この記事で分かること
提供するバッテリー
サムスンSDIが得意とする「角形」のハイニッケルNCM電池です。高いエネルギー密度と優れた安全性を両立しており、メルセデスの次世代EV向けに航続距離の延長と高速充電性能の向上を実現します。
ニッケル含有量を高める理由
ニッケルはリチウムイオンを多く蓄える役割を担うため、含有率を高めることでエネルギー密度が向上し、EVの航続距離を延ばせます。また、高価なコバルトの使用量を抑えられるため、コスト削減にも寄与します。
サムスンSDIを採用した理由
主に次世代プラットフォームが求める角形バッテリーにおいて、同社が世界屈指の技術力を持つためです。また、中国企業等への依存を減らす供給網の多角化や、BMW等との実績による信頼性も決め手となりました。
サムスンSDIのメルセデスベンツへのEV向けバッテリーの供給
韓国のサムスンSDIが、独メルセデス・ベンツと次世代EV向けバッテリーの供給に関する長期契約を締結した件が報道されています。
https://jp.reuters.com/markets/global-markets/5JVTQCFRMFMG3MX5GHLPOUNOKY-2026-04-20/
サムスンSDIがメルセデス・ベンツにEV用バッテリーを供給するのは今回が初めてです。サムスンSDIがプレミアムブランドとの長期契約を勝ち取ったことは、次世代の「高性能バッテリー」競争における優位性を示す重要な一歩と言えます。
どんなEV用バッテリーを提供するのか
サムスンSDIがメルセデス・ベンツに供給するEV用バッテリーの技術仕様について、現時点で判明している主な内容は以下の通りです。
供給されるバッテリーの主な特徴
- 角形(Prismatic)セル:サムスンSDIが最も得意とするフォームファクター(形状)です。メルセデス・ベンツの次世代EVプラットフォーム(MMA)は、この角形セルの設計を前提として最適化されています。
- ハイニッケル系NCM(ニッケル・コバルト・マンガン):ニッケルの含有量を極限まで高めた「ハイニッケル」仕様を採用しています。これにより、エネルギー密度を最大化させ、車両の航続距離を伸ばすことを目指しています。
- 次世代プラットフォームへの最適化:このバッテリーは、メルセデス・ベンツが展開する2028年型以降の次世代SUVやクーペ向けに開発されています。車両の軽量化と高い冷却性能を両立させ、短時間での高速充電に対応する性能を有していると見られています。
なぜこの仕様なのか?
- 安全性と長寿命: 角形バッテリーは、ポーチ型と比較して物理的な衝撃に強く、膨張(スウェリング)を抑制しやすい構造です。メルセデスのような高級車ブランドが求める、高い安全性と長期的な信頼性を担保する上で重要な要素です。
- パッケージングの効率: メルセデス・ベンツは、バッテリーパックを車体に統合する際に、モジュール効率を高め、より多くの電力を少ないスペースに詰め込む設計を志向しています。サムスンSDIの角形セルは、こうしたモジュール化やパック化の工程において、構造的な親和性が高いのが特徴です。
- プレミアムセグメントの要求: 次世代EVにおいては、従来のEVよりも一段上の航続性能と充電速度が標準になります。そのため、高性能なハイニッケル系正極材を使用することで、限られたバッテリー容量からいかに効率よく大出力を引き出せるかという点が重視されています。
これらは、サムスンSDIがBMW等の欧州トップメーカーと長年培ってきた技術的知見が、今回のメルセデスとの契約においても非常に高く評価された結果と言えます。
今後、この供給モデルにおいてさらに具体的なエネルギー密度(Wh/kg)や充電レートなどの数値が公表される可能性もありますが、現状では「安全性と大容量を両立させた次世代角形ハイニッケル」という方向性が鍵となっています。

