現代病「集中できない」を知力に変える 佐々木俊尚 東洋経済新報社 3分要約

3分要約

集中できないを知力に変えるとはどういうことか

 インターネット、スマホ時代にふさわしい読み方をすれば幅広い分野で知識を深めることができる。ただし、スマホ時代には集中力が続かないことを前提にしたインプット、アウトプットのやり方を身に着けることが必要になる。

情報を得る目的と手順をどう考えるか

 読むことを通じで、知識や視点を身につけ、血肉とすること。

アウトライン→視点→全体像の順に把握することを意識する。集めた情報、視点から概念を掴むこと、概念を集め世界観を自分に定着させることで血肉へすることができる。血肉になり定着するとふと思い出したことが別の出来事とつながり新しい学びへつながるようになる。

情報を得るときに気をつけることはなにか

 メディアを4つに分類すること。分類のポイントは幅広いか、狭いかと中立か、偏っているかの2軸で分類する。

 SNSを情報収集と人間関係のものの2つに分けると良く、情報収集にはツィッターは有効。

 押し寄せてくる情報に流されないために、自分で情報を取りに行く姿勢が大事。

本質的な部分は抽象的であることが多いため、抽象的で難しい部分を熟読するべき。

スマホ時代のインプットとは

 隙間時間に記事の見出しを見たり、電子書籍で本を読むと良い。雑務を効率、クラウド化し脳内をクリアにすると概念を結びつく作業が起きやすくなる。

 集中できないときには、まずは軽いタスクからはじめると徐々に集中できるようになる。タスクを分類し、適切なインターバルを設定することで集中する時間を細かくコントロールすることが散漫力を生かすコツになる。

インターネット時代の読み方を磨けば幅広い情報を集められる

 筆者幅広い分野の情報を集め、それを紹介することで多くのフォローワーを獲得してる。その幅広さに驚かれることも多いが、ひたすら読む力を磨き駆使してきた結果。

 読む力は特殊な物ではなく、インターネット、スマホ時代にふさわしい新しい読み方を見つけることで、自分なりのスキルを磨き、ノウハウとして体系化し実践しただけ。

 本書では読む力の最新ノウハウをまとめ、多くの読者に体験してもらうために書かれている。

集中力が続かないことを前提にする

 スマホ時代には集中力が続かないことを前提にした読み方、アウトプットのやり方が必要。集中力がなくても5分の短い集中を積み重ねれば、書籍や記事を読み知力に変えることは出来る。

 様々なものを効率的に読み、知を自分の中にストックし留めることで新しいアイディアや発想を思いつきやすい状態にしておくことができる。

 インターネットは良質な情報がたくさんあるが、おかしな情報も多数あるため、読む力の重要性は増しており、読むことで知識や視点を身につけ自分の血肉としていく必要がある。

知識を得るためにはメディアを4つに分けることが重要

 読む力を身に着けるためには前提となる知識が必要になる。まず重要となるのはメディアを4つに分類しそれぞれの特徴を生かすことが重要。

 メディアを表面的で広いホリゾンタル(水平)か奥深いバーティカル(垂直)と見方が偏っているか中立化で区別する

 ホリゾンタルで中立なメディアには通信社の記事や新聞社が、ホリゾンタルで偏見的なメディアには新聞記事、TVのワイドショーなどが瓦当する。

 バーティカルで中立なメディアには 専門家が発信するブログやSNS、専門的な経済誌の記事がバーティカルで偏りのあるメディアには陰謀論が該当する。

 ホライゾンだから薄くてダメ、バーティカルは深いから良いわけではなく、偏見という落とし穴があることを認識しておく必要がある。

アウトライン→視点→全体像の順に把握することを意識する

 一つの記事を読んだだけでは、全体像を把握することは出来ない。ホライゾンで中立なメディアで出来事のアウトラインを知り、バーティカルで中立なメディアを複数読むことでいくつかの視点からみることで全体像をとらえることができる。アウトライン→視点→全体像いう流れを意識すると良い。

集めた情報から概念を掴むと徐々に世界観を学ぶことができる

 実際の世界には正解はないが、様々な見方があるため、視点を多く獲得し知ることを広く深くすることが大事。全体像はまだ知らないかもしれないという謙虚な姿勢があれば、様々な視点があることを許容できる。

