この記事で分かること
- 両面発電のメリット:セル自体が光を両面から取り込める構造です。裏面にも透明なガラスなどを使用し、地面や周囲から反射した光(アルベド光)を取り込み、表面発電に加えて発電量を増やします。
- 両面発電のデメリット:両面ガラス構造はパネル重量が増加するため、屋根の耐荷重性に注意が必要です。また、製造コスト増により初期費用が高くなる点と、裏面発電のため反射率の低い設置場所ではメリットが薄れる点もデメリットです。
GBPの両面発電太陽光発電パネル
GBPが、両面発電太陽光発電パネルを発売しています。

両面発電パネルは、従来の片面パネルとは異なり、パネルの裏面からも反射光や散乱光を取り込んで発電できるため、全体の発電量が増加します。
どうやって両面で発電するのか
両面発電の太陽光パネルが両面で発電できるのは、主に以下の3つの要素とパネルの構造によります。両面発電パネル(バイフェイシャル・パネル)は、太陽電池セル自体が両面から光を取り込めるように設計されています。
1. セル構造と光の取り込み
- セルの光透過性: 従来のセルは裏面が金属で覆われていましたが、両面発電セルは裏面にも格子状の電極パターンを採用し、裏面からも太陽光(光子)を取り込める構造になっています。
- シリコン基板の活用: セルの中央にあるシリコン基板が、表面から入る光だけでなく、裏面から入る光のエネルギーも捕獲し、電気を発生させます。
2. パネルの構造
両面発電パネルの多くは、「両面ガラス構造(ダブルガラス)」を採用しています。
- 裏面の透明化: 従来のパネルではセル裏面を保護するために不透明なバックシートを使用していましたが、両面パネルでは裏面にも強化ガラスや透明なバックシートを採用し、光を通します。
- 光の到達: これにより、地面などから反射した光(アルベド光)や、大気中で散乱した光がパネルの裏面に到達し、そこで発電が起こります。
3. 発電に利用される光の種類
パネル裏面で発電を可能にする光は、主に以下の2種類です。
| 光の種類 | 説明 | 役割 |
| 反射光(アルベド光) | 地面、屋根、雪などに当たって反射し、上向きに進む光。 | 裏面発電の最大の要因。反射率が高い場所ほど発電量が増える。 |
| 散乱光 | 雲や大気中の粒子によって散乱され、あらゆる方向からパネルに当たる光。 | 設置角度に関わらず、パネルの裏面にも到達し発電に貢献する。 |
両面発電の効率を高める条件
両面での発電効率、つまり「両面発電ゲイン」を最大化するためには、以下の条件が重要になります。
- 設置高さ: パネルと地面との間に十分な高さを確保することで、パネル裏面に到達する反射光の量が増えます。
- 地面の反射率(アルベド):
- 高反射率(雪、白い砂利、TPO屋根など):裏面発電ゲインが大きくなります(例:15%〜25%以上)。
- 低反射率(黒土、アスファルトなど):ゲインは小さくなります(例:5%〜10%)。
このように、両面発電パネルは、セルの両面受光能力と透明な裏面構造、そして反射光の利用の組み合わせによって、従来の片面パネルよりも多くの電力を生み出すことができるのです。

両面発電パネルは、セル自体が光を両面から取り込める構造です。裏面にも透明なガラスなどを使用し、地面や周囲から反射した光(アルベド光)を取り込み、表面発電に加えて発電量を増やします。
GBPの両面発電パネルの特徴は何か
GBP社が提供する両面発電パネル(例:GBP620G12R-132など)の主な特徴は、高出力と高剛性・高耐久性の2点に集約されます。
1. 超高出力と発電量の向上
- 最大出力620Wクラス: 単体パネルとして非常に高い最大出力を誇ります。
- 最大25%の発電量向上: 背面からの反射光(アルベド光)を利用する両面発電方式により、設置条件に応じて従来のパネルより発電量が最大25%も向上する見込みです。これにより、限られた敷地面積でも高い発電効率を実現します。
2. 高剛性・高耐久性
- 両面ガラス構造(ダブルガラス): パネルの表裏に強化ガラスを使用しており、非常に頑丈な設計になっています。
- 過酷な環境への対応: この高剛性設計により、強風や積雪などの厳しい気象条件下でも、変形や破損に対する耐性が高く、長期にわたる安定稼働が期待できます。
- 優れた温度耐性: 高温環境下でも発電効率が低下しにくい設計がされており、年間を通じて安定した電力供給をサポートします。
3. 最適な用途
- 大規模メガソーラー案件: 620Wの高出力により、大規模発電所での総発電量を最大化し、事業収益の向上に貢献します。
- 制約のある敷地: 狭小地や農地転用地など、設置面積に制約がある場所でも、高い発電効率で収益を最大化できるとしています。
GBPは、これらのパネルに加え、設計・施工・部材供給・O&M(運用保守)までを一体的に提供するソリューションを強みとしています。

GBPの両面発電パネルは、最大出力620W級の高出力が特徴です。裏面からも発電する両面発電と両面ガラス構造により、高剛性と最大25%の発電量向上を実現します。
両面をガラスにするデメリットはないのか
両面発電パネルの多くが採用している両面ガラス構造(ダブルガラス構造)には、高い耐久性という大きなメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。主に挙げられるデメリットは以下の3点です。
1. 重量が増加し、耐荷重性に注意が必要
- 重さの増加: 従来の片面パネル(表面ガラス+裏面バックシート)と比べて、裏面もガラスになるため、パネルの重量が大幅に増加します。
- 例: 通常のパネルより約50%重くなるといった指摘もあります。
- 設置場所の制約: この重量増加により、特に既築の住宅や建物の屋根に設置する場合、建物の耐荷重性や耐震性への影響を慎重に評価する必要があります。設置可能な場所や架台の選定に制約が生じることがあります。
2. 初期費用が高くなる傾向
- 製造コスト: 強化ガラスを2枚使用し、特殊なセル技術や製造工程を必要とするため、従来の片面パネルと比較して製造コストが高くなり、結果として導入時の初期費用が高くなる傾向があります。
- 費用回収期間の検討: 発電量増加による収益アップで長期的に費用を回収できる見込みがありますが、導入前の収支シミュレーションがより重要になります。
3. 設置環境の条件がある
- これは両面発電パネル全般のデメリットですが、両面ガラス構造を採用しているパネルも影響を受けます。
- 反射光の必要性: 裏面での発電は、地面や屋根からの反射光(アルベド光)に大きく依存します。
- 効率が上がりにくい場所: 反射率の低い地面(黒土、アスファルトなど)や、雑草が生い茂る場所などに設置した場合、裏面発電による効率アップのメリットが少なくなり、高コストに見合った効果が得られない可能性があります。
補足: メンテナンスについて
両面発電パネルは、裏面も発電に利用するため、表面だけでなく裏面の清掃も発電効率維持のために推奨されることがあります。そのため、メンテナンス(清掃)にかかる手間や費用が増える可能性も考慮が必要です。
これらのデメリットは、高耐久性と高い発電量という両面ガラスパネルの大きなメリットと比較衡量して、導入を検討する必要があります。

両面ガラス構造はパネル重量が増加するため、屋根の耐荷重性に注意が必要です。また、製造コスト増により初期費用が高くなる点と、裏面発電のため反射率の低い設置場所ではメリットが薄れる点もデメリットです。

コメント