いま世界の哲学者が考えていること 岡本祐一郎 要約

本の概要

哲学とは何をすることで、哲学者はどんなことを考えているのかと疑問に思う人は多いと思います。

日本人の持ちがちな哲学=人生論ではなく、様々な物事を俯瞰的に見たり、多面的にみるためにも哲学は重要になってきます。

特に、時代が大きく転換するときには哲学的思考を欠かすことはできません。新技術が時代が大きく転換させるため、その技術がもたらすものを技術的な視点だけでなく、一歩引いたところから見ることのできる哲学は非常に有用になってきます。

特に、技術を哲学でどう考えるかを通じて、哲学とはなにかを知ることができる本になっています。

この本がおすすめの人

・哲学とは何か知りたい人

・技術の進歩に不安を持っている人

哲学的思考で、目的や日本の問題点を論じている「目的への抵抗」の要約はこちら

本の要約

要約1

哲学は社会的に無用という声もありますが、これまでも時代が大きく転換するときには、哲学が活発に展開されてきました。

時代が大きく転換するときは、科学技術の発展がきっかけとなることも多く、これまでも羅針盤や活版印刷の発明が時代を大きく転換させてきました。

ITやバイオテクノロジーも同じよう時代を転換させる可能性を持っているため、哲学が必要とされてきます。

要約2

IT革命が現代社会に与える影響はとても大きいものであることは間違いありませんが、より重要になことは、IT革命が私たちをどこへ導こうとしているかを考えることです。

バイオテクノロジーも同じで、これまで人間以外の生物に向いていた技術が人間にも適用される可能性が大きくなっています。

これらの技術は便利ですが、ITにはプライバシーの問題をバイオテクノロジーには倫理的名問題がつきものです。

技術をどのように使用すべきかを技術からだけで考えることは、難しく、哲学が役に立つ領域になっていきます。

要約3

20世紀は自然科学の発展などで宗教の役割が低下してきましたが、21世紀に入ると原理主義的な宗教を信仰する人が増加しています。

宗教的な軋轢はどうしても発生してしまいますし、科学ですべてを説明できるわけでないため、哲学的な思考が宗教について考える際にも役に立ちます。

環境問題について考える際には多様な視点を持つことや多様な立場からモノを考えることが必要であり、哲学が必要な領域といえます。

要約4

哲学はある問題について直接答えを出すものではなく、どのような意味があるかを見いだすものです。

哲学によって意味を見出すことで多様な立場から物事を考えたり、一歩引いて物事を見直すことができるようになることが可能です。

技術が世界をどう変え、どのような点に気を付けるべきかを考えることができる上で、哲学は大きな武器になります。

哲学とは何か

 哲学は日々進行する出来事に対し一歩引いてどのような意味かを問いただすものです。

 哲学は社会的に無用という声もあるが、歴史を眺めると時代が大きく変換するとき、哲学が活発に展開されてきました。

 現在へと続く歴史を問い直し、どのような未来が到来するか展望することができる哲学は、時代の大きな変換期にはその重要性を増していきます。

哲学は日々進行する出来事に対し一歩引いてどのような意味かを問いただすもので、時代が大きく変革するときに重要性を増すものです。

なぜ、現代が時代の大きな変換期といえるのか

 時代の大きな変換期には科学技術の状況が大きく関係しています。中世から近代への転換には羅針盤、活版印刷などが必要となってきました。

 現代のITやバイオテクノロジーはそれらの技術に匹敵する影響を持ち、同じように時代の転換をもたらす可能性があります。

時代の大きな転換期には科学技術が関係しています。ITやバイオテクノロジーの進化は時代の変革をもたらす可能性を持った技術になっています。

今、哲学者は何を考えているのか

 20世紀までは認識論的=意識を分析していたが、現在は言語論的転回によって言語を分析するように変化してきています。

 言語論=言葉であるため、言語が違えば現実もそれぞれ異なると考えられており、そのため不変の真理は存在しないと考えられるようになっています。

