Unlearn 人生100年時代の新しい学び 柳川範之 為末大 要約

本の概要

社会の変化が激しくなり、学び直しや生涯学習といった言葉が話題になっています。

一方で、新しい学習を行う際に、これまでの環境で学んできたことや経験が思考のクセとなり、足かせになってしまうことも少なくありません。

思考のクセをなくすにはアンラーン(unlearn)という概念が重要になってきます。

スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者である為末大と経済学者である柳川範之による会話形式で解りやすくアンラーンとは何でどんな利点があるのか、どうすればアンラーンできるようになるのかを知ることができる本になっています。

この本がおすすめの人

・アンラーンについて知りたい人

・新しことを学んでもなかなかうまくいかない人 

本の要約

要約1

人生100年時代となり、学びなおしや生涯学習といった言葉を多くの人が意識するようになっていますが、その際に重要なことは何を学ぶかというインプットではなく、アンラーンの考え方です。

アンラーンは学ぶという意味のlearnに否定語のunがついたものですが、学ばないということではなく、これまで学ぶ過程で身についてしまった思考のクセを取り除くことです。

要約2

脳は意思決定のエネルギーを下げて効率化するために、パターン化と現状維持を好むようにできています。

この脳の働きは思考にクセを生み、現在の環境の過剰に適応してしまいます。

環境が変化したときに思考にクセがあるままだと、柔軟性を失いかえってしまい、経験や学びが足かせになってしまうことも多くみられます。

要約3

アンラーンは、自身の経験や学びのうち、何を残し、何を手放すべきなのかを決めることです。

特定の環境に過剰に適応していないか、パターン化による思考のクセを持っていないかを確認することが大事です。そのためには以下のような視点が重要です。

・自分のしていていることの本質的な意味を考える

・異なる環境や多様な人、業界外の人に触れる

・おかしいという感覚や違和感を無視しない

経験や過去の学びと適切な距離を取ることでアンラーンと新しい技術の取得が可能になります。

要約4

安定した場所があり、そこにたどり着けば一生安定しているというのは幻想にすぎません。変化の大きい時代には学び直しは欠かすことができません。

適切なアンラーンは、これまでの経験を足かせにせず、効率的に学ぶために欠かすことができません。

日本社会全体でも過去の成功体験から脱却できないことのマイナスが目立っています。

一人一人のマインドが変わり、アンラーンして作り上げるようになれば、社会の発展につながっていきます。固まった価値観や考え方を揺さぶることは楽に生きることも可能にします。

学び直しで、重要なことはなにか

 人生100年時代となり、学びなおしや生涯学習といった言葉を多くの人が意識するようになっています。多くの人は何を学ぶかというインプットを最重視していますが、それ以上に重要なことはアンラーンという考えです。

 アンラーン(unlearn)とは学ばないではなく、学んだ知識や身に着けた技術を振り返り整理し直することで身に着けた思考のクセを取り除くことです。

 思考のクセは環境に適応しパターン化した思考のことで、モノゴトをスムーズに運ぶことができる半面、柔軟な対応ができず、環境が変わった時に対応できなくなってしまいます。

 新しい環境でうまくいかないことの原因は能力だけでなく、以前の環境での学習を引きずり過ぎているせいであることも多く見られます。

学び直しで重要なことは何を学ぶかやインプットするかではなく、アンラーンによって思考のクセを取り除くことです。

変化に対応するためには何が必要か

 アンラーンは完成された知識やスキルをあえて不完全状態に戻し、可能性を広げることができます。価値感などが多様化し、変化の大きい社会ではアンラーンがとても重要になっています。

 パターン化した思考からの脱却は柔軟な発想を可能にし、変化に対応できるようになります。過去の知識や経験は貴重な資産で手放すのではなく、メンテナンスするイメージです。

 これまで作り上げたものの延長線上に未来を設定すると未来を制限するため、このような発想から抜け出す必要があります。

 片っ端から忘れるのではなく、取り払うべきはなにか、どの地点まで戻るかの考えることで、自分にとって最適なアンラーンできるタイミングや理由を発見できるようになります。

パターン化した思考から脱却することで、柔軟な発想を可能にし、変化に対応できるようになります。

アンラーンはどのように行うべきか

 大事なものを手放す必要はないが、人は思っている以上にあれもこれも抱え込んでいます。何を残し、何を手放すかを考えることがアンラーンの極意です。

 アンラーンすべきな状況は現在の環境に過剰に適応している人です。

 特定の環境に過剰に適応せずにニュートラルなポジションにいることが変化に適応するために必要なことです。

人は思っている以上にあれもこれも抱え込んでおり、何を残し、何を手放すかを考えることがアンラーンの極意です。

現在の環境に過剰に適応している人はアンラーンを行うべきです。

どうすれば自分の思考のクセに気づく事ができるのか

 アンラーンの第一歩は自分自身の思考の固定化に気づくことです。

 普段無意識に行っている選択に対し、本当にこの選択でいいのか、今行っている決定に建設的な意味があるのかを問う姿勢でパターン化の罠から抜け出すことができます。

 まずは、無意識に行っていることをリストアップし、なぜそれを行っているか言語化します。言語化できない場合は思考の固定化によるもの自動化である可能性があるため、見直してみます。

