝子配列解析技術によって膨大な遺伝子配列の解析が可能になったことで病気の原因遺伝子の特定や人の遺伝子検査を行うことも一般的になっています。

 遺伝子検査ではどういった病気にかかりやすいかなどを予測することができますが、すべての遺伝的素因を説明できるわけでなく、変化がみられても、必ず発症するわけでないことを理解しておくことも重要です。

 今後も、健康科学と体質医学の研究は新しいテクノジーとともにさらに発展していきます。

遺伝子検査ではどういった病気にかかりやすいかなどを予測することができますが、すべての遺伝的素因を説明できるわけではないことを理解すべきです。

今後も、健康科学と体質医学の研究は新しいテクノジーとともにさらに発展していきますが今は発展途上といえます。

エピゲノムの修飾で体質を改善するには何が必要か

 エピゲノムの修飾は主にミトコンドリアで作られる代謝物によるもので行われるため、ミトコンドリアを活性化することが体質の改善には有効です。

 運動、寒さによる体温上昇、空腹などで蓄えたエネルギーを消費することで、身体全体の新陳代謝を改善し、体質を変えるうえでプラスに働きます。

 健康な状態を長く保つためにも、自分の体質を理解し、可能な努力をすることが大切になっていきます。

エピゲノムの修飾はミトコンドリアで作られる代謝物によるもので行われるため、ミトコンドリアを活性化することが体質の改善には有効です。

運動、寒さによる体温上昇、空腹などで蓄えたエネルギーを消費することなどが体質を変える上でプラスになります。

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