 集めた情報や視点から概念を掴むことが次の目標。概念を掴むことは様々な情報や視点を順にまとめ、一つの物語や全体像にしたもの。概念が少しづつ蓄積すると世界観を学ぶことができ、世界観を自分に定着させれば知肉を育てることができるようになる。

持続しない集中力、散漫力を利用すべき

 集中力が続かないのは多くの人の悩み。ついついスマホを見てしまうのをやめるのは難しいがスマホを手放すのは難しい。

 筆者の結論は集中力をつけるのはあきらめること。持続しない集中力、散漫力を逆に利用することができる。

メディアの見極めは偏りが無い稼働かが重要

 どんなメディアを読むかで重要なことは偏りがあるかを確かめること。偏りが強いメディアであるかを見極めるには7つのポイントがある。

1.出来事を単純化し断言していないか

2.誰かを悪者にしたて対立をあおっていないか

3.真実、正体、弱腰。化けの皮など強い要注意ワードをつかっていないか

4.匿名のコメントやソース不明が多くないか(関係者によるとーなど)

5.明らかな陰謀論がかかれていないか

6.公開されていない情報だけを論拠にしていないか

7.正解にこだわり過ぎていないか、因果関係が正しいか

SNSは人間関係と情報収集で分けて使用すると良い

 これまではテレビや新聞が民意の形成に大きな影響を与えてきたが、現在はSNSがその役割を果たしている。だが、本来SNSは人間関係のために存在していたが、情報を伝えるために使用されるようになったことで、問題がおきてしまっている。

 SNSでは客観的な事実よりも感情や個人的な信条へのアピールのほうが影響力を持ってしまうためフェイクニュースなどが簡単に広まってしまう。同じ考えや信念の人だけで集まりやすく、より増幅してしまうエコーチェンバー現象も問題になっている。

 対策は人間関係のためのSNSと情報収集用のSNSを分けて使うこと。フェイスブック、インスタグラム、Lineは人間関係のためために使い、ツイッターを情報収集に使用すると良い。

 新聞の一般紙は扱う分野は公平だが、その内容は公平とはいいがたい。ニュースソースが官僚であるため官僚の意向を受けたないようになりやすい。世の中で何が起きているか表面的に知るために使い、深い情報を得るには別の情報を探すようにすると良い。

情報はプル情報を取りに行くことを意識する

 情報の取り方にはプッシュとプルが存在し、プッシュはテレビやネットのタイムラインなど受動的に押し寄せてくる情報のことを指し、プルは自分で能動的に集めに行く情報を指す。

 プッシュ情報は多すぎて、自分が押し流されたり、良質な情報を見失うため、プル情報を積極的に取りにいたほうが良い。

 RSSリーダーを利用すれば自分で登録したサイトの新着記事の見出しをまとめて閲覧することができる。サイトを登録する際にはカテゴリー分けを行い、必ず読むカテゴリーと忙しい時はやまなくてもよいカテゴリーに分けるで置くと良い。

有料メディア=価値が高いではない

 有料メディアだから、価値が高いわけではない。筆者が有料メディア選ぶポイントは3つある。

1.専門家の知識があるか

2.日本のメディアにない視点を得られるか

3.深い取材や分析があるか

ツィッターでも良質な情報を集めることができる

 ツィッターにはネガティブな印象も多いが、良質な情報のみを集めることは可能。自分の専門外であってもその分野での専門家をフォローしておけば、分野外の記事が妥当かどうか判断する際に、専門家がどうコメントしているかで妥当性を判断することができる。

 また、多数の専門家の意見を聞けることで、自分が信頼してきた専門家が今での信頼できるのかなどを確かめることができる。

 ある分野で信頼のある人は同じ分野で信頼できる人とつながっている可能性も高い。徐々に信頼できる人を増やしていけば、信頼できるツィッターリストを作ることができる。

記事の見出しと本文を読むのは使う頭が別

 集めた記事の見出しを読むのと、本文をじっくり読むのは使う頭が別のため、別の時間に行うと良い。見出しを読むのはスキマ時間で本文を読むのはじっくり読めばよい。

  気になった記事を後で読むアプリに入れておけば、後々見返すころができる。今日読んだ記事が半年や数年先に役立つことある。記事のすべてを覚えて置くことは出来ないが印象や概念を頭の片隅に置いておくことはできる。

書籍は全体像をつかむのに適している

 書籍はウェブ等のメディアとは違った情報の軸で、どちらも必要となる。書籍の利点は情報が集約、網羅されているため、多様な視点を身につけやすく、全体像をつかみやすいこと。

