TIME SMART アシュリー・ウィランズ 東洋経済新報社 3分要約

3分要約

タイムスマートとはなにか

 お金ではなく、時間中心のマインドセットをもつこと。時間とお金に関わる決定は非常に重要だが、ごく些細な部分しか見ずに決定を行ってしまい、タイムプアな状態になっている

なぜ、タイムスマートを意識する必要があるのか

 時間を優先する人は利他的な行動をとりやすくなる、幸福度が増す、社会的なつながりが増えるなどの利点がある。富の蓄積が幸福感の増大にはつながらないこともわかっているため、より幸せな時間を手に入れるために必要となるのはお金より時間を優先しタイムリッチな状態になることが大事。

タイムリッチになるにはどうしたらよいか

1.タイムプアになる原因タイムトラップについて知り、自分がどのトラップに陥っているか知る

2.自分にとっての時間の持つ価値を把握し、タイムリッチになるために必要な行動をしる

3.必要を行動を習慣化する

タイムリッチが広がるためには何が必要か

 社会全体がタイムリッチを目指すことで効率、生産性を高めるため、リーダーがタイムリッチが仕事の質を高めることを理解することが何よりも大切になる。企業だけでなく、行政、政府のリーダー重要制を理解することが必要になる。

お金よりも時間を優先することが幸せにつながる

 時間とお金には多くの共通点、ともに測定可能で希少、どちらも私たちにとって最も貴重な物である。しかしこの二つは二者択一であり、どちらを選ぶのかを何度となく選んでいる。筆者は時間とお金のトレードオフに興味を持ち世界中の何千人もの人々の調査を行った。

 その結果、多くの人は時間とお金に関わる決定は非常に重要だが、その判断を下すときにごく些細なものにしかみえていない。

 時間とお金のトレードオフはあらゆる人が行っており、イメージとは違い裕福でない人ほど判断をじっくり考えて下すことのメリットは大きい。また自分にどれだけの時間が残っているかを知る人はだれもおらず時間こそが最も価値のある資源といえる。

 より幸せな時間を手に入れる秘訣はお金よりも時間を優先することだけ。

時間中心のマインドセットは幸福感を増す

 タイムイズマネーという言葉からも、お金は最も価値のある資産と教え込まれており、お金にばか目を向け、ストレスと不幸、孤独感が蔓延する、タイムプアな状態になってしまう。

 タイムイズマネーではなく、マネーイズタイムを目指す必要がある。時間中心のマインドセットは自己中心的な行為ではなく他人を助けることになり、幸福感が増し、社会的なつながりを増やし、人間関係や仕事の満足度を増すことがわかっている。

タイムプアな人は世界的に見ても圧倒的に多い

 世界でタイムプアな人は80%と非常に高い。タイムプアの人のほうが幸福感が弱く、生産性が低く、ストレスが多く、運動が少なく健康状態も悪い。

 労働時間は減少傾向にあるが、タイムプアと感じる人は増加している。持てる時間と必要な時間の差だけでタイムプアになるわけではなく、それらの時間をどう考えたり、評価するかでタイムプアになるかは決まる。

 貴重な自由時間が訪れても、利用する準備ができていなければ無駄にしてしまうため、タイムプアに感じてしまう。このように感じやすくなったのは我々の文化が時間の持つ価値を抑え込んだため。このようなタイムトラップが慢性的なタイムプアを生み出すため、タイムトラップについて知り自分の生活の中で見つけ出すことが第一歩となる。

まずはタイムトラップについて知り、自分のトラップを突き止める

 1.テクノロジーとの絶え間ない接続

 ICT機器の発達でどこでも仕事ができる反面、自由時間にもメールの確認のような細切れのタスクが増えたことで時間が失われたり、集中力が途切れてしまい自由時間を楽しめなくなる。

 2.働くことお金を稼ぐことへの執着

 お金は悲しみからは守ってくれるが、幸せを変えるわけではないというのは多くの人が聞いたことがあり経験的にも正しい。それでも一生懸命働けば後で余暇が手に入ると考える人は多く、富の追及を優先してしまう人は多い。

