小さく分けて考える　菅原健一　要約

本の概要

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本の要約

なぜ努力が報われないのか

　努力が報われない、頑張っても評価されない、そう感じる人は考えかたを変える必要があります。

　仕事で成果を出すために必要なことが努力や労働量から頭脳労働や効率に移っていることを理解している人の努力が報われる時代へと変化しています。

　努力が報われない、悩みが多い、やりたいことはあるけど具体的に決められない人には、課題や目標、未来があいまいという共通点があります。

　あいまいなものを具体的にするには分解が必要となります。

　大きな問題を分解し、小さく分けて考えることで、本当にやるべき課題を見つけ、無駄なことをやらずに結果を出すことができるようになります。

なぜ、分解しないとうまくいかないのか

　筆者は経営者と話すことで、会社の課題を一緒に見つけ、良い解決策を見つける仕事をしている中で、うまくいくときといかないときの共通点を見つけています。

　うまくいくかどうかは正しい目的、目標にするため、目的や目標を分解しているかどうかで決まります。

　分解して、物事を具体的にしたり、明確化し、問題や課題となる要素を見つけることができれば、あとは優先順位を付け、解決していくだけになります。

　うまくいっていない人や組織は目のまえの細かいタスクに追われ、目的を見失っていることが多く、本質的な行動がとれなくななり、漠然とした目標となったり、とにかく頑張るのような解決法になってしまいます。

　分解思考を行うことで、正しい問題、課題の設定と解決のための行動をいち早く決めることができるようになります。

なぜ、分解思考が必要なのか

　分解思考は文字通り、分けて考えることで、問題を明確化することができます。

　例えば売り上げを分解すると、客単価と客数に分解できます。売り上げを上げるという目標のままでは漠然としていますが、客単価と客数どちらを上げるべきかと考えることでより具体的な対策を考えることができます。

　分析思考を行うことは、以下のようなメリットをもたらします。

・やみくもに頑張るのではなく、生産性を上げることができる

・曖昧な説明が明確、具体的になり、人にわかりやすく説明できる

・改善すべき点が具体的になることで、やるべきことのアイデアを広げることができる

・組織内で全体像を分解した共通の地図を持ち、対立を避け、目的意識を共有しやすくなる

・現状がうまくいっていない部分＝阻害要因がどこにあるかわかりやすくなる

分解はどのように行えばよいのか

　分解を行う際には6つのコツがあります。

1．掛け算を利用する

　例えば、売上＝客数×客単価と分解でき、さらに客数＝顧客の総数×アポイントがとれた率×成約率と分解できます。

　掛け算で分解することは、基準を分解しわかりやすくしたり、今までにない掛け合わせで想像しえない発想が出るなどの利点があります。

2．一つ上に戻って全体像を考える　

　売上＝客数×客単価で、客数を増やすことを考えてもうまくいかないときもあります。

　その場合は、一つ上に戻り、別の構成要素である単価を上げることを考えるとうまくいくこともあります。

　上流にさかのぼって、様々な選択肢から解決策を考えることが有効になる場合もあります。

3．細かく分けすぎない

　あくまでも効果の高い分解要素に着目することが重要です。全体から見て意味の小さいことを改善するのではなく、最も効果の大きいものに着目すべきです。

4．アイデアの抜け漏れを防ぐために、反対をとる

　分解して適切な選択肢を選ぶには枠を広げる必要があります。自分のアイデアを反対の視点から考ええることでアイデアの足りない部分を補うことができるようになります。

5．あえて大きく捉える

　社会的な価値など大きな視点から捉えることで、企業や商品、サービスの価値を捉え直すことができます。

6．自分の気持ちを分けておく

　バイアスがかかると正しい分解ができなくなります。好き嫌いや得意不得意などを考えずに、事実をベースに物事をフラットにみて分解することが重要です。

分解を行うときはどのような手順が良いのか

　実際に分解思考を行う際には、以下のような手順で進めていきます。

1．ある目的に対する問題や目標（目的を数値化したもの）を設定する

2．問題や目標を分解し、具体的にする

3．問題や目標は解決する意味のあることか考える

4．必要となる資源や条件を10個挙げてみる

5．いつまでに何をそろえれば成功になるのか、期限で分解する

　上記のように行うことで目標や問題を適切に分解し、達成しやすくなっていきます。分解し、行動した後は振り返りを行い、見直していくことが重要です。

　特に組織のリーダーには、目標を分解し、メンバーのどう行動させていくかを考える思考が不可欠になります。

個人がやりたいことを探す時にはどのような分解思考が必要なのか

　自分がやりたいことを探す時も同じような思考で、どうしてやりたいことなのかを分解していくと見つけやすくなります。

　自分の理想の人を見つけ、なぜその人が理想の人なのか分解して、どの要素を自分が理想としているのか把握することができます。

　自分が理想の状態になる必要な条件を具体的にみることができるようになれば、それを自分の中に取りこむような行動をとりやすくなります。

　必要な要素が分かれば、あとはそのために必要なスキルと条件を10個挙げ、期限で分解することで目標が具体化され、明確になります。

　やりたいことがあっても、漠然としたままでは人はできない理由ばかり探してしまいがちです。やるべきことを分解し、明確化することで、意外にできるかもと気づけることも分解思考の利点と言えます。

分解思考はどのように役立つのか

　実際のビジネスシーンでは分解思考を以下のように用いることができます。

・目的を分解し、明確化することで他部署との連携がしやすくなる

・計画を期間ごとの悲観と楽観に分けることで、思ったようにいかなくても次の策が打ちやすくなる

・効果の大小、時間のかかる、かからないでタスクを4分割することで優先順位をつけやすくなる

・ふわっとした売る対象（例えば30代男性）を具体化し、アプローチしやすくなる

・うまくいっている会社を分解することでうまくいく要因を知ることができる

・顧客が自社のサービスのどこを気に入ってくれるのかを知ることができる

・組織の問題点を具体化し、対策しやすくなる

分解思考は社会をどう変えるのか

　どんな仕事でも、生産性が重要となり、結果を求める頭脳労働が必要な時代に変化しています。

　結果を出すための思考法は難しいものも多く、MBAを取得したり、コンサルティング会社で働くことでしか得られないものでした。

　しかし、分解思考であれば、誰でも行うことができ、物事の本質をとらえることができます。

　分解思考で多くの人が結果を出すきっかけになれば、格差を止めることが可能になる可能性も秘めています。