半導体超進化論 世界を制する技術の未来 黒田忠広 要約

本の概要

世界的に半導体に大きな注目が集まっています。

SNSなど仮想空間の利用が増えたことで、データを取り扱う量は増え、半導体の利用が大きく増えています。

今後は自動運転やVRなど仮想空間と現実の融合が進むと考えられ、半導体の重要性はますます増しています。

そんな中で、日本はこの四半世紀で大きくシェアを落としてしまいましたが、再び国を挙げて半導体の製造に取り組み始めています。

出遅れた日本が世界と戦うにはこれから来るであろう争いを予期し、先行投資することが必要です。

これからの半導体に求められるものやどうすれば日本が復活できるのかについて知ることができる本になっています。

この本や要約を読んでわかること

・半導体の未来

・半導体業界がどうすれば復活できるか

同じく半導体についての本「半導体有事」の本の要約はこちら。こちらはラピダスに否定的な内容です

本の要約

要約1

半導体市場は過去40年大きく成長してきましたが、今後も半導体の重要性は増加し、成長が続くと考えられています。

日本の半導体産業は、この四半世紀成長できませんでしたが、国を挙げて半導体産業の再生に取り組もうとしています。

大きくシェアを落とした日本が定石だけで半導体産業の再生を実現することは難しく、今後の競争を予見して、先行投資することが必要になっています。

要約2

これまでは半導体の集積度を高めることで、性能を高めてきましたが、必要な電力が増えると放熱が追い付かなくなるという問題があります。

電圧低下などの手法がとられてきましたが、すべてのトランジスタを同時に使用することができなくなっています。

電力効率を改善し、使用できるトランジスタを増やさなければ、これ以上集積度を上げても、半導体の性能を上げることができなくなっています。

要約3

今後の半導体産業で起こりうる大きな変化には以下の4つが挙げられます。

1.汎用チップから専用チップへの移行

2.サイバー空間とフィジカル空間の融合で経済発展と社会解決を目指す、市場の変化

3.逐次処理から神経回路網による並列処理への技術的なパラダイムシフト

4.微細化による性能改善から3D集積への変化

専用チップの利用、並列処理、3D集積はすべて電力効率を改善することに関わっており、この変化に対応することが今後の半導体産業で求められることになっていきます。

要約4

情報化社会ではデータが資源となり、それを運ぶ情報ネットワークを支える半導体は社会のインフラに変化していきます。

インフラに使用されるデバイスは長い期間使用するため、初めに市場に出たデバイスが多く使われるようになります。

そのため、市場にいち早く製品を提供する必要があり、半導体にもコストパフォーマンスだけでなく、タイムパフォーマンスが求められるようになっていきます。

特に専用チップの需要が増えれば、少量多品種を素早く生産することが必要となり、開発期間と費用を抑えることがより重要になっていきます。

自然界では植物が花を生み出したことで、花粉を運ぶ昆虫を呼び寄せ、互いに進化を加速させました。

半導体産業でも製造メーカー、装置、材料メーカーなど半導体産業のエコシステム内での共進化が求められています。

半導体を取り巻く環境はどんなものか

 半導体市場は平均年率9.4%の成長を40年続けており、今後物理空間と仮想空間が融合されておきるデータ駆動型社会でもその重要性は増していきます。

 日本の半導体産業はこの四半世紀の間、休眠状態で台湾、韓国、中国が急速に成長する中で日本だけが成長できませんでした。1988年に日本企業の世界シェアは50%でしたが、今では10%になっています。

