スマホはどこまで脳を破壊するのか 榊浩平 要約

本の概要

社会のデジタル化に伴い、インターネットの使用は私たちの生活の一部になっていますが、便利さの反面、脳科学の観点からは多くの危険性が懸念されています。

認知機能、対人関係能力、精神衛生を向上させる脳科学的な教育法の開発を目指した研究を行なっている筆者の研究内容などからスマホでのオンライン習慣は脳に何をもたらしているのか、脳の発達にどう影響しているのか、どうすれば賢くオンライン習慣と付き合うことができるか知ることができる本になっています。

この本がおすすめの人

・スマホの使い過ぎで悩んでいる人

・子供へのスマホの影響を知りたい人

・デジタルデトックスの効果を知りたい人

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本の要約

要約1

インターネットを利用したオンライン習慣はその利便性で私たちの生活の一部になっています。

しかし、便利さの反面、依存症の増加、子供の脳発達への悪影響、共感性や情報制御能力の低下など脳科学研究でオンライン習慣の危険性が明らかになっています。

オンライン習慣の危険性を知り、オンライン習慣を最低限に抑えることが大事になっています。

要約2

前頭前野は脳の中でも認知能力や発話など人間らしさをもたらす部分で、コミュニケーションに必要な部分でもあります。

インターネット依存度の高い人は前頭前野の実行能力が低くなってしまっています。

小学生ではスマホ使用時間が長いほど、学力が低いだけでなく、スマホを使用していると勉強時間や睡眠時間が長くても学力が上がりにくくなっています。

スマホの使用が脳の正常な発展を妨げている可能性もあります。

要約3

コミュニケーションの質には参加者同士が脳を同期させているかどうかが重要になります。

対面でのコミュニケーションでは、脳の同期が起きにくく、コミュニケーションの質が低くなってしまいます。

情報共有などだけであれば、オンラインで問題ありませんが、重要な決定など心を通わせる必要のあることは対面で行うほうが効果的です。

要約4

インターネット依存症の影響が長期的にどのような悪影響を及ぼすかはまだわかりませんが、短期的な症状の治療をすることは可能で、心理療法や薬物療法と同じようにデジタルデトックスにも効果があります。

オンラインでなければ絶対にできないこと、決済のように楽をしても差し支えないことは残し、それ以外で脱オンラインを図っていくことが無理なくデジタルデトックスが可能になります。

オンライン習慣の広がりにはどんなデメリットがあるのか

 社会のデジタル化に伴い、インターネットの使用は私たちの生活の一部になっています。

 このようなオンライン習慣は便利な反面、脳科学研究で危険性が明かになっています。

 子供のスマホの常用は脳発達を損ない、大学生でもスマホ依存傾向があると共感性や情報制御能力が低くなることが分かっています。

 スマホの使用による学力低下は勉強時間の減少や睡眠不足によるものと考えがちですが、脳の発達というより根本的な要因であるとも考えらえます。 

 また、オンラインでのコミュニケーションの普及していますが、対面に比べ、コミュニケーションの質が低く、人々が共感しあえないことがわかっています。

 人として幸せに生きるためにはオンライン習慣を最低限に抑えることが大事になっています。

オンライン習慣は便利な反面、子供の脳発達や共感性、情報制御能力の低下などのデメリットがあることが分かっています。

脳の中でも人にとって特別な部位はどこなのか

 脳には様々な領域があり、領域ごとに機能を有しています。

 前頭前野は脳の前方にあり、他の動物に比べ、人間が大きく発達させている部分になります。発音や文法を作る機能を持つブローカー野など人間らしさをもたらしている機能が詰まっている部分になっています。