 見直したうえで続ける価値があると思えば続けても問題ありません。アンラーンは何かをやめるためのものではなく、思考の癖がないかを見極めるためのものです。

 日々小さなアンラーンを繰り返すことで、早めに軌道修正でき、変化に対応しやすくなります。

普段、行っている選択に建設的な意味があるのかを問うことでパターン化の罠から抜け出すことができます。

アンラーンによって思考のクセを取り除くことで、変化に対応しやすくなります。

アンラーンにはどんなメリットがあるのか

 小さなアンラーンを積み重ねることで、思考の固定化に気づき一歩外に出ることができます。小さなアンラーンを積み重ねるには以下のようなやり方があります。

1.今の会社(環境)じゃなくても通用するか:カルチャーに対応するだけのスキルではないか

2.今の仕事についた本質的な意味や目的を考える:本質的な目的に向かえているかを確認する

3.専門外、業界外の人と話す:業界外の自分のひとと話すことでくせや思いこみに気づける

4.多様、異質な人と接する:違いを感じると、思いこみやくせに気づくことができる

5.周囲から見た自分がどう見えているかインタビューする:自己認識と周囲のずれを知ることができる

6.専門用語抜きで自分の仕事を表現する:制限をかけると本質や目的が明確になる

7.副業をする:本業の当たり前のおかしさに気づくことができる

8.早くなじもうとしない:違和感を持つことを忘れないようにする

 経験や学びを財産にするか、足かせにするかは自分次第です。

 経験や過去の学びと適切な距離を取ることで新しい技術の取得が可能になります。過去の経験が結果的に生きる場面はあるが、無理やり生かしてうまくいくことありません。

アンラーンを積み重ねることで経験や学びを足枷にせず、財産にできるようになります。

なぜ、思考のクセがついてしまうのか

 パターン化は脳が意思決定のコストを下げるためにおこなっています。

 脳は現状維持を望み、今持っているものに過剰な価値を感じたり、バイアスによって適切な評価をできないことも多くあります。

 脳の仕組みを知り、これらの現象に陥りやすいことを意識することが大事です。自分自身に質問することで客観視することができれば自分の中にコーチを持つことができます。

 自分を客観視し、アンラーンを繰り返すことで、自分のコアにあたる、ゆるぎないスキルが何であるかを知ることもできます。

脳はパターン化と現状維持を望むため、思考にクセがつくやすくなります。

脳の仕組みを知ることで、クセがつかないように意識することが重要です。

なぜ、思考のクセを付けるべきではないのか

 ある条件下での環境に適応しすぎると、状況が変わった際にかえって阻害要因になってしまいます。また環境に適応しぎるとパターン化で対応してしまい、成長もできなくなります。

 こうするべきという思いが強い人ほど、問題意識を持つことすらできず、新しいものに出会えずに、変化に取り残されてしまいます。

 どこか1つの安定した場所があり、そこに留まっていれば安心とするのは幻想でしかありません。頭の中に余白を作り、一休みすることを恐れないことで方向転換しやすい状況にして置くことが重要でえす。

ある条件下での環境に適応しすぎて、思考のクセがついていると状況が変わった際に阻害要因になってしまいます。

安定した場所で留まることはできないため、思考のクセをなくし、変化に対応する必要があります、

アンラーンは日本に何をもたらすのか

 日本は過去の成功に捉われ、大きな変革ができていません。

 一人一人のマインドが変わり、アンラーンしてまた作り上げるようになれば、大きく変われる可能性があり。固まった価値観や考え方を揺さぶると楽に生きることもできるようになります。

 アンラーンは価値観の転換や改革をしなくても、小さな崩しをやることでマインドも変わり、発想も変わっていきます。

 当たり前だったことがやっぱり必要なこともありますが、今うまくいっていない原因は当たり前のどこかに原因があり、それを見つけるためにアンラーンが必要です。

 コロナのような大きな環境変化は発想のパターン化から自由になるチャンスです。

 今持っているものを手放し、何かが入る場所を開けることで新しい学びを得ることができます。

アンラーンで発想を変えたり、思考のパターンから自由になることができれば大きく変革できる可能性もあります。

新しい学びを得られるだけでなく、固まった価値観や考え方を揺さぶることは楽に生きることも可能にします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました