本当の時間術　望月俊考　要約

本の要点、概要

この本や記事で分かること

なぜ時間を効率的に使うことは大事なのか

　時間管理や時間をうまく活用したいと考えている人は多いと思います。

　時間管理は自分が何のために生きるのか？という人生で最も重要な質問に答えるために必要なことでもであります。

　時間管理をうまく行う事は、ただ時短をしたり、効率化するためものではありません。短時間でより多くのことを行うためではなく、本当に大切なものに時間を注ぐためのためのものです。

　本書は二つのE（エピソードとエビデンス＝学術的根拠）を重視し、どうやれば時間術が身につくのか、効率化した時間を何に使うべきかを知ることができます。

時間術を考えるうえで重要なことはなにか

　私たちの脳は緊急性と重要性の区別が苦手で、急ぐように煽られると、重要でないことでもそちらを優先してしまいます。

　しかし、重要性を改めて、考え直すと緊急性ではなく、重要性に基づいた判断ができるようになります。考え直すことで正しい判断できるという点が時間術を学ぶ意義と考えられます。

　時間術で重要となるのは以下のような考え方です。

・他人の時間の使い方を観察し、参考にする
　創造は模倣から生まれるといわれています。ほかの人のうまい時間の使い方を参考にすれば、自己流で頑張る以上の成果を上げることができます。
　
・断る勇気を持つ
　才能は徹底的な集中から生まれます。どんなに魅力的に見える依頼でも、自分の才能を発揮できなそうだったり、自分が望んでいない依頼に時間を費やしても無駄になってしまうので、断ることが必要です。

・時間を奪うのは、不安の感情　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　不安は注力を散漫にし、認知能力や論理的思考を低下させ、効率が落ち、時間がかかってしまう

・やめる戦略を持つ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 サンクコスト（すでに投入した時間やお金を無駄にしたくない気持ちから合理的でない決定を続けるこ と）を気にせず、やめる戦略（やめる基準を作っておく、やめることをサポートしてくれるコーチ）を持つ。やめる事は敗北ではなく、戦略と捉える

計画を上手く建てるために必要なことは何か

　計画を立てることで、未完成の事柄を頭の中で完成させることが可能になります。計画を立てた事がうまくいきやすくなるだけでなく、他の事をする際に、頭の切り替えができ、目の前のことに集中しやすくなります。

　
・計画をIF-THENの形で建てる　

　計画はIF（〇〇のタイミング）でTHEN(すかさず△△をする）という形にするとうまく立てやすくなります。

・期限を設け、誰に報告するか決めておく

　期限がある方が集中力が増加します。ただ、期限を決めるとぎりぎりまで先送りしやすい、仕事の量が期限に合わせて増える傾向もあるため中間ポイントを設けて確認するのが有効です。確認を他人にしてもらえば効果はより増加するため、計画段階でいつ誰に報告するか決めておくと効果的です。

　・やるべきかやめるべきか悩んだときはお金ではなく、かける時間の価値で決める

　人は時間を使う事考えると感情的な幸福度をお金を使う事を考えると価値の最大化が基準になります。やりたいことに時間を使い、幸せになれるのであれば、お金がかかっても、実行すべきです。

　・期限は最短ではなく、最適を目指す

　ヒトは　未来を過信しやすく、楽観的な予想をし、予算、時間、労力を低めに見積もりがちです。このような計画の誤謬はいたるところで見られるため、自分や状況を客観視し、最短ではなく最適を目指すべきです。
　

行動力を付けるにはどうすれば良いのか

　時間効率を上げるためには、行動力を上げることも欠かせんません。行動力を上げるには以下のようなことに着目すべきです。

・内発的動機を重視する

　お金が欲しい、モテたいなどの外部的なものではなく、成長したい、貢献したいなどの内発的動機づけのほうが幸せを感じやすくなる

・視覚情報を厳選する

　人は情報の9割を視覚に頼っているといわれるため、目に入るだけのものでも大きな効果があります。目に入るものを厳選することで、自分を望む方向に導くことができます。

・進捗の積み重ねが効果的

　日々、小さいことでも積み重ねを確認することはモチベーションがあがりやすくなります。また、積み重ねが少しでもあると続けるモチベーションを上げる役にも立ちます。

・マルチタスクではなく、1つのことを集中する

　マルチタスクは認知能力を落としてしまいます。一つのことに集中することを意識し、注意をそらさない工夫をすることで効率化と精度を上げることができます。

・マインドではなく、環境を変える

　意思の力で行動しようとしても、うまくはいきません。環境を変え、行動しやすくすることが有効です。

習慣化にはどんな方法が有効なのか

　習慣化した行動は自分の内外の状況に関係なく、意識せず実行できるため、多くの人が習慣化をしようとしています。しかし、習慣化に失敗してしまうことは珍しいことではありません。

　行動の習慣化には以下のようなことが重要です。

・習慣化出来た行動を振り返る

　なぜ、その行動を習慣化したいのか再確認し、過去習慣化出来た行動を振り返り、なぜ習慣化できたかを思い出し、参考にする。

・行動をする時間を決める

　開始と終了の時間を決めておくことで、その行動の習慣化をしやすくなります。

・ToDoリストの数を絞る

　ToDoリストが長すぎると脳の負担になり、やる気がなくなってしまいます。ToDoリストは4つを最大にすることで実行しやすくなります。

・休憩も仕事と捉える

　休憩なしでの作業や仕事は効率を落とすものです。休憩も仕事の一部と捉え、スケジュールの中に休憩を組み込んでおきます。90分ごとに10分の休憩をとる必要があります。

時間を有効に使うにはどうすれば良いのか

　時間の有効活用のためには、様々な方法があります。

・先延ばしを防ぐには、周りの空間の整理整頓が有効

　無秩序な空間が視界に入ると、認知能力が低下してしまいます。先延ばしをやめたいときはきれいな空間を維持しておけば行動を起こしやすくなります。

・他人のために時間を使う

　他人のために時間を使うと、自己効力感が高まり、自分の時間があると感じやすくなります。

・退屈を楽しむ

　何もすることがない状態を、思考や行動が自由な状態と捉えることで、贅沢な時間となる。

・幸せになるには自分へのご褒美ではなく、他者に与えることを意識すること

　誰かの幸福のために行動すると、自分も幸せになります。行動が具体的なほど効果が大きくなります。（お金を寄付するより直接何かを手伝うほうが効果が大きい）

効率化で、できた時間を何に使うべきか

　時間を大切にすることは自分のとって大切なことをさらに大切にするために不可欠です。

　今の自分があるのも、多くの人が自分のために時間をつかってくれたからこそです。様々な時間術によって持ち時間が増えたら、自分以外の誰かに時間を使うことがおすすめです。

　時間術によってできた時間が自分と自分の大切な人の人生を見つめ直すきっかけにもなります。