化学. 43 高分子材料と応用

この本や記事で分かること

・高分子材料の応用にはどんなものがあるのか

・それぞれの材料は高分子のどのような特性を生かしているのか

ガラスのように透明な高分子にはどのようなものがあるのか

 ガラスは二酸化ケイ素を主成分とした物質であり、その透明性を利用し様々な場面で利用されます。

 ガラスは通常、溶融状態から急冷して固めることによって作られます。この急冷の過程により、ガラスは結晶構造を持たず、非晶質(アモルファス)な状態になります。

 原子や分子が規則的ではなく、ランダムに配置されている非晶質は、結晶のように光が進行方向に沿って特定の屈折や散乱を起こしません。このため、光がガラスを通り抜けやすく、透明となります。

 高分子の中にもアクリル樹脂のように結晶化せずに、溶融状態が固まった構造をもつものがあります。アクリル樹脂はアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを重合することで合成されます。

 また、ガラスには割れやすいという特徴がありますが、ポリカーボネートを使用することでやや透明度には劣るものの、強度に優れたガラスを作り出すことも可能です。

 強度に優れたポリカーボネートとアクリル樹脂を組み合わせたり、アクリル樹脂を複層構造にしたものは、飛行機や新幹線の窓ガラスにも利用されています。

高分子ゲルとは何か

 ゼリーのように液体のように流れるわけではありませんが、固体のように硬いわけではない物質をゲルと呼びます。

 高分子ゲルは高分子鎖が架橋され、三次元の網目構造を作っています。高分子鎖と溶媒の親和性が高い状態では溶媒が分子しにくなり、ゲルの外に出にくくなることで、ゼリーのような特性を示します。

 高分子ゲルは緩衝性を活かして、スポーツシューズやペンのグリップ部分などにも利用されています。

 高分子ゲルは温度などの条件で流動性が上がるものや固まるものもあります。これは高分子鎖同士の重なった部分である架橋点を形成する結合ができたりできなかったりすることで起こります。

 温度などの条件で膨張、収縮によって体積を変えることができるという特性から、人工筋肉などへの応用も期待されています。

感光性高分子とは何か、どのような利用例があるのか

 紫外線(UV))照射によって溶媒に不溶になったり、分解するような高分子を感光性高分子と呼びます。

 UV硬化塗料はメチルアクリレートのようなアクリレートモノマーとフォトイニシエーターと呼ばれるUVを吸収して反応を開始させる物質からなっており、塗膜した後にUVを当てるだけで硬化し、強力な膜を形成できます。

 フォトレジレジストも感光性高分子の一種で、半導体の製造構造で利用されています。シリコンウエハ上にフォトレジスト剤を塗布し、回路がかかれたフォトマスクを通してUVを照射します。

 UVを照射した部分を現像液とよばれるアルカリで溶かしたり、UVの当たった部分を残すことで、フォトレジストのある部分とない部分を作ることができます。

 この状態で、プラズマで処理することで、フォトレジストのないシリコンウエハだけに微細な溝を作ることができ、溝を形成した後フォトレジストを除去することで微細な線幅をもつ半導体素子を作ることができます。

 この線幅は半導体素子の処理能力や記憶能力に直結するため、近年特に大きな注目を浴びています。

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