この記事で分かること
避雷針の仕組み:雷は高く尖った金属の落ちやすいという性質を利用し、避雷針は「雷を引き寄せる」ことで建物を守っています。
雷の位置の予測方法:電場センサーで地場の強さを測る、電磁波をキャッチして雷の発生を検知する、気象レーダーで雲の状態を見極めるなどの方法で行われています。
ドローンによる空飛ぶ避雷針
NTTが開発を進めている「空飛ぶ避雷針」技術は、ドローンを活用して雷を安全な場所へ誘導し、重要なインフラや人々を落雷から守ることを目的としています。
https://dempa-digital.com/article/653382
この技術では、耐雷性能を備えたドローンを雷雲の下に飛行させ、雷を意図的にドローンに落とすことで、地上の施設や人々への被害を防ぎます。
ドローンは「ファラデーケージ」と呼ばれる導体のかごで覆われており、雷の電流から内部の電子機器を保護します。さらに、ドローンに導電性のワイヤーを搭載し、地面に接続することで、雷の電流を安全に地上へ導く仕組みも研究されています。
避雷針はどのような仕組みなのか
避雷針の基本的な働き
避雷針は、雷(落雷)を安全に地面へ流すための装置です。
建物や重要施設の一番高いところに取り付けて、雷を「わざと」そこに落とし、被害を防ぎます。
仕組みの流れ
建物や人を守る
電流が建物を通ることなく、直接地面に流れるので、建物の中にいる人や電子機器が壊れにくくなります。
雷は尖った金属に引き寄せられる
雷は空気中の電気エネルギー(電荷)なので、特に尖った金属製のものに集まりやすい性質があります。
→ 避雷針は細く尖っているので、雷を引き寄せやすくなります。
雷の電気を針から地面へ流す
避雷針には、太くて丈夫な金属ケーブル(アース線)がつながっています。
雷が避雷針に落ちると、その強力な電流はケーブルを通り、安全に地面へ流されます。

雷は高く尖った金属の落ちやすいという性質を利用し、避雷針は「雷を引き寄せる」ことで建物を守っています。引き寄せた電気はアース線で地面に流して安全に放電しています。
なぜ尖った金属に電気が集まるのか
電場(電気の力の場)が尖ったところで強くなるため、とがった金属には、電気が集まりやすくなります。
1. 電場とは?
電場というのは、電気の力が働いている空間のことです。雷は電気のかたまりであるため、電場の強いところに引き寄せられる性質があります。
2. 尖った場所は電場が強くなる
金属の表面では、電気(電荷)はできるだけバランスよく分かれようとしますが、尖ったところには電荷がギュッと集中しやすいくなります。
その結果、尖った場所の周りの電場は、
- 平らなところよりずっと強くなり雷(=放電)もそこに向かいやすくなります。
これを先端効果(または尖端効果)と呼びます。

電荷はとがった場所に集まりやすく、雷は電場の強いところに落ちる性質があります。
そのため、とがった場所に雷を落とすことができます。
どうやって雷の位置を予測するのか
「雷の位置予測」はかなりハイレベルな技術で、主に次の方法で行われています。
1. 雷雲の電場を測る
雷が発生する前、雷雲(積乱雲)の中には大量の電気(正電荷・負電荷)がたまっており、この雲の下では、地上と雲の間に強い電場が生まれます。
→ 地上やドローンに電場センサーをつけて、
「電場がどれくらい強くなっているか」をリアルタイムで測る。
→ 電場が急激に強くなったら、雷がもうすぐ発生するサインと判断しています。
2. 雷探知システム(雷レーダー)
空中で発生する雷の電磁波(バリバリって音の原因になるやつ)を使う方法。
- 雷が発生すると、電磁波(VLF帯〜LF帯)が飛んでくる。
- 地上の受信機がこの電磁波をキャッチ。
- いくつかの受信機のデータを合わせて、雷の発生場所を三角測量する。
これが「雷探知ネットワーク」と呼ばれてて、日本だと気象庁や電力会社が運用しています。
3. 気象レーダーと組み合わせる
- 気象レーダーで、雷雲(積乱雲)の成長や動きを観測する。
- 特に積乱雲の高さ、形、氷粒の量などから、雷が発生しやすいかどうかを予測できる。
→ ドローンで雷を誘導する実験でも、「この雲はもうすぐ落雷するな」と判断して、その下にドローンを配置しています。

雷の位置の予測は、電場センサーで地場の強さを測る、電磁波をキャッチして雷の発生を検知する、気象レーダーで雲の状態を見極めるなどの方法で行われています。





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