現在の哲学者は意識の分析から言語の分析へ変化しています。言語は変化するため、不変の真理は存在しないとも考えられています。

ITの進化に哲学はどのような役割を果たすのか

 IT革命が現代社会に決定的な影響を与えているのは確実で、この革命が私たちをどこへ導こうとしているのかが問題です。

 技術だけでは説明、決定ができない事柄には特に哲学が重要になってきます。

 IT革命がもたらすメリットは大きいものですが、デジタルデータを収集することで人が断片的な情報に分割され絶えず記録されていくことになり、プライバシーを監視することにも利用できます。

 技術をどのように使用すべきかを考えることは技術だけでは困難であり、哲学が重要な役割を果たすといえます。

ITの進化は現代社会に大きな影響を与えていますが、プライバシーの問題をはらんでいます。

技術をどのように使用すべきかを考えることは技術だけでは困難であり、哲学が重要な役割を果たします。

バイオテクノロジーと哲学はどのような関係を持つのか

 これまでのバイオテクノロジーは人間以外の生物に向いていたましたが、これからはゲノム編集などが人間にも利用され始めます、

 優生学の復活を懸念する人も多いですが、国家に強制されることがなければ、人間へのバイオテクノロジーに反対する理由にはなりません。

 クローンと一卵性双生児は遺伝子的には全く同じものであり、科学的に見れば全く同じだが、遺伝子の受け継がせ方を他人が決めるか、自然に決まるかという違いがあります

 技術的な考えだけでは、答えのでない問題に別の角度から考える助けを哲学が与える例といえます。

 中世から近代への変換によって神中心の考えから、人間主義に変化してきましたが、バイオテクノロジーは人間主義の考えかたを別のモノに変化させる可能性を秘めています。

バイオテクノロジーが人にも利用されるようになれば、技術的な考えだけでは物事を決めることができなくなり、哲学の視点が必要になります。

科学の台頭で、宗教はなくなっていくのか

 20世紀は世俗化=宗教権威からの独立、宗教の役割が低下した時代でしが、21世紀に入ると信仰する人々は特に原理主義的な宗教で増加しています。

 それぞれの宗教が普遍的な宗教ではなく、自身の神を信仰するコスモポリタン的宗教となれば軋轢が減少するが、現実的には難しいことです。

 自然科学によって宗教を否定する動きもありますが、自然科学ですべてを説明できるわけではないため、宗教の役割が減ったり、変わってとしても、なくなるものではありません。

自然科学ですべてを説明できるわけではないため、宗教の役割が減ったり、変わってとしても、なくなるものではありません。

環境破壊にはどのような視点を持つことが必要か

 環境破壊の要因を人間とする考えが広くなるにつれ、自然(土地、動物、植物、河川、生態系)には人間と同じように価値があるとする様々な主張がなされています。

 一方で、生態系という環境の価値が経済利益と結びつくこともわかっており、二者択一ではないという主張もあります。

 環境の価値を経済的な評価で扱う一元論への批判から、多様な立場や評価を許容する多元論が必要とする考えもあり、人間を中心に、自然を中心になどの多様な観点から考えることが重要となります。

環境破壊から自然環境の持つ価値には様々な考え方がなされていますが、人間を中心に据えた視点や自然を中心に据えた視点など多様な視点から考えることが重要です。

哲学の視点はどのような役割を持っているのか

 哲学はある問題について直接答えを出すものではなく、どのような意味があるかを見いだすものです。複数の意味を見いだすことは、多様な観点から物事を考える助けとなります。

 新しい技術が世界をどう変えるのか その技術が広まる際に気をつけるべきなのはなんなのかなどを考えるときに哲学的足攻が大きな武器になります。

哲学は直接答えを出すものではなく、どのような意味があるのかを見出すものです。

新しい技術がどう世界を変え、気を付ける点は何なのかを考えるられることは哲学の大きな武器になります。

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