住友電工、理工のドライバーの眠気感知 どうやって感知するのか?

この記事で分かること

  • 眠気感知の方法:座面に伝わる微細な圧力変化から心拍数や呼吸数を推定し、眠気や疲労を検知します。
  • 圧力で心拍数や呼吸数を推定出来る理由:心臓の拍動や呼吸による胸郭の動きが、身体を通じてシートにかかる微細な圧力変化として伝わるためです。

住友電工、理工のドライバーの眠気感知

 住友電工と住友理工は、それぞれドライバーの眠気検知システムに関して取り組みを進めています。

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 眠気検知システムは、ドライバーの眠気や疲労を検知し、事故防止を目的としたシステムです。主に、カメラやセンサーでドライバーのまばたき、視線、顔の表情、頭部の動きなどを監視し、眠気や脇見を検知します。

どうやって眠気を感知するのか

 住友電工と住友理工は、それぞれドライバーの眠気検知システムに関して取り組みを進めているようです。両社は住友グループの一員であり、連携して技術開発を進めている可能性も示唆されています。

住友理工の取り組み

 住友理工は、特にシートに内蔵するバイタルセンサー「モニライフ」を活用した眠気検知システムに注力しています。

  • 「モニライフ」の技術: 独自開発の電気を通すゴム「SR(スマートラバー)センサー」をクッションなどに内蔵し、座面に伝わる微弱な圧力変化を検知します。この圧力変化から、独自のアルゴリズムで心拍数や呼吸数を推定します。
  • 眠気・健康リスクの検知: 取得したバイタルデータに基づいて、居眠り運転の兆候や、ドライバー自身が気づかない健康リスクを検知することを目指しています。
  • 応用: これらのデータから危険を予知し、警告を出したり、外部への通報などのサービスへとつなげることを検討しています。将来的には、ドライバー異常時対応システム(デッドマン装置)への応用も視野に入れています。
  • 用途: 自動車のシートへの活用はもちろん、物流業界における「2024年問題」のような働き方改革や、商用車の運転手の健康管理など、幅広い応用が考えられています。

住友電工の取り組み

 住友電工は、ドライバーモニタリング(眠気・居眠り検知)システムに関して、より広範な視点での開発を進めているようです。

  • システム概要: ドライバーの眠気や居眠り状態を検知し、その状態に応じて視覚、聴覚、触覚、緩減速等の体感によってドライバーへ報知するシステムを開発しています。
  • 検知項目: 早期実用化が期待される検知項目を優先して要件定義しており、今後の技術開発の進展に合わせて検知項目の追加も行っていく方針です。
  • 目的: ドライバーの眠気レベルが高い状態や居眠り状態と判断された場合に、報知することで安全運転を支援することを目指しています。

両社の連携について

 住友電工と住友理工は同じ住友グループであり、それぞれの得意分野を活かして技術連携している可能性が高いです。特に、住友理工の「モニライフ」のような生体情報検知技術は、住友電工が目指すドライバーモニタリングシステムにおいて重要な要素となるでしょう。

 全体として、両社は自動車事故の削減や安全運転支援、そして将来的な自動運転技術の発展に貢献するため、ドライバーの眠気や健康状態を検知するシステムの開発に積極的に取り組んでいると言えます。

住友理工はシート内蔵の「モニライフ」で、座面に伝わる微細な圧力変化から心拍数や呼吸数を推定し、眠気や疲労を検知します。住友電工は、この生体情報に加え、カメラによる視線・表情分析やステアリング操作なども組み合わせ、ドライバーの状態を総合的に判断し、必要に応じて警告を発します。

寝りにつくと心拍数や呼吸数はどう変わるのか

 人が眠りにつくと、心拍数や呼吸数には特徴的な変化が現れます。これは、睡眠が「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という異なる段階を繰り返すことと、自律神経の働きが大きく関係しています。

ノンレム睡眠中(脳が休んでいる状態)