 どんな本であったもいい本は自分のための蓄積なるため、読書の目的を分ける必要はない。勉強のため、娯楽のためと分けるのをやめると読書が楽しくなる。

 紙か電子かでは電子書籍をお勧めする。手軽に読める、試し読み、文章の検索、コピペ、リンク張りなどができる、場所をとらないなど利点は非常に多い。

抽象的な部分にこそ本質がある

 本の選びかたは書店に出向いたり、専用サイト、個人のブログを参考にすると良い。文体や言い回しが合わないような場合もあるので、冒頭を読んで判断し、無理して読み続けることはやめたほうが良い。楽しい読書でなければ本の中身が頭に入ってくることはない。

 本は夢中になって読むほど、以前に呼んだページは忘れてしまう。そのため気になる箇所には付箋を貼って起きるよい。

 エピソードや会話は具体的で印象に残りやすいが、本質を伝えるための材料として使用されている。本質的な部分は抽象的な文章で説明されていることが多いため、抽象的で難しい部分こそ丁寧に熟読しすべき。

 付箋を貼った部分や重要部分を感想やなぜ保存しようと思ったかとともにメモアプリに保存すると効果的、本を読む→メモを保存する→本を読むを繰り返せば、集中力がない人でも、本を読みやすくなるメリットもある。

 名著や難解な本はいきなり読むと理解が難しく、読み進められないことも多いが多様な視点を身に着けることができるものも多い。背景知識を調べてから読んだり、100de名著のような入門本や漫画版を先に読むと理解しやすくなる。

 自己啓発本や経営者の成功本は後出しじゃんけんのように成功した理由を語っていることも多く、鵜呑みにすないほうが良い。

 本はスキマ時間を活用にあらゆるときに、あらゆる場所で、あらゆる姿勢で読めば問題ない。小刻みに本を読むことで筆者は一日2時間ほど読書の時間を確保している。

脳内にあつめた概念で世界観を保存することが重要

 集めた情報の保存のやり方で情報が知肉になるかがきまる。

 ポイントは情報の保存先を頭の中と脳の外=コンピュータで分けること。人間の頭は記憶力は弱いが概念を作り出すことができ、コンピュータは記憶力は強いが物語を体系する思考力はない。二つの利点を組み合わせた保存を意識する。

 情報から概念を考える際に使用したメモはコンピュータへ保存し、得た概念を頭に保存する。概念もコンピュータに保存すると脳は忘れてよいと反出してしまう場合もある。

 集めた概念で世界観を作り、頭に定着することで知肉になったといってよい。知肉になっているとふっと思い出したことが、別の出来事とつながり新たな学びへとつながることも多くなる。

雑務の効率化で脳内のノイズを減らすと概念を結び付けやすくなる

 概念を結び付ける作業は無意識化で起こるため脳の中のノイズはできる限り少ないほうが良い。適切なアプリを使い、雑務を効率化、クラウド化することで頭の中をクリアにすることができる。

 無意識でのひらめきや発想、概念の結び付けは集中していないときのほうが起きやすいたま、散漫なくらいなほうが良い。

 一方で、ひらめきの必要ないタスクには集中力が必要になるため、できる限り効率化すべき。タスク自分の仕事を棚卸し、重いタスクと軽いタスクに分ける軽いタスクと思いタスクを交互に行うと良い。インターバルは人によって最適な時間が違うので、重いタスクを行っているときに自分が集中できる時間の上限をインターバルに設定すると良い。

 やる気が出ないときは頭を使わない作業を最初にすることで徐々に、頭が働き集中できるようになる。集中力を高めようと必死になるのではなく、最低限の努力で集中できるインターバルを確保する。

 集中する時間を細やかにコントロールすることが散漫力の本質

全体最適化が今、私たちのすべきこと

 学びの本質は知識を自分の頭の中で統合すること。知識がたくさんあっても統合されなければ雑学やうんちくでしかない。

 ワークライフバランスではなく、ワークライフインテグレーション、つまり仕事と生活を統合できて自分でコントロールできれば多くの利点がある。 ワークライフインテグレーション は全体最適化の発想で知識を統合し知肉にすることと同じ。

 仕事でも暮らしも全体最適化することがいま私たちがやるべきこと。

コメント

タイトルとURLをコピーしました