 3.時間の価値の過小評価

 時間の価値を測るのが難しいため、お金を時間と交換するという発想自体が頭に浮かびにくい。自分が「より安い」決定をしているときがタイムトラップに陥っている場合が多い。

 4.多忙のシンボル化

 多忙であることが一種のステータスになっていることもタイムトラップの一因。世間から多忙と思われると気分が良くなる傾向や金銭を稼ぐことを優先する風潮も仕事を優先させている。

 5.手持ち無沙汰の嫌悪

 人間は手持ち無沙汰な状態を嫌い、何もしないことが苦手であるがに何もせず、今に目を向けることには大きな価値がある。

 6.未来の予定の誤算

 自分の未来の予想が苦手なため、未来の時間に楽観的で、予定を詰め込みやすくタイムプアになる。

 以上6つが良く見られるタイムトラップ。まずは自分が陥いりやすいものを突き止めて記録することを目標にすると良い。

時間の価値を把握しようとするプロセスが重要

 タイムトラップを知り、自分の生活中のトラップを認識した後にはタイムリッチになるために役に立つ決断を下すプランを立てることが重要になる。

1.自分の初期設定を知る

 自分が時間とお金をどのようなバランスで考えているか、マインドセットを明らかにするのが最初になる。

2.時間を記録する

 自分が時間の使いかたをどう決めているか理解する必要があるため、自分の時間の使い方を詳しく記録する。記録した活動についてどう感じているか(望ましいか、有意義か、生産的かなど「)も記録しストレスの大きいものにかける時間を減らせないか自問する。

3.時間を見つける

 自分が時間をかけているものについて、ときめきや意義を感じるかを自問し、感じ無い場合はやめるようにする。余暇時間をボランティアや人付き合い、運動といった能動的なものにするとテレビを見る、居眠りをするなど受動的なものにするとよりも幸せを感じやすい。

4.時間に投資する

 同じ金額でもモノを買うよりも、時間を節約するためにお金を使うほうがストレスは減少する。その際には自分の嫌いな活動を見極め、その活動を外注することが重要。料理が嫌いという人でも、献立を考えるのが嫌いで調理そのものは好きなので、ミールキットの配達が食事の配達より多くの満足を覚えることもある。

5.時間の捉え方を変える 

 時間の価値を認識すると平凡な活動から多くの幸せを得ることができる。通期時間に仕事で何をやるか前向きに考えるだけで、通勤が苦痛から良いものに変わることすらある。

 時間の価値を把握することで、時間を重視する決定をしやすくなる。時間の価値を多くのデータからお金に換算すると思っている以上に、時間を節約するお金の価値は大きい。例えば年収5万ドルの人が通期やハウスクリーニングを雇うと4万ドルの年収を増やすのに相当する幸せにつながり得るほど。

 時間の価値は主観的なため、正確な価値を把握することが重要なのではなく、把握しようとするプロセス自体が目的。

多くの時間を手に入れるには戦略的な決定を習慣づける必要がある

 タイムプアの解決法は単純だが、それを実行に移すとなると難しい。時間についての小さな決定を習慣化するのはダイエット同様難しい。時間中心の決定をすべきと思っても、お金の魅力を振り払うのは難しい。それでも、時間を大切にする人のほうがお金を大切にする人よりも幸せで、健康的で生産性が高いことを調査がはっきりと示している。

 時間をお金以上に重要なものと自分に納得させ、決定を下すときにその価値観を思い出し、以前よりも多くの時間を手に入れるような戦略的な決定を下す必要がある。

1.なぜかを問う

 自分の行動をなぜしているのか、続けるべきかを考える。ただの暇つぶしや大した理由の無い行動は削除リストに加え、代替となる行動を考える。

2.ゆとり時間を許す

 有意義な時間を計画することは重要だが、詰め込み過ぎればストレスとなるためゆとりを持たせたスケジューリングを行う。

3.自分のカレンダー・マインドセットを知る

 きっちりと予定を決めるのとある程度流れに任せることのどちらがあってるかを見極める。どちらかが優れているわけではなく、自分に合っているほうが良いシステム。

4.意図を持つ

 タイムプアな活動をタイムリッチな活動に置き換えるなど、望ましい形で時間を使うように仕向けること。意図した活動を日常の行動に結び付けると効果的(食事の時に本を書くなど)。

