化学 9.分子の形態と分子同士の結合

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この本や記事で分かること

・分子がどのような構造をしているのか

・イオン性物質の構造と特徴

・分子間力、ファンデルワールス力、水素結合とは何か

分子は集まり方でどのような違いがあるのか

 原子同士は結合することで分子となっていますが、多くの物質は分子同士が集まることで形成されています。

 物質は大まかにイオン性物質、分子性物質、金属、無機高分子、有機高分子の5つに分けることができます。

イオン性物質とは何か

 イオン性物質は陽イオンと陰イオンが結合してできています。金属陽イオンと非金属陰原子からなることが多く、塩化ナトリウム(塩)はナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl)が結合することでできています。

 イオン性物質はプラスとマイナスの引きあう力(クーロン力)でできているため、陽イオンと陰イオンが交互に、規則正しく配列した結晶となっています。

 イオン結合による結晶は硬いものの、割れやすいという特徴があります。イオン結合自体は結合力が強いものの、結晶がずれると陽イオン同士、陰イオンがとなり合い、反発力が発生するため、ズレやすくなるためです。

イオン性物質はほかにも、常温では固体で融点が高く電気を通しませんが、水に溶けやすく、水に溶けるとイオンが動きやすくなるため溶液中は電気が流れやすいという特徴も持っています。

分子性物質とは何か

 分子性物質は共有結合によって結合してできた分子が集まってできた物質のことです。

分子同士はファンデルワールス力や水素結合などの静電的な力や分子間に働く力(≒分子間力)によって、結合しています。

 分子性物質の固体は分子結晶とも呼ばれますが、イオン結合と比較すると結合力は弱いことが多く、固体の融点はそれほど高くない場合が多くなっています。

 分子間力は分子同士を結合させるものですが、分子同士が近づきすぎると反発をおこしてしまいます。

 最もエネルギー状態が低く、安定となる距離はファンデルワールス半径と呼ばれます。ファンデルワールス半径以下の距離では反発が大きくなるため、分子性物質は圧力をかけても、反発してしまうため、圧縮されにくいという特徴を持っています。

なぜ、分子間力が働くのか

 分子中では常に電子は移動しているため、瞬間的に電荷の偏りが生じする可能性をもっています。

 分子の中で電子が移動しマイナスに電荷が偏った場所と電子がいなくなったことで、プラスに偏った場所ができると、そこで引力が発生します。

 この電荷の偏りによって発生する引力によって、分子同士が結合しています。この力はすべての分子間に働くものとなります。

極性とは何か

 また、同一原子ではなく、異なる原子からなる分子では、原子同士で共有結合を形成していても、共有電子対を引き付ける力に差が発生します。

 共有電子対を引き付ける力は電気陰性度と呼ばれます。電気陰性度に差がある原子が結合した分子は分子内で電荷の偏りが発生します。電荷が偏りマイナスになっている原子はδ-、プラスになっている原子にはδ+と表記されます。(δは微小という意味があります。)

 この電荷の偏りは極性と呼ばれ、極性によってもファンデルワールス力による引力は発生します。

分子間力の大きさは何が影響しているのか

 分子間力は一時的なものでも、極性であっても電荷の偏りによって発生します。

 大きい分子のほうが、陽子や電子の数は増えるため、偏りが発生しやすくなるため、分子間力は大きくなります。

 また、同じような大きさの分子でも表面積の大きい分子のほうが引き合う面積が大きくなるため、分子間力は強くなります。

 また、ファンデルワールス力は電荷の偏りで発生するため、極性の大きな分子は元から電荷の偏りがあるため、分子間力が強く働くことになります。

水素結合とは何か

 水H2Oは電気陰性度の高い陰性度を持つ酸素と水素から成る化合物であるため、極性をもっている分子です。

 酸素側に電子が偏っているため、酸素原子がδ-、水素原子がδ+となります。この電荷の偏りによって水分子同士は酸素と水素の間で結合しています。

 この結合は水素結合と呼ばれ、ファンデルワールス力よりも強い結合であるため、水は類似の構造の分子と比較して、高い沸点をもつ化合物になっています。

無機高分子と有機高分子の特徴は何か

 無機高分子は、炭素を含まない原子が共有結合でつながりつづけているため、安定的で、極めて高い融点をもっています。

無機高分子の例は少なく、黒鉛やダイヤモンド、二酸化ケイ素などが挙げられます。

 有機高分子は炭素を中心とした元素が共有結合で数千個つながった巨大な分子です。

 有機高分子の種類は多く、天然に存在するタンパク質や糖類、ナイロンや合成ゴムのように人間の手で合成されたものなど様々なものがあります。

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