本の要点、概要
この本や記事で分かること
・プーチン大統領がどのような考えを持っているのか
・世界の国々はロシアをどう見ているのか
・今後、ロシアとどう向き合うべきか
ウクライナ侵攻を行っているロシアはどのような状況なのか
ウクライナ侵攻は長期化しており、短期決着させるというプーチン大統領の目論見は失敗に終わっています。
にもかかわらず、2024年3月に行われた大統領選挙で圧勝し、プーチン大統領はさらに任期を伸ばしています。
しかし、この選挙自体が茶番でしかありませんでした。
ウクライナ侵攻の早期決着というプーチン大統領の目論見は失敗していますが大統領選挙では、プーチン大統領が圧勝し、人気を伸ばしています。
大統領選挙はなぜ、茶番なのか
今回の選挙では、ウクライナでの戦争を進めるためにも有無を言わさないほどの圧勝が必要なことから、立候補が認められたのはプーチン大統領を支持している党の候補だけでした。
ウクライナ侵攻に反対し、20万人以上の署名を集めた元下院議員であるナジェージュジン氏は書類の不備を理由に、立候補が認められませんでした。
大統領選以外でも、言論の自由、情報公開、地方自治、政権を監視するメディアなど民主主義が機能するために必要な前提が失われ、プーチン大統領による独裁制はますます強まっています。
今回の選挙は、プーチン大統領を支持している政党の候補のみが立候補が認められるなど、正当な選挙とはいえないものでした。
今後、ウクライナとロシアはどうなっていくのか
NATOへの加盟を認めず、主権国家として、存続を認めないような扱いを見せているプーチン氏に対し、ウクライナ側は強く反発し、戦争が長期化しています。
正義の実現のためにウクライナを攻撃しているというのが、プーチン大統領の一貫した主張ですが、ウクライナの人々の民族意識はこれまで以上に呼び起され、今後どんなに占領地を増やしてもウクライナの人たちの心を屈服させることはできません。
その意味では、すでに戦争は失敗に終わった見ることができます。
侵攻の結果がどうあれ、民族意識を高めたウクライナの人たちの心を屈服させることはできません。
ロシア国民は侵攻をどう捉えているのか
ロシア国民からも作戦終結を望む声が上がっています。社会、経済、政治の混乱を抑え国民の生活の向上を実現させることで支持を得てきたプーチン大統領ですが、自分の考える正義を押し付ける独裁者に変貌したことで国民からの反発も強まっています。
崇拝するピョートル大帝は領土の拡大だけでなく、、欧州の科学技術や制度を取り入れ、ロシアを大国へと変貌させた面ももっています。プーチン大統領も就任直後は、西側企業の誘致を行いましたが、その精神を今はなくしてしまっています。
しかし、メディアへの規制や言論封鎖もあり、ロシアの人々の情報源は国営テレビなど偏ったものになっていることや戦争長期化でロシア国内でも、戦争が遠い場所にあると感じる人が増加し、反発を持っている人はあまり増加していません。
独裁化に対する反発もありますが、メディアへの規制や言論封鎖や戦争の長期で反発を持っている人はあまり増加していません。
世界の国々はロシアをどう見ているのか
プーチン氏はロシアの世界復興を自らの歴史的使命ととらえ、ウクライナへの侵攻を続けています。
しかし、西側諸国からは経済制裁など大きな反発を生んでいます。また、旧ソ連の国の中でもプーチン大統領への不満を示したり、西側諸国へ近づく国もみられています。
食料援助をちらつかせ、アフリカの国にも近づいてもいますが、ウクライナが穀物の輸出国であったこともあり、距離をとる国も増えています。
一部の国を除き、世界から孤立する結果となっています。
西側諸国からの反発は当然としても、旧ソ連の国やアフリカもロシアと距離を置いています。
グローバルサウスの国々は西側諸国に賛同しているのか
ロシアと距離をとる国もみられていますが、欧米に対しても、人権を振りかざして他国の内政に口を出す姿勢や相手によって対応を変えるダブルスタンダードに反感をもっています。
民主主義と専制主義の対立という構図ではなく、専制国家であれ、民主主義であれ国際法違反の侵略は許されないという姿勢を持つことが重要です。
ロシアと距離をとる=西側諸国への賛成ではありません。
民主主義と専制主義の対立という構図ではなく、国際法違反の侵略そのものが許されないことが重要です。
今後、国際社会はロシアとどう向きべきか
ウクライナ侵攻は国連の安全保障理事国が始めたあからさまな侵略戦争であり、いかなる理由があっても許されるものではありません。
クリミア半島を占領した際に、国際社会が毅然とした態度を示さなかったことが、プーチン氏に次もやれるという誤解を与え、戦争を招く一因となっています。
それぞれのやり方でウクライナを支援し続けることが要求されています。
侵略戦争であるウクライナ信仰は許されるものではなく、それぞれの立場にあったやり方でウクライナ支援を続けることが要求されています。
本の要約
要約1
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、短期決着させるというプーチン大統領の目論見は失敗に終わっています。
しかし、プーチン大統領は2024年3月に行われた大統領選挙で圧勝し、さらに任期を伸ばしています。