  • 心拍数: 徐々に低下し、安定します。覚醒時よりも低くなります。
  • 呼吸数: 徐々に減少し、安定します。呼吸もゆっくりと深くなります。
  • 理由: ノンレム睡眠中は、身体をリラックスさせる副交感神経が優位になるためです。体温や代謝活動も低下し、酸素の必要量が減るため、心臓や肺の活動も落ち着きます。

レム睡眠中(脳が活動している状態、夢を見やすい)

  • 心拍数: 不規則に変動し、覚醒レベル近くまで上昇することもあります。一時的に速くなったり、遅くなったりします。
  • 呼吸数: 不規則になり、速くなったり浅くなったり、時には一時的に止まることもあります。
  • 理由: レム睡眠中は、脳が活発に活動しており、自律神経のバランスが不安定になるためです。夢の内容(特に緊迫した夢)によっても心拍数や呼吸数が影響を受けることがあります。

眠気検知システムへの応用

 住友電工や住友理工の眠気検知システムは、これらの心拍数や呼吸数の特徴的な変化を捉えることで、ドライバーの眠気レベルを判断します。

  • 例えば、通常よりも心拍数や呼吸数が低下し、安定した状態が続く場合は、深い眠りに入りつつあると判断できます。
  • 一方、レム睡眠の特徴である不規則な変動が見られる場合も、意識が朦朧としている、または居眠りをしている兆候と捉えることができます。

 特に、運転中にノンレム睡眠のような状態に陥ると、注意力が著しく低下し、非常に危険です。モニライフのようなシステムは、このような生体サインを非接触で捉え、ドライバーに警告することで事故防止に貢献します。

人が眠ると、心拍数呼吸数は覚醒時より低下し、安定します。特に深いノンレム睡眠ではこの傾向が顕著です。一方、夢を見るレム睡眠中は、心拍数や呼吸数が不規則に変動することもあります。これらの変化は自律神経の働きと深く関連しています。

なぜ圧力から、心拍数や呼吸数がわかるのか

 人が心拍や呼吸をするとき、体にはごくわずかな動きや振動が生じます。住友理工のスマートラバー(SR)センサーは、このごく微細な「圧力の変化」を非常に高感度で捉えることで、心拍数や呼吸数を推定します。

  1. 心拍による圧力変化
    • 心臓が血液を送り出すたびに(拍動するたびに)、血管に脈動が生じます。
    • この脈動は全身の血管に伝わり、体表面にごくわずかな膨らみや収縮を引き起こします。
    • シートに座っている場合、この体表面の微細な動きがシートにかかる圧力として伝わります。SRセンサーは、この周期的な圧力の「波」を感知し、その周期から心拍数を計算します。
  2. 呼吸による圧力変化:
    • 息を吸うときには胸郭が広がり、息を吐くときには胸郭が縮みます。
    • この胸郭の動きは、座っている身体の姿勢やシートへの圧力に変化をもたらします。
    • SRセンサーは、この規則的な圧力の変化(上昇と下降)を感知し、その周期から呼吸数を計算します。
  3. スマートラバー(SR)センサーの特性:
    • 住友理工のSRセンサーは、電気を通す特殊なゴム素材で作られた「圧電ゴム」です。
    • 圧電効果とは、素材に圧力が加わると電気信号が発生する現象です。SRセンサーは、この原理を応用し、非常に微細な圧力変化を電気信号に変換できます。
    • このセンサーは薄く柔軟で、シートやマットレスの下に敷いても違和感がないため、ドライバーに負担をかけることなく、継続的に生体情報を取得することが可能です。

 このように、SRセンサーは、心臓の拍動や呼吸によって身体に生じる微小な圧力の変動を電気信号として捉え、その信号の周期性やパターンを解析することで、心拍数や呼吸数を非接触・非拘束で推定しているのです。

圧力から心拍数や呼吸数がわかるのは、心臓の拍動や呼吸による胸郭の動きが、身体を通じてシートにかかる微細な圧力変化として伝わるためです。スマートラバーセンサーがこの周期的な圧力の波を高感度で感知し、その周期から心拍数や呼吸数を算出します。

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