供給されるのは、サムスンSDIが得意とする「角形(Prismatic)」のハイニッケルNCM電池です。高いエネルギー密度と優れた安全性を両立しており、メルセデスの次世代EV向けに航続距離の延長と高速充電性能の向上を実現します。
なぜニッケル含有量を高めるのか
ニッケル含有量を高める最大の理由は、バッテリーの「エネルギー密度」を向上させ、EVの航続距離を延ばすためです。
リチウムイオン電池において、ニッケルはリチウムイオンを蓄える主役の材料です。その役割とメリット・デメリットを整理すると以下の通りです。
1. エネルギー密度の向上
正極材に含まれるニッケルの割合が増えるほど、より多くのリチウムイオンを保持できるようになります。これにより、同じ重量や体積のバッテリーでも蓄えられる電気量(容量)が増え、一度の充電で走れる距離が長くなります。
2. コストの抑制
従来のNCM電池では高価なコバルトが安定剤として使われてきましたが、ニッケルの比率を高める(ハイニッケル化する)ことで、高価なコバルトの使用量を減らすことができます。これは製造コストの低減につながります。
課題と対策
ただし、ニッケルを増やすと熱安定性が低下し、発火リスクが高まるという弱点があります。
サムスンSDIが今回メルセデスに供給するバッテリーでは、独自のコーティング技術や「角形」の高い堅牢性を活かすことで、この熱管理の問題をクリアし、長距離走行と安全性の両立を図っています。

ニッケルはリチウムイオンを多く蓄える役割を担うため、含有率を高めることでエネルギー密度が向上し、EVの航続距離を延ばせます。また、高価なコバルトの使用量を抑えられるため、コスト削減にも寄与します。
これまではどこのEV用バッテリーを利用していたのか
メルセデス・ベンツは、これまで主に中国のCATLと韓国のLGエナジーソリューションからEV用バッテリーを調達してきました。
主力車種の「EQS」や「EQE」などにはCATLの電池が多く採用されており、両社は次世代電池の共同開発でも深い協力関係にあります。また、モデルによってはLGエナジーソリューションのポーチ型電池も使用されています。
このほか、韓国のSKオンからの調達や、自社が出資するドイツのACC(オートモーティブ・セル・カンパニー)を通じた欧州内での内製化も進めています。これまでの主要パートナーであるCATLやLGに加え、今回新たにサムスンSDIが加わることで、調達先の多様化を図っています。

主に中国のCATLとFarasis Energy、韓国のLGエナジーソリューションやSKオンから調達していました。特に主力モデルではCATLの比重が高く、今回サムスンSDIが加わることで供給網の安定化と多角化を狙っています。
なぜ今回サムスンSDIを採用したのか
メルセデス・ベンツが今回、新たにサムスンSDIをサプライヤーとして採用した主な理由は以下の通りです。
1. 「角形バッテリー」の技術力と信頼性
メルセデスの次世代EVプラットフォーム(MMA)は、スペース効率と安全性に優れた「角形(Prismatic)」電池の使用を前提に設計されています。サムスンSDIはこの形状において世界トップクラスの技術と量産実績を持っており、メルセデスが求める高い品質基準を満たしたことが最大の要因です。
2. 供給網の多角化(リスク分散)
これまでメルセデスは中国のCATLや韓国のLGエナジーソリューションに大きく依存していました。地政学的なリスクや部材の供給停滞に備え、特定の企業に依存しすぎないよう調達先を分散(マルチソース化)し、安定的な生産体制を構築する狙いがあります。
3. ドイツメーカーとの深い親和性
サムスンSDIは既にBMWやフォルクスワーゲングループに長年バッテリーを供給しており、ドイツの自動車産業が求める厳格な要件や開発プロセスに精通しています。この欧州メーカーとの取引実績が、メルセデスにとって大きな安心材料となりました。
4. プレミアム戦略への合致
メルセデスはブランド価値を維持するため、高価格帯モデルに相応しい「高性能・高エネルギー密度」な電池を必要としています。サムスンSDIの「ハイニッケル技術」は、航続距離と出力を高いレベルで両立できるため、メルセデスの高級車戦略と合致しました。

主に次世代プラットフォームが求める角形バッテリーにおいて、サムスンSDIが世界屈指の技術力を持つためです。また、中国企業等への依存を減らす供給網の多角化や、BMW等との実績による信頼性も決め手となりました。

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