ただ。この選挙自体が茶番でしかありませんでした。
今回の選挙では、ウクライナでの戦争を進めるためにも有無を言わさないほどの圧勝が必要だったプーチン大統領側の意向から立候補が認めれたのはプーチン大統領を支持している党の候補だけでした。
ウクライナ侵攻に反対し、20万人以上の署名を集めた元下院議員であるナジェージュジン氏は署名に不備があったとして立候補が認められませんでした。
もともと、大統領選挙では、反政権派の候補に圧勝することで、プーチン氏の支持を示してきましたが、今回もしナジェージュジン氏が立候補すれば、時点に食い込んでいた可能性もあり、書類の不備を理由として、立候補はみとられませんでした。
大統領選以外にも、言論の自由、情報公開、地方自治、政権を監視するメディア
など民主主義が機能するために必要な前提がプーチン氏の統治によってすっかり失われてしまいました。
政権に目障りな有力者に「非国民」のレッテルを張り、排除することでプーチン氏はますます独裁制を強めています。
要約2
NATOへの加盟を認めず、主権国家として、存続を認めないような扱いを見せているプーチン氏の姿勢を、ウクライナ側は当然受け入れられず、戦争が長期化しています。
ロシア国民からも作戦の終結を望む声が上がっています。
プーチン大統領は社会、経済、政治の混乱を抑え国民の生活の向上を実現する事で支持を固めてきましたが、近年では、自分の考える正義を国民に押し付ける独裁者に変貌してしまいました。
NATOには、反発しつつも、EUを経済的な結びつきからパートナーとみなしてきた姿勢も失われ、孤立を深めています。
欧米の価値観を否定し、正義の実現のためにウクライナを攻撃しているというのが、プーチン大統領の一貫した主張になっています。
ウクライナ侵攻によって、ウクライナの人々の民族意識はこれまで以上に呼び起され、今後どんなに占領地を増やしてもウクライナの人たちの心を屈服させることはできません。
その意味ではプーチン大統領の始めた戦争はすでに失敗に終わったとも言えます。
要約3
プーチン氏の変容は歴史に対する認識からも見ることができます。
ソ連の生みの親であるレーニンはロシアとなった今でも、神格されている存在です。
しかし、プーチン氏はレーニンがロシア帝国を解体し、連邦国家としたことや政権を革命によって奪取したこともあり、レーニンを嫌悪しています。
市民の抗議から政権が倒れる革命を忌み嫌い、恐れていると言えます。
一方で、ロシアで初めて皇帝を名乗ったピョートル大帝については崇拝しており、
ピョートル大帝を手本に、ロシアを世界的な大国とするためにも、ウクライナで始めた軍事作戦を最後まで遂行する姿勢を見せています。
しかし、ピョートル大帝は本格的な軍事編成などでの領土を拡大しただけでなく、欧州の科学技術や制度を取り入れ、ロシアを大国へと変貌させた面もあります。
プーチン氏も就任後は西側企業の誘致を行いましたが、その精神を今はなくしてしまっています。
ウクライナ侵攻によって、その西側諸国から経済制裁を受け、多くの企業もロシアから撤退してしまっています。
メディアへの規制や言論封鎖もあり、ロシアの人々の情報源は国営テレビなど偏ったものになっています。そのため世論も政府の主張に賛同する人が増加する傾向にあります。
戦争への強制動員で一時的な混乱はあったものの、再び、政権への賛同という流れが続いています。
もちろん、政府がおかしいと思っても、異議を唱えること自体を恐れる気持ちがある事は否定できませんが、戦争の長期化もあり、ロシア国内でも戦争が遠い場所にあるものと感じる人が増加しています。
要約4
プーチン氏はロシアの世界復興を自らの歴史的使命ととらえ、ウクライナへの侵攻を続けています。しかし、ウクライナ侵攻によって、西側諸国からは制裁など大きな反発を生んでいます。
また、旧ソ連の国々の中でもアルメニアがロシア主導のCSTOから脱退する方針を示す、カザフスタンやタジキスタンの首脳がプーチン氏への不満を示すなど旧ソ連圏でも孤立しはじめています。
食料援助をちらつかせることでアフリカの国々を味方につける動きをとりましたが、ウクライナが穀物輸出国であったこともあり、距離をとる国も増えています。
しかし、グローバルサウスの国々は欧米に対しても、人権を振りかざして他国の内政に口を出す姿勢や相手国との関係で人権の持ち出したり、しなかったりするダブルスタンダードに反感をもっています。
民主主義と専制主義の対立という構図だけでロシアの侵略をとらえるのではなく、専制国家であれ、民主主義であれ国際法違反の侵略は許されないという点を理解する必要があります。
今回の戦争は第2次世界大戦後の国際秩序を根底から揺るがすものです。国連の安全保障理事国が始めたあからさまな侵略戦争であり、いかなる理由でも正当化できないものです。
クリミア半島を占領した際に、国際社会が毅然とした態度を示さなかったことが、プーチン氏に次もやれるという誤解を与え、戦争を招く一因となっています。
プーチン氏が自身の望みであるロシアに従順なウクライナを手に入れることはできないものの、侵攻の長期化が続けば、今後も多くの犠牲がでてしまいます。
ウクライナに対して、それぞれのやり方で支援を続けることが求められています。
コメント