5.アメとムチを使う

 時間に関する目標を達成したらご褒美を上げ、達成できなければご褒美を取り上げる。

6.デフォルト設定をする

 アプリやメールの通知をOFFにする、頼みにノーというなどをデフォルトとすると良い。

7.単純緊急性を意識する

 物事を緊急性と重要性で位置付けする。重要で緊急なものを優先し、重要でなく緊急なものは他の人にやってもらうなどし、緊急ではないが重要なものに取り組めるようにする。あらかじめ緊急ではないが重要なものに時間を割り当てておくと良い。

8.余暇をゆっくり過ごす

 余暇を効率や経済的価値から切り離し、その瞬間に目を向けるようにする。

 これらを習慣化できれば、より多きの時間を見つけ、その時間を楽しむことができるようになる。

人生の大きな決断の際も時間を意識するべき

 人生の重大な決定は時間の長期的なプランとの間にも影響を与える。

 お金よりも時間を大切にする学生のほうが、就職後も幸せを感じやすい。時間を大切にする人のほうがやりたいことに取り組んでいると答える割合が多く、目につきやすい給与や評判ではなく仕事に費やす時間にどれほどの価値があるかを考える必要がある。フレックスがあるかや通勤時間の短さは給与よりも仕事の満足度を高める働きをする。

 良いことでも決まりきった手順で行い続けると効果は小さくなる。バラエティーに富んだ行動もタイムリッチになるコツ。

 ノーということで、時間を増やすことも重要。提案や打ち合わせは聞くが、行動を伴うことは基本的には断るようにするのも手。時間がないから断ると相手の心象が悪いため他の断り方が良い。ノーと言いずらい人はイエスといったことで失われた時間で何ができたかを考えると良い。

タイムリッチは仕事の質を高めることを多くの人が理解すべき

 社会の構造がタイムプアを招くようにできており、政府や企業が従業員や国民の時間を奪っていることも多い。無駄な申請や資料作成、会議などで失われている時間も多い。

 人事制度も金銭的なインセンティブを採用することが多いが、実際には生産性をおとすこともある。休暇を取らせないことでも大きく創造性幸福感を失わせ、生産性を劣る要因になっている。

 人材募集の際にも時間をお金として売り込むことで有能な人を集めやすく、多様性をたかめることもできる。好きな時間や場所で働かせることで幸福度、生産性を上げることができる。

 タイムリッチは仕事の質を高めることをリーダーが理解することが何よりも重要になる。

 政府は事務処理を減らし、金銭的な援助だけでなく時間を節約する援助を行う、休暇の取得を義務つけるなど時間を重視する決定を国民に促すことが幸福や生産性の向上人つながると理解すべき。

 都市計画を見直し、ストレスの原因となる通勤時間を減らしたり、渋滞を減らす政策も政府のできることである。

 様々な立場の人がタイムリッチな社会を生み出すために努力する必要があり、そのためにはデータを集める必要がある。個人と各自の時間の使い方のデータはそろい始めているが、組織や自治体、国家のデータはほとんどないため、時間の使い方のデータを集め、タイムプアを個人の幸福だけでなく、企業や都市の健全性と繁栄に影響を与える公衆衛生の問題と真剣に考える必要がある。

タイムリッチの利点を広める必要がある

 タイムプアは大きな問題であり、富の蓄積が必ずしも幸福感の増大につながりないことが正しいこともわかってきている。すべてを犠牲に仕事上の成功を追い求めると時間が足りないだけで、うつ、肥満、孤独、利己主義など様々な再燃を招く。

 タイムリッチかどうかが競争に勝てるかどうかに直結した問題であることをリーダーに納得させ、タイムリッチのもたらす見返りを広めていく必要がある。

 今後、10年間タイムプアを軽減することが教育格差、肥満、気候変動を含む問題に挑むうえで不可欠になる。そのためにもまずは一人一人がタイムリッチになり、その変化のもたらす効果に気づくことが重要となる。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました