次世代地熱発電技術の導入促進 地熱発電の特徴、メリット 次世代型とは何か?

この記事で分かること

  • 地熱発電の特徴:地下深くにある高温の蒸気や熱水を井戸(生産井)から地上に取り出し、蒸気の力でタービンを回すことで発電を行う技術です。
  • 次世代型の種類と特徴:地下にU字や円形のパイプを埋め込み、地熱で加熱された熱媒体を循環させるクローズドループ地熱、地下深くにある、圧力・温度が非常に高い超臨界流体(水と蒸気の中間状態)を活用する超臨界地熱、地熱資源はあるが、水がない地域に人工的に水を送り込み、人工的な割れ目を作って熱水を生成する拡張地熱システムが自世代型として注目されています。

次世代地熱発電技術の導入促進

 ​経済産業省は2025年4月14日、「次世代型地熱推進官民協議会」の初会合を開催しました。

 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250414/k10014778921000.html

​ この協議会は、2030年代の早期実用化を目指し、次世代地熱発電技術の導入促進に向けた工程表を年内に策定することを目的としています。

地熱発電とはどんな発電なのか

 地熱発電とは、地球内部の熱エネルギーを利用して電力を生み出す発電方法です。日本は火山帯に位置しており、地熱資源が豊富なため、再生可能エネルギーとして特に注目されています。


【地熱発電の仕組み】

基本的な仕組みは次の通りです:

  1. 地下深くにある高温の蒸気や熱水を井戸(生産井)から地上に取り出す。
  2. 蒸気の力でタービンを回す
  3. タービンが発電機を回して電気を作る
  4. 使用後の蒸気や熱水は地下に戻す(還元井)ことで、地熱資源を持続的に活用。

【主なタイプ】

  1. ドライスチーム方式
    • 蒸気だけを使う。
    • 例:米国・ガイザース(The Geysers)
  2. フラッシュ方式(単式・複式)
    • 熱水を地上で減圧し、蒸気だけを使う。
    • 日本の多くの地熱発電所がこれ。
  3. バイナリー方式
    • 熱水の熱を使って別の低沸点の液体を蒸発させて発電。
    • 小規模や低温地域に適する。

【地熱発電のメリット】

  • 安定供給:天候に左右されず、24時間発電可能。
  • CO₂排出が少ない:再エネとして環境負荷が小さい。
  • 国産エネルギー:輸入に頼らない。

【課題】

  • 初期投資が高額:調査・掘削に時間とコストがかかる。
  • 開発制限:温泉地や国立公園との利害調整が必要。
  • 蒸気枯渇のリスク:適切な管理がないと資源が減少する可能性。

地熱発電とは、地下深くにある高温の蒸気や熱水を井戸(生産井)から地上に取り出し、蒸気の力でタービンを回すことで発電を行う技術です。天候に左右されず、環境負荷が小さい、輸入に頼らないエネルギーであるといった特徴を持っています。

次世代地熱発電技術とは何か

 次世代地熱発電技術は、従来の地熱発電では難しかった地域でも発電を可能にし、資源の利用範囲を拡大・効率化することを目的としています。以下が代表的な次世代技術です。


1. クローズドループ地熱(Closed-Loop Geothermal)

特徴

 地下にU字や円形のパイプを埋め込み、地熱で加熱された熱媒体(液体や気体)を循環させる方式。地中の流体と直接接触しない。

メリット
  • 地下の透水性や蒸気の有無に関係なく発電可能。
  • 温泉や自然環境への影響が少ない。
  • 資源の枯渇リスクが低い。

2. 超臨界地熱(Supercritical Geothermal)

特徴

 地下深く(3〜5km以上)にある、圧力・温度が非常に高い超臨界流体(水と蒸気の中間状態)を活用。

メリット
  • 通常の地熱の10倍以上のエネルギー密度が期待できる。
  • 1基あたりの発電量が飛躍的に増える可能性。
課題
  • 技術的に難易度が高く、掘削コストも高い。
  • 日本ではまだ実証段階。

3. 拡張地熱システム(EGS:Enhanced Geothermal System)

特徴

 地熱資源はあるが、水がない地域に人工的に水を送り込み、人工的なフラクチャ(割れ目)を作って熱水を生成する技術。

メリット
  • 地熱資源がある限り、世界中どこでも発電できる可能性。
  • 石油・ガスの掘削技術を応用できる。
課題
  • 地震誘発の懸念(微小地震)。
  • 技術実証が進行中。

日本での展開

 経産省は2024年から本格的にこれらの技術の導入検討を進めており、2030年代に実用化を目指しています。特にクローズドループ型は、温泉地との共存を図る上で有望とされています。

地下にU字や円形のパイプを埋め込み、地熱で加熱された熱媒体を循環させるクローズドループ地熱、地下深くにある、圧力・温度が非常に高い超臨界流体(水と蒸気の中間状態)を活用する超臨界地熱、地熱資源はあるが、水がない地域に人工的に水を送り込み、人工的な割れ目を作って熱水を生成する拡張地熱システムが自世代型として注目されています。

地下にはなぜ蒸気があるのか

 地下に蒸気が存在するのは、地球内部の熱(地熱)と地下水が関係しているからです。


地下に蒸気がある理由

1. 地球は内側が熱い

  • 地球の中心(核)は約6,000℃もあり、マントルや地殻にも熱が伝わっています。
  • 特に火山帯では、マグマが浅いところまで上がってきていて、地表から数km下でも非常に高温になります。

2. 地下水が加熱される

  • 雨や雪が地面に染み込み、地下深くまでしみ込んだ水(地下水)が、地熱で100℃以上に加熱される
  • 圧力が高いため、100℃を超えても液体のままで存在できるが、地下の割れ目や断層を通って地表に近づくと圧力が下がり、蒸気になります

地熱発電での利用

 この自然にできた高温の蒸気や熱水を、井戸を掘って取り出し、タービンを回すことで電力を生み出すのが地熱発電です。

地下に蒸気が存在するのは、地下水がマグマなどで加熱されるためです。

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