 前頭前野の役割には認知機能を司ったり、コミュニケーションを図るために必要な能力など日常生活からビジネスまで幅広く必要となる機能を担っています。

 前頭前野がは小学校高学年から20才まで少しづつゆっくり成熟していくため、10代の過ごしかたは前頭前野の発展を大きく左右しています。

前頭前野は認知機能や発音や文法などを司っており、人間らしさをもたらしています。

インターネットの利用は前頭前野にどのように影響するのか

 前頭前野を鍛えるには、脳を使うことが重要です。学習や運動が前頭前野の発達を促したりや衰えを抑える効果があることが分かっています。

 オンライン習慣の普及でインターネットの利用時間は年々増加しています。

 インターネット依存度の高い人々は前頭前野の実行機能が低く、その成績はアルコール依存症の人と変わらないレベルでした。

 インターネットの過剰利用は以下のような危険性を招くことが分かっています。

・注意力を散漫にする

・気分の落ち込みが起きやすい

・人とのかかわりが怖くなる

・イライラしやすくなる

前頭前野は脳を使うことで鍛えられますが、インターネット依存度の高い人々は前頭前野の実行機能が低く、鍛えられていないことが分かっています。

子供のスマホ利用は何をもたらすのか

 小学校高学年からスマホの保有率は高くなり、小学校高学年で7割弱、中学生で8割以上となっています。

 スマホの使用時間と学力を比べることで以下のようなことが明らかになっています。

・1時間以上使用する子の学力は低い

・使用時間が長いと睡眠時間や勉強時間を確保しても学力は上がりにくい

・使用時間を少なくすると学力は向上するが、スマホの時間を減らせる子は13%しかいない

・近くにあるだけで注意力が下がり、勉強の効果が小さくなる

 スマホの使用は脳の正常な発展を妨げ、利用時間が多い場合、脳の発達を止めてしまうほどの悪影響がある場合もあります。

スマホの使用が学力を下げてしまうことが分かっています。スマホの使用による勉強時間や睡眠時間の減少が原因と考えがちですが、脳の発達に悪影響である可能性も示唆されています。

なぜ、コロナ渦でコミュニケーションが減少した際にストレスを感じたのか

 コロナ渦によって、多くの人がソーシャルディスタンスの確保や対面での会話機会が制限されるようになり、社会的な動物である我々にとって大きなストレスとなりました。

 コミュニケーションとは単に情報のやり取りではなく、共感や興味といった心情的な要素を含んでいるため、コミュニケーションの減少が大きなストレスになっています。

 対面でのコミュニケーションは緊張などのストレス原因にもなりますが、脳にとってある程度のストレスは活発に働くために必要なものでもあります。

コミュニケーションには共感、興味などの心情的な要素を含むため、コミュニケーションの減少は大きなストレスになりました。

オンラインでのコミュニケーションの質は対面とどう違うのか

 コミュニケーションの質には脳活動の同期が大きく関係しています。

 グループでの会話を研究した結果、共通して興味のある話題でについて話しているときに、満足が高く、雰囲気はよく感じています。

 このような時、グループのメンバー間で脳活動のリズムがそろっていることも確認されています。

 脳活動の同期がコミュニケーションの質と関係し、共感や共鳴といったものを反映していると考えられます。

 一方で、オンラインでのコミュニケーションでは、脳活動の同期が起こらず、何もせずにぼーっとしているときと変わらりません。

オンラインでのコミュニケーションの質は対面に比べ、低いことが分かっています。

コミュニケーションの質には参加者同士での脳の同期が起こるかどうか重要ですが、オンラインでは脳の同期が起こっていないため、コミュニケーションの質が低くなってしまいます。

オンラインコミュニケーションと対面をどのように使い分けるべきか

 オンラインコミュニケーションで脳活動が起きない要因は下記のとおりです。

・視線を合わせにくい

・画像のフレームレートが低い(オンラインは1秒に60画像、視覚は1秒に1000画像処理可能)

 オンラインコミュニケーションには離れた場所にいる人と通信ができることです。しかし、オンラインコミュニケーションはあくまできっかけ作りやつなぎでしかないことも意識しておくべきです。

 情報共有などだけであれば、オンラインで問題ありませんが、重要な決定など心を通わせる必要のあることは対面で行うほうが効果的です。

情報共有やきっかけ作り、コミュニケーションのつなぎであれば問題ありませんが、心を通わせる必要のあることは対面でおこなうべきです。

オンライン習慣とどのように向かい合うべきなのか

 オンライン習慣の長期的な影響は長い研究が必要であり、現時点で明確な答えを出すことは難しいものの、短期的な影響と改善策は研究が蓄積され始めています。

 インターネット依存症の影響が長期的にどのような悪影響を及ぼすかはまだわかりませんが、短期的な症状の治療をすることは可能で、心理療法や薬物療法にも効果があります。

 一方でデジタルデトックスのような使用時間の短縮でも症状が改善できることがわかっています。

 デジタルデトックスを行う上ではオンライン習慣のメリットとデメリットを比較し、メリットが大きければそのまま続け、それ以外の活動をやめてみることがおすすめです。オンラインでなければ絶対にできないこと、決済のように楽をしても差し支えないことは残し、それ以外で脱オンラインを図っていくいくとデジタルデトックスをうまく行うことができます。

 オンライン習慣をやめるには自己管理能力が必要であり、前頭前野の実行機能の一つです。

 無理のない範囲で脱オンライン習慣を続けることで徐々に、前頭前野が鍛えられ、自己管理能力を高めることができれば理想的になります。

 多くの人が依存症になるほどに魅力的なスマホをきちんと管理して使用できるほど前頭前野が発達できれば、新たな進化ともいえるかもしれません。

オンラインでなければ絶対にできないこと、決済のように楽をしても差し支えないことは残し、それ以外で脱オンラインを図っていくとデジタルデトックスが可能になります。

便利すぎるスマホやオンライン習慣をきちんと管理できるほど前頭前野を発達させることができれば人間の新たな進化ともいえるかもしれません。

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