マズローの欲求とはなにか

 

この記事で分かること

・マズローの欲求とは何か

・なぜ、マズローの欲求は多くの場所で見かけるのか

マズローの欲求とは?

 アメリカの心理学者アブラハムマズローが提唱した人間の欲求を階層化したもので、マズローの欲求五段階説、自己実現説ともいわれます。

 原始的な欲求ほど下層であり、上層には自己実現などの高位な欲求が配置されています。

マズローの欲求とは、人間の欲求を階層化したものです。

欲求をピラミッド型になっており、原始的な欲求ほど下層にあり、上層には自己実現などの高位な欲求が配置されています。

それぞれの階層が示すものは何か?

生理的欲求

 睡眠、食事、排泄などの生命維持に必要なものを満たしたいという欲求。もっとも下層にある根本的な欲求であり、一般的な動物がこの段階より上の欲求を持つことはほとんどない。

 性的な欲求も含まれるが、交際相手との関係には社会的欲求や承認欲求も含まれます。

安全欲求

 身体的な安全が確保されることや健康状態を維持できる生活ができることを望む欲求です。

社会的欲求

 社会に必要とされているという認識や社会の中で役割を発揮しているという実感を持ちたいという欲求です。

 家族や企業、友人のグループなど何かに所属していたいという欲求も含まれます。

 比較的、上位の欲求であり、生理的欲求と安全欲求が満たされることで、発現し始めます。

 極度に社会的欲求が満たされていないと鬱などの精神的な疾患となることもあります。

承認欲求

 誰かから認められたいという欲求。

 誰かには他の人だけでなく、自分自身も含まれます。他の人から認められたいという欲求よりも自分自身から認められたいという欲求のほうが上位とされています。

 近年話題になっているように、過度な承認欲求、特に他の人からの承認欲求を求める気持ちは精神的な不安につながりやすいなどの問題を抱えています。マズローも他人からの承認欲求にとどまることは危険としています。

 他の人から認められたいという欲求は人からの称賛、注目、地位などで得ることがありますが、多くの場合、限界があります。

 高級なものを身に着けることで注目を集めた人が同じもので注目が集められなくなると、もっと高いものを欲することや過剰な行動を称賛されたエスカレートするユーチューバーなどが分かりやすい例になります。

 自分自身からの承認は、何かの技術や知識を取得するなどで得られるため、限界なく自尊心を高めることができるため、この段階にたどり着くことが求められています。

自己実現欲求

 4つの欲求を満たしていても、自分に適したことでなければ、すぐに不満がたまってしまいます。

 自分の理想を考え、その理想を実現したいという欲求が自己実現欲求となります。

 潜在的な自分の欲求を探したり、自己啓発したりすることで、自己実現することを満たすための欲求であり、この段階にたどり着ける人は多くありません。

なぜ、マズローの欲求は様々な場面で見かけるのか

 マズローの欲求は様々な場面で目にするものです。

 その理由は主に欲求が資本主義に欠かせないものであることや土台となる低位の欲求の上にさらなる欲求があることを解りやすく示したためです。

 資本主義は人の欲求を叶えることで、経済活動を行っていくものであり、次々と現れる欲求が新たな市場を生み、経済成長に結びつきます。

 新しいビジネスを考える時には、どの欲求を満たすかを考えることが重要です。下位の欲求は多くの人が利用するため、市場の規模は大きくなりますが、レッドオーシャンになりがちであり、上位の欲求を満たすものは規模は小さくなり、競争は減りますが、個人差もあるためどのようにビジネスに結びつけるかを思いつくことは容易ではありません。

 例えば、飲食業は食欲という誰もが持つ、生理的欲求を満たすものであるため、レッドオーシャンになりがちです。差別化するには高級感でより上位の欲求である承認欲求を満たすなどの工夫がなされています。

欲求が資本主義に欠かせないものであることからマズローの欲求の理解が重要になっています。

ビジネスを考える上でも、自分の考えている商品やサービスがどの欲求を満たすものか考えることは重要です。

ピラミッド構造の意味はどこにあるのか

 低位の欲求の上にさらなる欲求があるという考えも、マズローの欲求が多くの場面で見られる理由です。

 古代の昔に比べれば、寝食に困らない現代は幸せなはずですが、そんなわけではありません。このような現代の不幸せさは生理的欲求や安全欲求を満たせるようになれば、上位の欲求を欲し、それを満たせなければ不満を感じることから説明されます。

 現代で幸福を感じるためには、マズロー自身が説明するように、自分自身からの承認欲求や自己実現の欲求を追求する段階に移行する必要があります。

 他人からの承認欲求には限りがあり、高級で無理な生活をしても、満足にはつながりません。足るをしることで、身の丈に合った生活をすることの重要性もマズローの欲求から学ぶことができます。

低位の欲求を満たしても、幸福になれないこともマズローの欲求のピラミッド構造から説明できます。

現代で幸福を感じるためには、他人からの承認欲求から脱却し、自分自身からの承認欲求や自己実現の欲求を追求する段階に移行することが重要であることもマズローの欲求から学ぶことができます。

5つの欲求以外に欲求はあるのか

 マズローは欲求五段階説を提唱後、晩年に自己実現のさらに上位の欲求として、自己超越の概念を提唱しています。

 自己実現はある目標やあるべき姿を考え、それを実現したという欲求でしたが、その目標の達成やあるべき姿には見返りがある場合も少なくありません。

 一方で、自己超越は目的の達成だけを求め、見返りを求めずに自我を忘れてただ目的に没頭する姿のことを指します。

 マズロー自身は超越を自己実現の上に置いているわけではないという指摘もありますが、目的そのものや行為そのものを楽しむ段階が欲求の最上位の状態であることは多くの人が覚えておく必要があります。

自己実現のさらに上位の欲求として、自己超越の概念を提唱しています。自己超越は見返りを求めずに、ただ目的に没頭する状態です。

まとめ

 マズローの欲求はピラミッド構造で人の持つ階層的な欲求を解りやすく表現したものであり、様々な場面で応用できるものです。

 物質的に満たされているのに幸福を感じられない状態にある人には、他人からの承認欲求を求めすぎていないかという視点で自分を見ることの重要性を教えてくれます。

 新たなビジネスを考えるうえでも、自分のサービスや商品がどの欲求を満たすのかを考えることで、差別化、競合するものがないかなどを知る助けにもなります。

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