 しかし、今国家を上げて半導体産業の再生に取り組もうとしています。

世界の半導体は40年にわたり高い成長を維持し、今後も続くものと思われます、

日本はこの四半世紀成長できず、シェアを落としましが、国を挙げて再生に取り組もうとしています。

日本の半導体産業復活のために必要なものはなにか

 大きくシェアを落とした日本が定石だけで取り戻すことはとても難しいため、今後の競争を予見して先行投資を行うことが必要になってきます。

 半導体産業で起こりうる大きな変化は以下の4つが挙げられます。

1.汎用チップから専用チップへの移行

2.サイバー空間とフィジカル空間の融合で経済発展と社会解決を目指す、市場の変化

3.逐次処理から神経回路網による並列処理への技術的なパラダイムシフト

4.微細化による性能改善から3D集積への変化

 これらの変化で重要となるのはエネルギー、電力効率の改善です。 

 専用チップは汎用チップよりも高価ですが、無駄を省くことでエネルギー効率を改善可能で、並列処理も逐次処理に比べ大きく効率を改善可能です。

 また、3Dに集積することでチップ同士の接続距離を短くすることができるため、エネルギー効率の改善には有効です。

遅れを取り返すにには、今後の競争を予見して、先行投資することが必要です。

今後はいかにエネルギー効率、電力効率を改善することができるかが重要になってきます。

なぜ、電力効率の改善が重要なのか

 ムーアの法則で知られるように、半導体を集積した集積回路はその集積度を高めて、チップの製造コストを安くしつつ、性能を高めてきました。

 しかし、集積度が増加し、必要な電力が増えると放熱が追いつかなくなるという問題が発生しました。

 電圧の低下などの手法がとられてきましたが、現在ではすべてのトランジスタを同時に使用することができなくなってきています。

 そのため、電力効率の改善をすることが性能の改善に直結するようになっています。

半導体の集積度を上げることで、性能を向上させてきましたが、集積度が高まり放熱が追い付かなくなると、すべてのトランジスタを同時に使用することができなくなってしまいました。

そのため、電力効率の改善をすることが性能の改善に直結するようになっています。

今後必要な半導体の性能はなにか

 デバイスの小型化を進めることで、演算回路の負荷容量は小さくなりますが、通信距離が変わらなければ消費エネルギーの低減はできません。

 演算よりもデータの移動のほうがはるかに大きなエネルギーを消費するため、チップ間の距離を短くする3D集積が検討されています。

 チップの厚みは幅やに比べて、小さいため、縦方向の通信距離は横方向の比べて、短くて済むようになります。

半導体を立てに積む3D集積で通信距離を短くし、効率化することが必要になってきます。

半導体業界はどう変化していくのか

 半導体業界では、これまでコストパフォーマンスが重視されてきましたが、今後はタイムパフォーマンスの重要度が増していきます。

 これまで資源を運ぶ道路や空港、鉄道などが社会のインフラでしたが、情報化社会ではデータが資源であり、それを運ぶ情報ネットワークが社会のインフラとなり、情報ネットワークを支える半導体も社会のインフラへと変化していきます。

 通信機器などの産業品はテレビやスマホと違い、10年などの長い期間で使用するため、先に市場に出たデバイスが多く使われるようになるため、半導体にもタイムパフォーマンスが求められるようになっていきます。

 専用チップの需要が増えれば、少量多品種を素早く生産することが、必要です。開発期間と費用を大幅を1/10にできれば、専用チップが大きく広がるはずです。

 AI社会では試行回数こそが重要になります。アジャイル開発で時間をかけた100点でなく、素早く80点をとる姿勢が必要になっていきます。

情報化社会ではデータが資源となり、それを運ぶ情報ネットワークを支える半導体は社会のインフラに変化していきます。

専用チップの需要が増えるため、開発期間と費用を抑えることが求められるようになっていきます。

これからの産業、社会はどう変わるのか

物理空間と仮想空間の融合は今後、下記のような技術の発展をもたらし、産業、社会を大きく変化させます。

・自動運転

・スマート工場

・ロボティクス

 半導体はこれらすべてにおいて、重要な核となっていきます。

 日本は少子高齢化をどこよりも早く迎えることもあり、これらの人手不足を解消する可能性のある技術の恩恵を受けやす状況にあるといえます。

今後の産業は物理空間と仮想空間の融合で大きく変化します。

個の融合は人手不足解消につながる可能性もあり、少子高齢化の進む日本に恩恵の大きいものになります。

半導体産業は今後どう変化していくのか

 白亜紀に植物が花を生み出すと、これまで食べられるだけであった植物が花粉を運ぶ昆虫を呼び寄せ利用できるようになりました。

 これをきっかけに生きものたちの進化は一気に加速していきます。植物が特殊な形に進化すると、昆虫もそれに合わせ進化するなど互いが互いを進化させる共進化が起き、進化が加速しました。

 半導体業界でも製造メーカーだけでなく、装置、材料メーカーなど産業界のエコシステム内での共進化が求められています。

 半導体を超進化させる花は何なのかを探す旅が始まっています。

製造メーカーだけでなく、装置、材料メーカーなど産業界のエコシステム内全体での共進化が求められており、その手法を探す検討が進んでいます。

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